訪日外国人観光客から人気のある京都市のホテル業界に2015年から異変が起きている。その異変とは微増にとどまるホテルや旅館の施設数に対する簡易宿所の爆発的増加だ。
京都市が公表した旅館業施設数の推移によると、2016年度の市内簡易宿所施設数は1,493件で、2015年度の総施設数(簡易宿所)696件から1年間で約2倍に増えたことが明らかになった。
一方でホテルの総施設数は163(2015年度)から182(2016年度)へ微増、旅館は369(2015年度)から368と微減にとどまることから、簡易宿所の増加が目立つ。
京都市内では至る所で建設工事が進められているが、その建設計画をみると簡易宿所であることが多く肌感覚としても簡易宿所が増えていることがわかるほどだ。
市内全宿泊施設のうち約8割を占める規模に
京都市の簡易宿所数は2017年に入ってからさらに勢いをまし、京都市が公表した11月末までの最新数値によると、ホテル203施設数(全体のうち8%)、旅館368施設(全体のうち14%)に対して、簡易宿所数は2,028施設で全宿泊施設のうち約8割を占める規模にまで拡大。
簡易宿所が急増する前の2014年(平成26年)時点では、ホテル162施設数(全体のうち16%)、旅館380施設(全体のうち38%)に対して、簡易宿所数は460施設で簡易宿所の占める割合は、約5割程度であった。
以上のように、この2~3年でホテル旅館の伸び幅に対して簡易宿所が爆発的に増えている状況が明らかだ。直近は毎月平均約70施設ごとに簡易宿所が増えておりこのペースで伸び続ければ、2017年度の簡易宿所数は、約2,300施設を超えることになる。
出典:許可施設数の推移
※29年度は2017年4月~11月までの数値
京都で簡易宿所が増える理由とは?
京都市でここまで簡易宿所が増える要因としては、昨今ブームとなっている民泊が挙げられる。民泊とはもともと個人宅の空き部屋に泊まれるサービスとして、Airbnb(エアービーアンドビー)をはじめとする民泊仲介サイトがアメリカで急拡大。
民泊の市場調査ツールを手掛けるメトロエンジン株式会社の「メトロデータ」によると、日本国内には5万件を超える規模にまで民泊物件が増えていた。
ただこの民泊施設の大半は旅館業法の許可を受けていない場合が多く、京都市では無許可の民泊施設に対する取り締まりを全国に先駆けて強化するなど対策を強める。
京都昨今増え続けている簡易宿所を紐解くと実は、民泊を簡易宿所の許可のもとに行う「簡易宿所型民泊」が非常に増えているのだ。
市内の簡易宿所は2017年度に約2,300施設まで膨れ上がるとみられるが、計画中のものや許可の届出を行っている途中のものも含めれば、簡易宿所の施設数は来年もさらに増えることは確実だ。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロデータ