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熊本地震から2年、熊本県で5月連休宿泊施設フル稼働、新規ホテル開業も

投稿日 : 2018.04.14

熊本県

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2016年4月14日および16日に熊本県を震源地に起こった熊本地震から2年。熊本県をはじめ九州地方に大きな被害をもたらした。一時は、大打撃を受けた熊本県の観光事情だが、回復の兆しを見せている。5月の連休は宿泊施設もフル稼働が見込まれ、新規ホテル開発の動きもある。

発災1カ月で33万人超の宿泊キャンセルが出た熊本地震
2016年4月14日を前震、16日に本震が熊本県を襲った熊本地震。最大震度7、余震回数4,000回を超えるこの地震は、熊本県はもとより九州全域に大きな被害をもたらした。

特に震源地の熊本県の被害は甚大で、200人を超える死者、2,000人超の負傷者、全壊・半壊・一部破損あわせた住家被害は18万棟を超えた。また、熊本県民にとって象徴的存在である熊本城も大きな被害を受け、すべてを修復するのに20年以上はかかると言われている。
 
観光に与える影響も深刻で、熊本県によれば少なくとも県内529施設の旅館・ホテルで被害が確認された。また、施設への影響が軽微な場合でも、温泉の枯渇や湯量減少なども確認されており、温泉が大きな観光資源の熊本県にとって大きな痛手を被ることになった。

加えて、震源地から遠く、直接的な被害を免れた地域でも余震への恐怖、風評被害、さらにそこにイベント自粛などが重なり、熊本地震発災後1カ月の熊本県内の宿泊キャンセル数は33万人を超えた。

熊本県の観光客数は被災の2016年は対前年比で18.7%減
こうした影響を受け、2016年の熊本県の観光客数は激減した。2016年に熊本県を訪れた観光客は熊本県の総計によると、4,854万4,838人だった。前年比にして18.7%の観光客が減った。また、近年増加傾向だった外国人観光客も前年比24.5%減の48万6,237人へと激減した。この観光客数減に伴い、観光消費額も前年より大きく減らし、2016年の観光諸費額は前年比15%減の約2,565憶円だった。
2017年の県の統計発表はまだ先になるが、東日本大震災に比べると熊本地震は観光の回復が早い模様だ。
政府は、観光回復のために、いち早く2016年7月から12月末にかけて「九州ふっこう割」という、九州旅行の代金が最大で70%割引になるチケットを売り出した。宿泊代金、ツアー旅行代金が割引になるこの施策が、宿泊客下支えに一役買った。
被災した鉄道の完全な復旧には数年かかると見られるが、JR九州は2017年3月から、豊肥本線・肥後大津~阿蘇間の復旧工事にすでに着手している。
災害が起こったその年から観光回復の対策が講じられたことで、回復の兆しを見せている。東日本大震災とは災害の規模、津波のがれき処理や原発事故の有無など前提となる条件が大きく異なることが理由だ。

熊本市内でホテルの新規開業2件
メトロエンジンリサーチによると、熊本県では新規ホテルの建設計画も発表され、観光回復ムードを後押ししている。現在、発表されている新規ホテル計画は熊本市内中心エリアに2件ある。
1件は熊本市中央区桜町に建設予定のホテルで、街の再開発に合わせたホテル開発だ。
九州産業交通ホールディングス(HIS傘下)が2019年8月の竣工を目指して開発中で、15階建を予定している。
もう1件は、熊本市西区の熊本駅ビルの開発事業で熊本駅にホテルを建設するというものだ。2021年3月の竣工を目指して、JR九州が8-14階建での開発を予定している。
メトロエンジンリサーチによると、熊本市内には現在122軒(8831室)のホテルが営業中である。

熊本市内のホテル立地区別

出典:メトロエンジンリサーチ

上記のグラフの通り、熊本市内には中央区に78軒、西区に20軒、北区17軒、東区6軒、南区1軒宿泊施設があり、多くが、熊本駅のある西区と隣接する熊本市電沿いの中央区に立地している。新規開業はこれら2地域での出店予定だ。

5月の連休は宿泊施設フル稼働を予測
メトロエンジンリサーチによると、観光シーズンとなる5月は、熊本市内のホテルはゴールデンウィークはもちろん、土日においてはほとんど在庫がなく、90%を超えるフル稼働状態が見込まれており、観光業の回復を感じさせるものである。被災前から、熊本は温泉の他にもゆるキャラの「くまモン」や馬刺しなどのグルメで幅広い世代に人気の観光地だ。

熊本城の修復まで20年以上かかるなど、震災からの完全な復興は決して短期間では終わらないだろう。しかし、いち早く宿泊施設が整備され、観光業が回復することは熊本県・九州にとって、そして被災者にとって何より力強いものとなるだろう。

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