観光庁は一般社団法人日本旅行業協会(JATA)と協力して「いまこそ海外!宣言」を発表した。その目的は、コロナ禍で停滞している日本人の海外旅行(アウトバウンド)の早期回復を促進し、海外旅行者数を2019年水準(約2000万人)に戻すことである。
(出典:JATA)
5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行したことを受けて、日本の出入国時の水際対策が終了し、コロナ禍前と同様に海外旅行を楽しめる環境が整った。旅行会社や航空会社などと連携し、海外旅行の機運醸成に向けた取り組みを進める。その一環として、魅力的なキャンペーンの促進や若者の国際交流の更なる推進、安全・安心な旅行環境の整備などが行われる。
観光庁はまた、3月15日に発表した「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」について、24カ国・地域を当面の重点デスティネーションとして選定した。これらの国・地域は東アジア、東南アジア、北米・中南米、欧州・中東、オセアニアに分布している。
また、JATAは「パスポート取得費用サポートキャンペーン」を実施する。これは10年間有効のパスポートを新規取得または更新する際の1万6000円の費用の半額である8000円をサポートするものである。7月から9月に海外旅行に行った人が応募可能で、抽選で3210人が選ばれる。円安や燃料費高騰の影響で高く感じられがちな海外旅行の費用負担を軽減することを目指している。
また、「夏旅Wキャンペーン」では一定条件を満たして今夏、海外旅行をした応募者に、海外Wi-Fi無料レンタル(先着130名)や、マルチ海外電源変換アダプター(先着50名)などの賞品をプレゼントする。
海外旅行の必要条件である日本人のパスポート取得割合は、2019年の24.4%から2022年には17.8%にまで下がっており、「先進国の中でダントツに低い」という現状がある。これを改善するべく、パスポート取得キャンペーンの第2弾を今秋から冬にかけて実施することを検討している。
観光庁は、アウトバウンドの低迷が続くと、海外における日本市場の存在感が弱まることや、航空座席やホテルの確保が困難になるなどの問題が生じると指摘している。インバウンドとアウトバウンドがバランスよく成り立つことで、国際航空便の早期回復や国際ビジネスの回復、さらなるインバウンドの拡大につながると説明している。また、「日本人の国際感覚の向上と国際間の相互理解の増進が、国際間の良好な関係構築につながる」と述べ、この政策的意義を強調している。
さらに、「島国の日本が海外と交流をするには航空ネットワークが欠かせない。それらを維持・拡大するには双方向の需要を早期に戻す必要がある」と指摘し、日本発の海外旅行需要を増やす重要性を説明している。
このような取り組みを通じて、日本人が再び安心して海外旅行に出かけることができ、観光業の持続的な発展に寄与することが期待されている。