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【取材】心身を整える横浜中華街「TRAN.SCENDER® HÔTEL Yokohama」旧招福門ビルに誕生

投稿日 : 2025.12.02

神奈川県

新規ホテル情報

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社は11月14日、旧「招福門」ビルをコンバージョンした「TRAN.SCENDER® HÔTEL Yokohama」を開業した。

アートに彩られた客室や最大8名で泊まれるロフトスイート、中国茶とクラフトビールを楽しめるラウンジ、温泉由来のミストサウナ「TOJI SAUNA」などを備え、街の歴史を受け継ぎながら“心身をリバイブする滞在”を掲げる。地域の飲食店やアーティストとの協業を通じ、中華街の新たな楽しみ方を提案する拠点となりそうだ。

本記事では、施設のこだわりや魅力などについて、TRAN.SCENDER® HÔTEL Yokohamaに取材した。

▷公式ウェブサイト:https://transcender.jp/yokohama

―――横浜中華街という立地の文化的背景を、ホテルデザインや滞在体験にどのように反映されたのか、具体的にお聞かせください。

1859年の横浜港開港以来、多様な国の人や文化を受け入れ、融合することで独自の発展を遂げてきました。そうした横浜中華街の歴史や感性をくみ取りつつ、「飲食店ビルからのコンバージョン」というこの物件が持つストーリーを踏まえ、「Revive=古き良きものを蘇らせ、新しい感性を興し、心身を回復させる」というコンセプトを設定しました。

このコンセプトに基づき、「叉焼春(チャーシューメイ)」との連携による朝食メニューや「TOJI SAUNA」や様々なアーティストとのコラボレーションを行っています。そうした仕掛けを通じて、お客様が心身ともにRevive(回復、蘇る)していただけるような滞在体験をデザインしています。

▲朝食

―――旧「招福門」ビルからのコンバージョンにおいて、歴史的要素を再活用しながら現代的なホテルへ仕上げた際の工夫やこだわりを伺えますか。

▲招福門の意匠を流用した客室

横浜中華街のクラシカルな雰囲気を感じさせつつも、モダンでスタイリッシュな空間を作ることを意識しました。「Revive」というコンセプトに基づき、「招福門」時代に使われていた造作や意匠を一部の客室に流用しています。

たとえば、地下1階のカウンターに配置した石は、解体工事にて出てきたものを再利用しています。また、1階に当時存在していた造作を撤去し、天井を復旧する際に竹のモチーフを用いてモルタルを成形するなど、随所に中華街らしさを感じられる意匠を散りばめています。

▲解体工事で生じた石を配置したカウンター

―――最大8名まで対応する「ロフトスイート」や1棟貸切の「THE HOUSE」など、グループ向け客室を充実させた狙いと、想定される利用シーンについて教えてください。

▲ロフトスイート

横浜市では、子連れファミリーや友人グループなど「3名以上での旅行者」が全体の約4割を占めると推定されています(※1)。一方で、横浜市内のホテルは1〜2名向け客室が中心で、3名以上で1室に泊まれる客室が非常に限られているのが現状です。

▲THE HOUSE

そこで、こうした需給ギャップに応えるため、当ホテルでは最大8名まで利用可能な「ロフトスイート」や、1棟を貸し切り最大6名で使える「THE HOUSE」などの客室タイプを用意し、「グループや家族が一緒に気兼ねなく過ごせる客室」を充実させました。利用シーンとしては、三世代での家族旅行や友人グループでの滞在などの利用シーンを想定しています。

(※1)横浜市文化観光局「令和元年度集客実人員調査及び観光動態消費動向調査報告書」より

―――宿泊者専用の温泉由来ミストサウナ「TOJI SAUNA」が提供する“湯を浴びる”体験について、ホテル滞在の価値向上にどのように寄与すると考えておられますか。

▲TOJI SAUNA

地下1階にある「TOJI SAUNA」は、「湯を浴びる」という日本古来の温泉入浴文化をもとにした、新しいミストサウナ温浴です。日本の温泉から生まれた豊かなミネラルをまとうミストが、心身の回復を促します。

コンセプトのReviveと連動し、感性がリフレッシュされる滞在体験を提供することで、ホテルへの滞在そのものが旅の目的となり、ホテルの価値向上に寄与すると考えています。

―――アーティスト5名による館内アートは「TRANSCENDER=超える、超越する」をキーワードに掲げていますが、作品選定の意図と、ゲスト体験に期待される効果についてお伺いします。

作品はすべて当ホテルのために制作していただいたため、作品選定はしていません。各作家アサインの意図は以下の通りです。

ゲスト体験に期待する効果としては、食べ歩き等の定番の観光を目的としたお客様の受け皿であるとともに、アート・デザイン関心層に対しても訴求力のあるアーティストを起用することで、従来の街の客層とは異なる人々の目的地となれればと考えています。

▼baanai氏 | ペインティング(ラウンジ)

ひとつの作品を作り上げるまでに超人的な手数をかける作風が特徴です。

▼福井和来氏 | ネオン(エントランス上部)

主に看板として使用されるのが一般的なネオンの用途を超越し、アートとして昇華している点と、中華街との高い親和性に魅力を感じました。外観のシンボルとなる力強さも期待しています。

▼Rintaro kanemoto氏 | 写真(客室)

写真でありながら絵画のようにも見せる独自の視点が魅力です。その視点が街の見方を変え、それによって従来の街のイメージを変える(超える)のでは、という期待を込めています。

▼中友香氏 | 書(THE HOUSE入口)

中国の縁起物である「倒福」という、中華街ならではのモチーフを、日本的な書で表現していただきました。国境を越えた表現として位置づけています。

▼中村弘峰氏 | イラストレーション(グッズ)

中国文化の象徴的なモチーフである虎を、誰もが親しみやすい形にデフォルメできる作風に惹かれました。また、人形師である中村弘峰氏にイラストレーションを依頼すること自体がジャンルを超えることにつながっていると考えています。

―――開業を迎えた今、TRAN.SCENDER® HÔTEL Yokohamaを訪れるお客様に最も届けたい価値、そして今後このホテルが地域にどのような存在になっていくことを目指しているのか、お聞かせください。

「Revive」というコンセプトの通り、ゆとりをもった客室、温泉ミストサウナ、こだわりぬいた朝食等を通じて、お客様が心身ともに回復していただけたら嬉しく思います。

また、横浜中華街は日帰りで訪れる方が多い場所ですが、宿泊することでもたらされる「新しい発見」をお客様に体験していただきたいと考えております。

今後は、このホテルを起点にお客様に横浜中華街や周辺地域の魅力を感じていただきつつ、地元の皆さまにも愛されながら、地域に根付いていく存在になることを目指しています。

■施設概要

施設名称:TRAN.SCENDER® HÔTEL Yokohama
所在地:神奈川県横浜市中区山下町81-3
開業日:2025年11月14日
客室数:34室(本館33室+別館1棟)
予約:公式ウェブサイト| https://transcender.jp/yokohama

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