(出典:NTT西日本株式会社)
福井県坂井市、NTT西日本株式会社、事業構想大学院大学の三者は、坂井市の地方創生を目的とした包括連携協定を2025年7月4日付で締結した。これにより、坂井市の歴史的資源である「三国湊」をフィールドとし、地域観光の未来を担う人材育成と新たな事業創出をめざす「三国湊共創プロジェクト研究」が発足する。
坂井市は、日本海に面した自然と歴史・文化が融合する地域であり、なかでも三国湊は江戸時代に北前船の寄港地として栄えた歴史を持つ。現在も往時の面影を残す町並みや文化行事、穏やかな水辺の風景が人々を魅了している。一方で、少子高齢化や人口減少といった全国共通の課題が坂井市にも及び、地域を担う人材の確保や新規事業の創出が急務となっている。
こうした背景から、坂井市はNTT西日本グループの地域まちづくり事業会社「Actibaseふくい」および事業構想大学院大学と連携し、同プロジェクトの実施に至った。連携協定の主な目的は、観光振興、地域経済の活性化、人材育成、地域振興などであり、三者が協力して坂井市の持続的な発展を支える。また、NTT西日本は企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を活用し、坂井市に寄附を行っている。この寄附は、同プロジェクトを中心とした地方創生事業に活用される。
坂井市長は、この協定が「幸せを実感できるまちづくり」という市のビジョンに基づくものであり、市民が住み続けたいと思える環境を実現するために産官学が連携する重要な取り組みであると述べている。とくに、地域課題をビジネスチャンスに転換できる人材の不足が明らかになったことから、同プロジェクトを通じてビジネススキルを備えた人材の育成を進め、地域課題の解決に貢献する方針である。
NTT西日本福井支店長は、ICTの活用による地域課題の解決に取り組む同社の姿勢を強調しつつ、三国湊がもつ歴史・文化・自然の魅力に大きな可能性を見出していると語った。地域住民と旅行者の交流促進によりおもてなしの質を向上させ、旅行者の満足度を高めることで、再訪したくなる地域づくりを目指している。
事業構想大学院大学の教授であり、同プロジェクトの担当教員は、これまで大学が積み重ねてきた構想人材の育成と地域共創の実績を活かし、地域観光の未来を構想する同プロジェクトに取り組む意向を示している。
プロジェクトには、地域内外から選ばれた12名の「プロジェクト研究員」が参加予定である。まちづくりに挑戦したいという意欲をもつ人を対象に一般公募が行われ、選出された研究員は、事業構想大学院大学の教育・研究プログラムを通じて構想力を磨き、地域のパートナーや異業種企業と連携して共創を進める。研究会は2025年8月から2026年3月まで、坂井市役所およびオンラインにて全20回実施される。