ホテル特化型メディア

眠っていたデータから新たな付加価値を

トップ > ホテル統計データ > 【独自調査】宿泊予約とレビューの推移から読み解く国内宿泊市場の今

【独自調査】宿泊予約とレビューの推移から読み解く国内宿泊市場の今

投稿日 : 2025.02.13

指定なし

ホテル統計データ

ホテル関連ニュース

ホテルバンクは、宿泊施設向けレベニューマネジメントツールを提供するメトロエンジン株式会社が提供するデータを基に、2023年1月から2024年12月にかけての国内宿泊需要について独自の調査を行った。本調査では、メトロエンジンが保有する予約室数情報と全国の宿泊施設のレビューデータを用い、国内旅行者(邦人)と訪日外国人旅行者(インバウンド)の宿泊需要の違いに焦点を当てている。

国内の宿泊市場は、新型コロナウイルスの影響が薄れた後も回復基調が続いており、訪日外国人旅行者の増加に支えられて活発な動きを見せている。しかし、2023年10月~12月と2024年10月~12月の宿泊者数を比較すると、日本人の宿泊指数は前年同期比0.97倍となり、わずかに減少していることが確認された。一方、訪日外国人旅行者の宿泊指数は前年同期比1.05倍と引き続き増加しているものの、その伸び率は鈍化しており、過去の急成長期と比べると、より安定した成長フェーズに移行しつつあることが明らかになった。

(出典:メトロエンジン株式会社

邦人の宿泊指数をみると、予約室数の推移は2023年10月~12月と2024年10月~12月を比較した場合、前年同期比0.97倍とわずかに減少している。2023年全体では比較的安定して推移していたが、2024年に入ると宿泊需要の伸び悩みが見られ、やや低下傾向が続いている。一方で邦人のレビュー件数については、2023年10月~12月と2024年10月~12月を比較した場合、前年同期比1.05倍とわずかに増加している。宿泊指数の減少にもかかわらず、レビュー件数は横ばいから増加傾向を示しており、宿泊需要の伸び悩みと対照的に、レビュー投稿はやや活発になっている。
この結果は、宿泊の頻度は減っても、一回の宿泊体験のシェア意識が強まっている可能性を示している。レビューが宿泊施設選定の重要な要素として重視される傾向が強まり、SNSやオンラインプラットフォームを通じた意見共有が活発化していることもレビュー件数の増加につながっていると考えられる。

(出典:メトロエンジン株式会社

外国人宿泊指数は、予約室数の推移において前年同期比1.05倍の増加を示し、インバウンド需要の回復が続いていることが確認された。ただし、2023年の急激な増加に対し、2024年は増加幅が縮小、レビュー件数も前年同期比1.14倍と増加し、インバウンド需要の高まりがレビュー投稿に反映されているが、2023年の急成長に対して2024年はその増加幅が抑制されていることがわかる。このように、予約件数とレビュー件数の増加幅がともに穏やかになったことは、インバウンド需要が引き続き高水準を保ちつつ、急成長フェーズを過ぎ、より持続的な成長へとシフトしていることを示している。

背景として、日本人の旅行需要の伸び悩みには、宿泊費の高騰に加え、旅行回数の減少や旅行先の選択肢の変化が影響している可能性がある。宿泊施設のコスト上昇や人手不足による価格転嫁が、邦人旅行者にとっての負担を増やしている一方、旅行全体の支出を抑えるために宿泊を伴う旅行の頻度が減少していることも考えられる。一方で、外国人旅行者にとっては円安の影響が依然として旅行需要を押し上げる要因となっており、日本を訪れる旅行者の購買力が維持されていることが、宿泊需要の継続的な増加につながっている。ただし、2023年のような急激な伸びは落ち着きつつあり、安定した増加傾向に移行していると考えられる。

この傾向を踏まえ、今後の宿泊市場においては、訪日外国人旅行者向けのプロモーションやサービス強化が引き続き重要となるが、同時に需要の急激な変化に備えた戦略的な対応も求められる。また、邦人旅行者の満足度を高め、国内宿泊需要の減少を防ぐためには、単に価格競争に頼るのではなく、宿泊体験の価値向上や新たな旅行スタイルへの対応が必要となる。宿泊施設にとっては、インバウンド市場の取り込みとともに、邦人向けの付加価値を高めることで、市場全体の安定した成長を実現することが重要である。

合わせて読みたい
  • 【独自調査】予約動向とレビューから分かる...

  • 【2025年01月最新】京都市の旅館を徹...

  • 競合と差をつける!:MetroAIの競合...

  • 最新データで宿泊市場を分析:メトロエンジ...

関連記事