石井啓一国土交通相は1月12日、2017年のインバウンド(訪日外国人)が2,869万人になったことを閣議後の記者会見で明らかにした。前年比19.3%増で5年連続の過去最高を更新。政府は2020年東京五輪・パラリンピックまでに年間4,000万人を目標としている。
政府による外交策を展開し、アジアの各国・地域へビザの発給要件を緩和。格安航空会社(LCC)を中心に航空会社の路線数が増加、大型クルーズ船の寄港も増えるなど、政府挙げてのPR活動が功を奏した形だ。
石井国交相は会見で「これまでの取り組みの成果が出た」と評価する一方、「今後はさらに高い次元で観光施策を行い、欧米や豪州からの訪日需要を掘り起こしていきたい」と述べた。
最近のインバウンド(訪日外国人)は、旅行の傾向が変化している。「爆買い」に象徴される中華圏の「モノ消費」から、日本文化や伝統などを体験する「コト消費」へ旅行の
スタイルがシフト。日本の生活様式に溶け込める民泊の需要も高まり、より機動力のある宿泊&体験型観光にインバウンドの関心が高まっている。
政府はさらに多くのインバウンドを受け入れるため、法整備も行った。6月15日に施行する住宅宿泊事業法(民泊新法)で、宿泊施設の規制緩和を実施し、多くのインバウンドの受け皿を拡充させる。
万単位
※出典:JINTO(日本政府観光局)
【過去10年間の訪日外国人旅行者数の推移】
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年 | 訪日外客数 |
2008年 | 835万人 |
2009年 | 679万人 |
2010年 | 861万人 |
2011年 | 622万人 |
2012年 | 836万人 |
2013年 | 1,036万人 |
2014年 | 1,341万人 |
2015年 | 1,974万人 |
2016年 | 2,404万人 |
2017年 | 2,869万人 |
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※出典:JINTO(日本政府観光局)
政府は2003年に国交省が中心となり、インバウンドの招致活動を行うプロモーション「ビジット・ジャパン」を開始。国交相を本部長とし、海外へ積極的なPR活動を行ってきた。宿泊施設へはインバウンド対応のため、多言語化への案内対応や施設整備などの補助金などを設け、積極的な事業を行ってきた。
2009年は前年のリーマンショックの影響でインバウンドが減少。さらに11年は東日本大震災の影響で、前年比240万人以上も落ち込んだ。しかし、政府のインバウンド増加へ向けた数々の施策で、12年以降は6年連続で増加。13年から5年連続で過去最高を更新するなど、右肩上がりで成長を続けている。
政府はインバウンドの年間目標を20年に4,000万人、30年に6,000万人に設定し、今後も「おもてなし」を含めたソフト面の拡充も目指す。