大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社2社が政府の観光支援事業「Go To トラベルキャンペーン」の給付金を不正受給した疑いのある問題で、HISの調査委員会は24日、子会社による不正受給を認定したと発表した。返還対象の給付金総額は6億円以上に上る。
子会社の社長を解任
調査報告を受け、HISの澤田秀雄会長兼社長が会見を開き陳謝。子会社に社については「ルールに反することがあった」と述べ、ミキ社の社長を解任する方針を説明した。HIS本体も役員の一部について処分を検討する。
不正受給した2社はミキ・ツーリストとジャパンホリデートラベル。調査委によると、ミキ社は宿泊施設を提供したホテル運営会社JHATと折半しようと補助金を申請し、4080万円を不正受給したとのこと。ミキ社員80名分の氏名で4800泊分を申請したが、実際に宿泊したのは114泊だった。
ジャパン社は宿泊を伴う研修旅行の名目で、最大6億4249万円を不正に受給。申請した宿泊の多くに実態がなかったが、JHATが主導し、ジャパン社に故意はなかったとしている。
調査委委員長の荒武純一弁護士は不正受給が「刑罰法規に当たると思う」と述べ、詐欺罪に問われる可能性があると指摘。HISは給付金を返還する考えを示す一方、現時点で子会社の刑事告発は考えていないと説明した。
HISはGo To トラベル再開時の対応について、HIS本体は参加の意向を示したが、不正受給の子会社2社は辞退させる。
なおJHATは調査報告を受け、「調査委の報告書には当社の見解が全く反映されていない。非常に困惑し、不満を感じている」とのコメントを出した。
斉藤鉄夫国土交通相はHISが調査報告を公表したことを受け、「給付金は国民の税金を活用したもので、不正受給は許されるものではない」と語り、HIS子会社2社とJHATの3社に給付金の返還請求を行う。
また斉藤国交相はGo Toトラベル事務局が独自に行なっている調査報告についても、調査を早急にまとめるよう、観光庁に指示。観光庁は結果や今後の対応方針について、年内にも発表する。