宿泊施設というカテゴリには、シティホテルやビジネスホテル、外資系ホテルなど様々であるが、これらは経営形態や運営方式によっていくつかの分類に区分することができる。
ホテルの運営というと、ホテルオーナーがホテルを運営しているイメージが強いかもしれないが、その裏側はリース型、運営委託型、フランチャイズ型など様々だ。
本稿では、ホテルの運営方式として一般的な4つの方式について特徴やポイントをご紹介していく。
所有直営型
ホテルの運営母体の会社が土地と建物(ホテル)を所有する運営方式でホテル経営の基本的な形となる。不動産の所有者なので、融資の際の金融機関の評価や社会的信用が高いのも特徴。
資金的に体力のある大企業が母体になることが多く、一方でペンションや民宿なども個人所有で運営しているケースもある。トレンドや顧客ニーズに合わせて、独自で増改築などができ、機動力を持った戦略が立てられる。
▽主な宿泊施設
・帝国ホテル
・リーガロイヤルホテル
・プリンスホテル
・ワシントンホテル
・ホテル椿山荘東京
リース型
所有者からホテル1棟を賃借し、運営会社が経営をする形式。リースして運営に特化するビジネスモデルとなるため短期間で複数のチェーン店化ができるメリットがある。運営会社はオーナーである所有者に賃料を払い、ホテルの経営と運営に特化する。
私鉄系などの親会社の所有するホテルに対し、系列の子会社で運営する形式も多く、おもにビジネスホテル等で多く採用されている。
▽主な宿泊施設
・ホテルルートイン
・東横イン
運営委託型
土地と建物を所有するオーナーが、ホテルの運営を別会社に委託する形式。委託された会社は支配人などの幹部社員を派遣し、マネジメントを行う。オーナーにとって、運営を専門家に委託することで経営の負担が軽減できるメリットがある。
運営会社も土地や建物を仕入れる巨額の資金が必要なく、収益の安定化を図れる。既存のホテルで従業員を抱えているケースもあり、社員教育によってスキルが向上する効果もある。
▽主な宿泊施設
・オークラ ホテルズ&リゾーツ
・ニッコー・ホテルズ・インターナショナル
・ホテルJALシティ
・星野リゾート
フランチャイズ型
コンビニエンスストアでもおなじみのフランチャイズ式だが、ホテル業界でも一般的に取り入れられている。
フランチャイズ型は加入者が、チェーンに加入することにより経営ノウハウとブランド使用権を得える一方で、本部に加盟料や経営指導料(ロイヤリティ)を支払う方式。
ホテル経営のノウハウのない企業にとって、経営ノウハウとブランド名称の使用権を得ることができるのがメリットとなるが、経営状態にかかわらず本部にロイヤリティの支払いを行う必要がある。
▽主な宿泊施設
・アパ(APA)ホテル
・スーパーホテル
・ホテルサンルート