株式会社マンションマーケットが、東京23区を対象に、2017年の区ごとのマンションの平均平米単価を算出し、上昇率が高い区を調査した。第一位となったのは、訪日外国人観光客が急増するあの区だった。
東京23区のマンション価格上昇率
マンションマーケットが4月25日に発表した調査の概要は以下の通りとなった。
出典:マンションマーケット
東高、西低の価格上昇率
同調査結果では、2017年に最もマンション価格が変動したのは「台東区」。ランキングを見ると、2017年1月と12月を比べると約5.3%上昇した。
2017年のマンション価格は23区全てで上昇した。
台東区に次いで上昇率が高いのは足立区の5.2%、葛飾区の4.9%でいずれも東京都の東側の地域となった。
4位は港区、5位千代田区で、6位以降に荒川区、北区などが続いた。
逆に、上昇率が低いエリアは世田谷区、大田区、品川区、目黒区などの東京都の西側の地域となった。
台東区の上昇を押し上げる外国人観光客の増加
台東区は、浅草寺や仲見世が人気の浅草、西洋美術館や上野の森美術館、上野動物園などがある上野など人気の観光施設が多く存在し、価格上昇率が高かったのは、観光客の増加が第一にある。
台東区が、隔年で実施している観光統計マーケティング調査によると、2016年に観光客数は2014年比で12.36%上昇し、5,061万人に達し内、外国人観光客は830万人となった。
特に外国人観光客の増加は顕著で、2014年の526万人から304万人、36.6%もの増加を示した。
この率は、東京都発表の東京都全体の観光客数、約5億600万人から5億1,430万人に増加(+830万人、+1.7%)、内外国人観光客数は約887万人から1,310万人に増加(+423万人、+32.3%)を大きく上回るペースであり、外国人観光客の増加が同区で著しいことがわかる。
観光客の増加で、年間観光消費額は、2,672億円対2014年比0.8%(20億円)の増加となり、台東区での消費も増えていることが、物価などを含めたモノの価格の上昇とマンションの高騰に影響した模様だ。
訪日観光客を中心とした観光客狙いの民泊物件需要も上がっており、結果的にマンション価格も上昇したと考えられる。
台東区で相次ぐホテル出店
メトロエンジンリサーチによると、台東区では現在250の宿泊施設と17,869の客室が提供されている。
宿泊施設カテゴリー別数
出典:メトロエンジンリサーチ
上記のグラフの通り、台東区ではビジネスホテルが100軒で最も多く、簡易宿所61軒、シティホテル14軒、旅館とカプセルホテルが13軒となっている。
また、新規出店予定ホテルは44軒も確認され、新規ホテルの出店は、上野駅と浅草駅付近に集中している。
こうしたホテルの出店も観光客の増加やマンション価格の上昇と相関関係を持っていると言えるだろう。
価格上昇率と潜在性
他方で、2位となった足立区には新規ホテルの出店計画は4軒しか確認できず、既存の宿泊施設も20、宿泊部屋数は589にとどまり、その数は少ないことがわかる。また、20の宿泊施設の全てが簡易宿所なのも大きな特徴である。
3位の葛飾区も宿泊施設の数は20施設に過ぎず、これら地域ではバックパッカー以外に多くの外国人観光客が宿泊する施設は少なく、観光客や宿泊施設との関係性は見出せなかった。
この背景はマンション価格が安い「穴場」としてのこれら地域での通勤者の増加があるが、同調査は、あくまで上昇率の観点からの比較であり、足立区や葛飾区が依然として低価格でありその潜在性からの上げ幅が大きくなりやすいのが影響していると思われる。
金額で言えば、やはり港区や千代田区、渋谷区が圧倒的に高い金額となっており、2020年の東京五輪までは少なくとも都内の不動産投資によりマンション価格の高騰が続きそうだ。