ホテル特化型メディア

眠っていたデータから新たな付加価値を

トップ > インバウンド > 2024年上半期 訪日観光客の買い物動向と観光業への影響

2024年上半期 訪日観光客の買い物動向と観光業への影響

投稿日 : 2024.08.27

指定なし

インバウンド

ホテル関連ニュース

(出典:株式会社Payke
株式会社Paykeは、提供する訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke(ペイク)」における2024年上半期(1~6月)の訪日外国人の動向をまとめた「2024年上半期訪日客の消費トレンドレポート」を発表した。本レポートではPaykeが保有する訪日客の利用データをもとに、消費動向やインサイトを紹介している。

日本政府観光局の発表によれば、2024年7月の訪日外客数は3,292,500人となり、2019年比で約30万人上回る10.1%増となった。1月から7月の累計では2100万人を超え、日本全国に多くの外国人観光客が訪れている。さらに、2024年6月に政府が発表した「新たなクールジャパン戦略」では、コンテンツ、インバウンド、食、ビューティなどの海外展開を、現在の19兆円から2033年に50兆円まで拡大する方針が掲げられた。特にインバウンドはその中核を担っており、人流復活後に急速に成長する市場として注目を集めている。

一方で、多くの外国人にとって商品購入時に日本語という言語の壁が存在する。この課題に対応するため、Paykeでは、外国人観光客が商品のバーコードをスキャンするだけで、7言語(繁体字、簡体字、韓国語、タイ語、ベトナム語、英語、日本語)で商品情報を表示することが可能である。英語だけでなく、訪日数の多いアジア圏の言語をサポートすることで、2024年7月末時点で累計ダウンロード数は500万件を突破し、国内NO.1の訪日外国人観光客向けショッピングアプリを目指している。

今回発表された「消費トレンドレポート」を通じて、Paykeは日本企業が訪日客のインサイトを掴み、外国人消費者が日本の商品をより購入しやすい環境を構築し、増加する訪日客の消費獲得に貢献することを目指している。

株式会社Payke資料より作成)

調査結果によると、2019年の主要国籍ごとの人気商品は多くが医薬品であり、台湾人旅行者から最も人気を得ていたのは日清カップヌードルであった。2024年の結果では医薬品は上位にランクインしているものの、パックやクリームといった美容系のアイテムが上位に入るようになり、やや人気商品の動向に変化があったと考えられる。

(出典:株式会社Payke

また、訪日観光客に人気のある製品ブランドは目薬や皮膚薬・胃腸薬を出しているメーカーであった。2024年のメーカー商品消費ランキングの上位3つは「ロート製薬」「花王」「小林製薬」である。その他にもライオンや大正製薬、資生堂といった企業もランクインしていた。

(出典:株式会社Payke

本レポートでは訪日観光客の買い物場所についても調査が行われている。調査によると都市部での買い物客数はコロナ前の水準を超えているものの、都市部での買い物客数は戻り切っていない。オーバーツーリズムの問題などもあるように、インバウンド客は主要都市の観光地を選ぶことが多いことから地方での買い物客数は回復しないのではないかと考えられる。また、都市部では交通インフラが充実しているほか、買い物時の外国人への多言語対応やキャッシュレス決済などのサービスが整っている場所が多いことも都市部に買い物客が集中する要因の1つだと考えられる。

(出典:株式会社Payke

買い物を行う店舗ブランドについても2019年と2024年では変化が見られた。2019年にはドン・キホーテやダイコクドラッグ、マツモトキヨシなどドラッグストアやディスカウントストアで買い物をする訪日観光客が多く存在した。しかし、2024年になると圧倒的に多くの外国人がドン・キホーテでの買い物を選択している。ドン・キホーテは全店が免税対象店でありアジア圏の通貨を含めた7か国の通貨を使用できることから外国人が買い物しやすく、結果的にドン・キホーテに訪れる訪日観光客が増加していると予想される。

(出典:株式会社Payke

今回の調査からコロナ禍前の2019年と「アフターコロナ」といわれる2024年では、訪日観光客の買い物動向に様々なへ化があったことが確認できる。人気商品の変化については、2019年には医薬品や食品が人気を集めていたが、2024年には美容系アイテムが上位にランクインし、製品ブランドでもロート製薬や花王、小林製薬といったメーカーが特に支持を得ていることが明らかになった。また、都市部での買い物客数がコロナ前の水準を超えた一方で、地方での回復が進んでいない現状も浮き彫りとなっている。この背景には、主要都市への観光客集中や交通インフラ、多言語対応などのサービスが都市部に集約されていることが影響していると考えられる。さらに、訪日観光客が選ぶ店舗ブランドにも変化が見られ、2024年には圧倒的にドン・キホーテが選ばれるようになっている。同社の免税対応や多通貨対応が、外国人観光客にとって利便性の高い買い物先として評価されているためである

買い物のトレンドやパターンの変化は、観光やホテル業界にとっても外国人観光客を引き寄せるための戦略や活動に役立つ。観光客が都市部での買い物を中心に観光場所や宿泊施設を選択する傾向が強まり、美容系アイテムの人気が上昇していることから、ホテル業界においても、宿泊プランやサービスにおいてこれらのニーズに応える工夫が求められると予測されるだろう。例えば、ドン・キホーテやその他の人気ショップと提携し、宿泊客に対して特別なクーポンや割引を提供することで、ホテルとショップの双方に利益をもたらす取り組みや、訪日観光客に人気のある美容アイテムや健康グッズを試すことができる宿泊プランを企画し、観光客に日本ならではの製品を体験させるなどにより、他のホテルとの差別化を図ることができる。

また、ドン・キホーテのように外国人対応が充実した店舗が人気を集めている現状を鑑みると、観光地や宿泊施設でも多言語対応やキャッシュレス決済など、インバウンド客にとって利用しやすい環境の整備が、これからの競争力を左右する重要な要素となると考えられる。観光業とホテル業が連携し、訪日客のニーズに応えることで、日本全体の観光魅力はさらに高まり、今後も安定的な訪日観光客の確保につながっていくであろう。

合わせて読みたい
  • コンサート遠征の悩み解消!FanVasが...

  • 【JNTO発表】2024年7月の訪日外客...

  • 中国人旅行者の訪日意欲高まる:インバウン...

  • JNTO発表:過去最高の6月訪日外客数3...

関連記事