(出典:JNTO)
日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年4月の訪日外国人数は3,908,900人となり、前年同月(2024年4月)の3,043,003人に比べて56.1%増加した。前月(2025年3月)の3,497,600人からも28.5%の増加となり、順調な回復傾向が続いていることを示している。また、コロナ禍前の2019年4月(2,926,685人)と比較しても33.5%増と、需要が完全復調に向かっている様子がうかがえる。
(JNTOの資料を基に作成)
国別に見ると、2025年4月の訪日外客数で最も多かったのは中国で、765,100人が日本を訪れた。これは前月(661,700人)から15.6%の増加であり、前年同月(533,611人)比では実に43.4%の伸びを示した。さらに2019年4月(726,132人)と比較しても5.4%増と、パンデミック前の水準を超えている。中国からの訪問者の急増は、航空便の復便や団体旅行解禁の影響、さらには円安の進行が寄与していると考えられる。
2位は韓国で、2025年4月の訪日者数は721,600人であった。前月(691,700人)比では4.3%増、前年同月(661,259人)比では9.1%増、2019年4月(566,624人)比では27.4%の増加となった。韓国市場は安定して高水準を維持しており、近距離・短期旅行の需要の高さや、継続的なプロモーション施策が奏功しているとみられる。
3位の台湾からは537,600人が訪日し、前月比2.8%増、前年同月比では16.9%増、2019年同月との比較では33.2%増と高い伸びを示した。4位の米国は327,500人で、前月(342,800人)からは4.5%減少したものの、前年同月(228,900人)比では43.1%増、2019年比では92.4%増と、長距離市場としては非常に堅調である。5位の香港は263,600人で、前月(208,400人)比26.5%増、前年同月比42.9%増、2019年比でも35.3%増加し、力強い回復を見せた。
全体として、東アジア市場(中国、韓国、台湾、香港)の回復が著しく、特に中国市場の復調が訪日外客数全体の押し上げに大きく寄与している。一方、米国をはじめとする中長距離市場の成長も顕著であり、グローバルな旅行需要の回復が日本のインバウンド市場を後押ししている。
今後の戦略としては、回復基調にある中国・韓国市場に向けた継続的な誘客施策に加え、米国や欧州など中長距離市場へのプロモーション強化も重要となる。また、訪日目的の多様化に対応する観光資源の整備や、地域分散型の受け入れ体制の構築が求められる。
継続的な成長を図るには、需要増に伴う観光地の混雑や環境負荷への対処も不可欠である。今後は持続可能な観光の実現に向けた取り組みが、訪日市場のさらなる発展にとって鍵を握るだろう。