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中国人観光客が再び注目する「日本旅行」:個人化・地方志向が進む最新動向

投稿日 : 2025.08.06

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調査

インバウンド

(出典:株式会社unbot

近年、中国人観光客の間で、日本は「近くて安全で体験価値の高い」旅行先として再評価されつつある。特に2024年から2025年にかけては、個人旅行を中心とした深掘り型の旅や地方への訪問が顕著に増加している。このような状況を背景に、中華圏に特化したデジタルマーケティングを展開する株式会社unbotは、中国人観光客の旅行スタイルやニーズの変化を分析し、日本旅行が再評価される理由を明らかにした。

中国最大の旅行サイト「携程(Ctrip)」の分析によると、2025年において人気のある海外旅行先として日本、タイ、シンガポール、マレーシア、韓国が挙げられている。その中でも、日本は常に高い人気があり、SNS上では「#日本旅行」や「#亲子游日本(子連れ日本旅行)」といった検索キーワードが増加している。この人気の背景には、円安による価格的な魅力、文化的な安心感、食の多様性と安全性、四季折々の自然やイベントの魅力、距離の近さと時差の少なさ、ビザ政策の緩和と航空便の回復といった要素がある。

(出典:株式会社unbot

訪日時期に関しては、中国における春節、労働節、国慶節の3大連休が訪日ピークとなる。特に春節と国慶節は約1週間の大型連休であり、日本への観光客が大幅に増加する。また、学生の夏休み期間や清明節、端午節などの短期休暇においても旅行需要が高まっている。

(出典:株式会社unbot

旅行スタイルの変化として、団体ツアーから個人旅行への移行が顕著であり、若年層やファミリー層を中心に自分たちのペースで旅行を楽しむ傾向が強まっている。また、テーマ性を重視した旅が人気を集めており、食を目的とした美食旅行、親子での体験型旅行、鉄道の旅などが挙げられる。さらに、SNSでの発信を意識した「映えスポット」も旅行先選定において重要視されており、京都の町家カフェ、富士山を背景にした宿泊施設、東京のアニメ関連ショップやキャラクターカフェなどが注目されている。

2025年以降のインバウンド市場では、旅行先の多様化、情報発信手段の進化、政策支援の強化など複数の要因が重なり、大きな転換期を迎えると予測されている。特に地方への旅行誘致が加速しており、東北、中部、四国、九州などへの訪問が増加している。中国から地方空港への直行便の増加もこの傾向を後押ししている。

さらに、小紅書(RED)や抖音(Douyin)といったSNSを活用したVlog形式の旅行コンテンツの普及、ライブコマースによる旅行先の商品や体験のリアルタイム紹介など、インフルエンサーの影響力も高まっている。観光庁による地方誘致や多言語対応強化といった政策とも連動し、文化庁も2025年に向けて和文化と体験型観光を重点施策として掲げている。

今後も中国人観光客の動向は、経済情勢や政策変更の影響を受けつつも、日本にとって重要なインバウンド市場であることに変わりはなく、「質」を重視した体験型やテーマ性のある旅行が重要な鍵となるであろう。

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