京都市は1月11日、旅館業法に基づく許可施設一覧を公表し2017年度の簡易宿所の速報値(2017年12月末現在)は2,106件となり、前年度比で約1.4倍増加したことを明らかにした。本年度は659施設が増加しており、3月末までの年度中にさらに増えることが見込まれる。
京都市が同日発表した許可施設の推移では、簡易宿所が堅調な伸び率を示している。その一方でホテルの新規許可が27件で計205施設。旅館は減少が続いており、現状で新規許可が2件の366施設にとどまった。
出典:許可施設数の推移
【許可施設数の推移】※()は新規許可数で2017年度は12月末現在
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年度 | ホテル | 旅館 | 簡易宿所 |
2013年度 | ホテル153(12) | 旅館387(2) | 簡易宿所391(48) |
2014年度 | ホテル162(17) | 旅館380(10) | 簡易宿所460(79) |
2015年度 | ホテル163(7) | 旅館369(2) | 簡易宿所696(246) |
2016年度 | ホテル182(20) | 旅館368(5) | 簡易宿所1493(813) |
2017年度 | ホテル205(27) | 旅館366(2) | 簡易宿所2106(659) |
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出典:許可施設数の推移
中でも京都の文化や伝統を感じることができる京町家の宿泊施設が急増。2012年度にはわずか6件だった京町家が、17年度(12月末現在)で504件までに成長している。
全国的に民泊を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行し、急増する民泊の促進を狙うが、京都市は独自の条例を制定し厳しい規制をかける。京都市では住居専用地域での民泊営業は、年間営業日数を閑散期の1~2月に限定され、民泊新法の年間営業日数の上限180日の約3分の1にまで規制される。
京都ではその規制の厳しさから民泊新法での事業化が難しく、年間を通して営業できる簡易宿所(旅館業法)での民泊営業が増加しているとみられる。
京都ではその宿泊需要の大きさからか、住宅宿泊事業法の施行を前に、市内では無許可の民泊施設も多い。京都市によると、2016年度に無許可営業の疑いのある1,159施設に指導を行ったという。2017年度は10月末現在で1,134件(前年度からの継続調査が必要な施設も含む)、前年度を上回りそうな勢いだ。
京都市内の民泊は、設備などの基準を満たした簡易宿所の許可を取った施設にシフトされることが確実。簡易宿所の届け出には一定の初期費用が必要になることから資金的な体力のある企業や組織的な事業母体による経営が増えることになりそうだ。