観光庁はこのほど、2017年11月の訪日外国人数が、前年同月比26%増の237.8万人(推計値)で、1月からの累計で2,616.9万人になったと発表した。今年の12月分の集計を残し、既に2016年の2,404万を突破して過去最多を更新した。
政府は東京五輪・パラリンピックを開催する2020年にインバウンド(訪日外国人)を4,000万人にするという目標を掲げている。観光庁の田村明比古(あきひこ)長官は記者会見で「2020年の目標に向けて堅調に推移している。今年は(12月分の集計を加算して)2,800万人半ばに迫る勢いがある」との見通しを語った。
インバウンドは2011年の東日本大震災で落ち込んだものの、翌12年以降から回復。13年から5年連続で過去最高を更新している。順調に推移していけば、20年の4,000万人のインバウンドの目標が現実味を帯びてくる。
データ出典:JNTO(日本政府観光局)
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年 | 訪日外国人数 |
2008年 | 835万人 |
2009年 | 679万人 |
2010年 | 861万人 |
2011年 | 622万人 |
2012年 | 836万人 |
2013年 | 1,036万人 |
2014年 | 1,341万人 |
2015年 | 1,974万人 |
2016年 | 2,404万人 |
2017年※ | 2,617万人 |
データ出典:JNTO(日本政府観光局)
※2017年は1~11月までの推計値。
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市場別に見ると、インドを除く19の市場で11月としての過去最高を記録している。韓国が62万2,600人で前年同月比45.8%増のトップ。中国が56万7,100人で同31.0%増の2位となっている。このほか、全体的な人数は少ないものの、ビザの発給緩和策を実施したロシアが7,800人で同56.5%増の伸び率を記録している。
▼2017年11月の訪日外国人旅行者数(推計値)
1.韓国=62万2,600人(前年同月比45.8%)
2.中国=56万7,100人(同31.0%)
3.台湾=36万3,200人(同20.8%)
4.香港=17万2,900人(同13.5%)
5.米国=11万4,900人(同10.7%)
6.タイ=9万4,500人(同17.6%)
7.マレーシア=5万2,200人(同17.5%)
8.シンガポール=5万500人(同16.6%)
9.フィリピン=4万600人(同35.3%)
10.豪州=3万9,200人(同18.3%)
データ出典:JNTO(日本政府観光局)
田村長官は、右肩上がりのインバウンドの増加について、近隣諸国からの航空便やクルーズ船の寄港数などが増えていることを理由に挙げた。旅行のスタイルも多様化しており、今後について「いろいろな施策を加速していかなければならないと考えている」と述べた。
国内では多くのインバウンドの受け皿として、2018年6月15日に施行する住宅宿泊事業法(民泊新法)を控える。20年に向けてより多くのインバウンドを迎えるため、ハード面の整備に加え、ホスピタリティーの向上にも努めるなど、ソフト面の拡充もオール日本で取り組む必要がある。