近畿日本ツーリストの秋の国内旅行販売高は、昨年と比較し約178%と非常に好調である。一方、猛暑の影響で紅葉が遅れるため、紅葉の名所である京都などのエリアは販売が鈍化している。また、海外旅行の動向に目を向けると、物価の高騰や円安の影響を受け、安くて近い東アジア圏が人気を集めているのが特徴である。
(出典:近畿日本ツーリスト)
2023年の秋の国内人気旅行先ランキングによれば、1位は千葉県、特に「東京ディズニーリゾート®」の人気が高いことが窺える。2位は多様な観光資源を持つ東京都、3位は「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が人気の大阪府である。大都市エリアが上位を占める背景には、コロナの収束後、各地でイベントやコンサートが本格的に再開し、都市部への旅行への抵抗感が薄れたことや、インバウンドの増加とそれに伴う都市部のホテル開業の増加があると考えられる。一方、昨年の2位であった京都は、今年は7位にランクダウンしている。
(出典:近畿日本ツーリスト)
海外旅行先ランキングでは、1位に「台北」が浮上している。これは、多くの航空路線が再開されたことや、台湾が親日国であることからの安心感が背景にあると思われる。2位は「香港」、3位は「ソウル」である。特に香港は、ゴールデンウィークのランキングでは8位であったが、新しい観光スポットのオープンなどで2位まで急浮上した。また、韓国のソウルは、コロナ禍以降の韓流ブームが影響していると考えられる。
結論として、国内旅行はコロナ前の状態に回復しつつあるが、海外旅行の完全復活にはまだ時間がかかると見られている。物価の高騰や円安がその大きな要因として挙げられる。