株式会社Koeeruは、兵庫県豊岡市において観光事業の推進を担う一般社団法人豊岡観光イノベーションと、観光CRM(顧客関係管理)の共創を目的とした地域活性化包括連携協定を締結した。この協定によりKoeeruは、観光客の一次情報(Voice of Customer:VOC)と域内の観光客データを起点とした観光CRMの導入・運用支援を行い、豊岡市の観光振興と関係人口の創出・拡大に貢献する方針である。
(出典:株式会社Koeeru)
兵庫県豊岡市では、2016年に設立された豊岡観光イノベーションが観光振興と観光DXを推進してきた。複数町村の合併により情報発信が分散し、地域間連携や周遊促進が課題となっていたが、同団体は「予算主義からの脱却」や「専門人材の活用」「収益事業の展開」を通じて地域の稼ぐ力を強化し、インバウンド誘客や国内周遊促進に成果を上げた。2023年には全国から視察が集まるモデル地域となったが、来訪者データを活用したCRMによる継続的な関係構築が次の課題とされ、今回の協定締結に至った。
2024年度にはKoeeruと豊岡観光イノベーションが協力し、観光CRMを導入するための仕組みづくりと実証実験を行った。具体的には、分散していた観光データの統合、旅行者のセグメント化とスコアリング、旅行前後や滞在中に応じた情報配信の仕組みを導入した。その結果、来訪者の特徴に合わせて取り組みを進められる土台が整った。
今後の取り組みとしてKoeeruは、CRMを地域共通インフラとして定着させる運用体制の支援、来訪者との継続的な関係構築、地域事業者へのデータ還元とアクション促進、地域住民との情報連携基盤の整備などに注力する。
Koeeru代表取締役は、観光DXの先進地である豊岡市との協力に意義を示し、CRMはシステム導入だけでは機能せず、地域の声を反映しながら運用の中で改善を重ねることが重要だと述べた。地域に根差し、持続可能な共創型CRMを育てていく考えを示した。
豊岡観光イノベーショングループリーダーは、データ統合により観光が一度きりの体験から継続的な関係へと変わりつつあることを評価した。旅行前後の情報提供によって再訪やふるさと納税などの成果が見え始めており、今後はCRMを地域共通の基盤として定着させ、観光を通じて関係人口拡大と地域活性化を進める方針を示した。
一般社団法人豊岡観光イノベーションは2016年に豊岡市、全但バス株式会社、WILLER株式会社、株式会社但馬銀行、但馬信用金庫の出資により設立され、観光を通じた地域経済の活性化を担ってきた。株式会社Koeeruは2021年に設立され、顧客の声(VOC)の収集・分析・活用に特化したデータプラットフォーム「Koeeru CDP」を開発し、顧客体験改善やパーソナライズドマーケティングを支援する事業を展開している。