(出典:ADDReC株式会社)
ADDReC株式会社と、カソク株式会社は、包括的な業務提携を発表した。ADDReCは空間プロデュースを通じて、生活者のためのソリューションデザインに取り組んできた企業であり、カソクは急変する旅とライフスタイル市場に対応するアパートメントホテルを展開している。両社は、これまで培ってきたホテル開発と運営実績、空間プロデュースおよびソリューションディベロップメントのノウハウを融合し、東京圏を中心に観光とホテル市場の拡充および地域活性化に資する新たなホテル開発に挑む。
ADDReCは「Real Estate as a Service(REaaS)」の理念のもと、人とデザイン、目に見えない価値を繋ぎながら、空間プロデュースという手法を駆使して、総合的なデザインを提供してきた。空間の体験価値やコミュニティの提供価値を創出し、社会課題の解決を見据えたソリューションデザインやランドスケープデザイン、事業開発における組織デザイン、ビジネスデザイン、オープンイノベーションにおけるプロジェクトデザインなどを統合的に提供している。日本のダウンサイジングフェーズを背景に、コロナ禍以降の観光分野での新産業の創出にも取り組んできた。
(出典:ADDReC株式会社)
一方でカソクは、土地の仕入れからホテルの立ち上げ・運営、アセット自体の売買に至るまでの一連のプロセスを一手に担う強みを活かし、土地や建物の利活用を検討するオーナーや投資家のニーズに対応してきた。全国11都道府県にわたり、36棟の旅館業施設の運営実績を有し、その経験を通じてアパートメントホテルの運営に精通している。今回の提携を通じ、両社はそれぞれのビジネスデザインノウハウとネットワークを融合し、動産・不動産両面の価値創造をソフトとハードの両面から支え、持続可能かつ最適な収益構造を持つホテルプロジェクトを開発する体制を築くことを目指している。
(出典:ADDReC株式会社)
また、地域性、公益性、社会性の三つの視点を重視し、地域コミュニティと共に成長し、地域住民にも利益をもたらす公益的な施設として、社会的課題への取り組みを通じて持続可能な社会づくりに貢献するホテルを創出する。これは単なる宿泊施設に留まらず、地域と訪問者が共に交流できる活動の中心地として、地域社会を支える存在となることを目指している。
近年、観光業とビジネス旅行の増加により宿泊業界は大きな成長を遂げている。Airbnbがもたらした経済波及効果は年間で4,055億円、41,500人の雇用機会創出に相当し、日本の観光業全体のGDPの1%、雇用の0.8%を支えている。また、宿泊費以外にも飲食や小売などに対する支出は合計約3,756億円に上り、2023年には日本の観光業界の総支出の約1.4%を占めたとされる。2023年10月以降の訪日外客数は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の水準を上回り、2023年12月には過去最高を記録するなど、観光業界の回復が見られる。政府は2030年までに訪日外国人旅行者数6千万人、消費額15兆円を目標に掲げている。
さらに、近年の旅の価値観の変化は、グループ旅行や長期滞在の増加、複数地域への訪問、そして観光地巡りだけでなく地域住民との交流を重視する傾向に反映されている。とりわけZ世代を中心に「旅の価値観」は国際的に大きく変わり、旅は観光地の訪問だけでなく、人との出会いや交流を重視するものへと進化している。こうした動向に応えるべく、両社は市場の動向やニーズに迅速に対応し、ブランディングから企画、開発、運営までを一貫して対応可能な体制を整えている。
こうした社会の変化や、旅の価値観の変化は、日本の旅を取り巻く市場に変化をもたらす。両社はこの取り組みを持って市場の動向やニーズにいち早く適応し、新しい旅市場を切り開くため、ブランディングから企画、開発、運営までワンストップで対応可能な開発体制を構築した。首都圏においては、アパートメントホテルを含む都市型ホテルビジネスを展開し、インバウンド市場を取り込むとともに、地方都市においては地域課題解決や地域活性化に貢献するホテル開発のデザイン手法を確立していく。