(出典:株式会社おてつたび)
このたび、株式会社おてつたびは、長野県山ノ内町と連携協定を締結した。人手不足の解消および関係人口の創出・拡大を通じて、持続可能な地域づくりを推進することを目的としている。2025年4月24日には、町内にて協定締結式が執り行われた。
山ノ内町は、志賀高原、北志賀高原、湯田中渋温泉郷、地獄谷野猿公苑といった観光資源に恵まれ、国内外から多くの観光客が訪れる地域である。一方で、高齢化や人口減少が進行し、観光業ではインバウンド対応の人材が不足、農業では労働力の確保が難しくなるなど、地域の産業基盤を支える人材不足が深刻化している。
(出典:株式会社おてつたび)
このような背景のもと、山ノ内町内ではすでに22の宿泊事業者が「おてつたび」の仕組みを活用しており、2025年4月15日時点では、これまでに1,200名以上の応募者のうち、実際に約400名が町内での就業を果たしている。今回の協定締結により、さらなる利用拡大が図られ、観光業のみならず農業やその他の地域産業においても、労働力の確保と地域のファンづくりの両立が期待されている。
(出典:株式会社おてつたび)
「おてつたび」は、「お手伝い(短期アルバイト)」と「旅」を掛け合わせた人材マッチングサービスである。人手不足に悩む地域事業者と、働きながら地域を訪れたい旅行者をつなぐこの仕組みは、旅費の自己負担により参加者側のコストを抑える一方で、報酬と宿泊場所を提供する地域事業者にとっても柔軟な受け入れが可能な、双方にとってメリットのあるモデルとなっている。
本協定では、町内産業の人手不足への対応、関係人口の醸成、サービス利用者との接点整備、そして取り組みの対外発信が主な柱となる。単なる労働力の補填に留まらず、地域の魅力を実際に「体験する」ことを通じて、地域との中長期的な関係構築を図るものである。
山ノ内町の平澤岳町長は、「実際に現場で働き地域の魅力に触れることで、将来的な移住や定住にもつながる」と期待を寄せている。また、おてつたび代表の永岡氏は、同町が初めての受け入れ先であったことに言及し、「原点に立ち返るような思い」と語っている。冬のスノーシーズンに偏らず、グリーンシーズンを含めた通年での関係づくりを目指す方針も示されている。
今後は観光業にとどまらず、果樹や菌茸類の栽培など地域の豊かな一次産業にもこの仕組みが拡大し、多様な人材との接点を生み出すことが期待されている。山ノ内町とおてつたびの連携は、地域の未来をともに描くための新たな一歩として注目される。