(出典:株式会社JTB)
株式会社JTBと株式会社日立製作所は、観光DXの推進を目的とした新たなサービスの共創を開始することで合意した。旅行者の利便性向上や地域周遊の促進、観光関連事業者の生産性・収益性向上を通じ、持続可能な観光地域づくりへの貢献を目指す。共創の第一弾では、2025年8月1日より香川県小豆島で、生体認証などの先進技術を活用したデジタル周遊企画券サービス「tebu-Ride PASS」の実証実験を開始する予定である。
共創の背景には、JTBが観光施設や二次交通のデジタル化を観光DXにおける重要課題と捉え、その解決には先進技術を有するパートナーとの連携が不可欠と判断したことがある。日立は、自治体や観光・交通事業者と連携して観光DXを推進してきた実績を持ち、生体認証や移動履歴に基づく料金決済など、デジタルチケットを支える技術に強みを有している。こうした背景を踏まえ、両社は共創に至った。
本共創においてJTBは、地域特性や旅行者ニーズに応じた周遊企画券や観光プランの企画・開発、「tebu-Ride PASS」の導入および運用を担う。自治体・観光事業者とのネットワークを活用し、旅行者の行動データを分析したプロモーション戦略の立案やサポートも行う。
日立は、デジタルチケットシステムの設計から開発・実装までを担当する。生体認証による「手ぶら」利用や、ビーコンを活用した移動履歴の取得と自動決済の仕組みを構築するほか、セキュリティ対策やシステムの安定運用にも取り組む。さらに、将来的な利用拡大に対応できる拡張性を備えた設計により、継続的な技術支援を行う。
(出典:株式会社JTB)
「tebu-Ride PASS」は、スマートフォン1つで複数の交通機関や観光施設をシームレスに利用できるサービスである。ビーコン技術によるウォークスルー型のチケット利用や、顔認証による施設入場にも対応する。支払いは事後決済方式を採用し、利用額に応じた割引制度も導入することで、旅行者の利便性と体験価値を高める。
この取り組みにより、旅行者は煩雑なチケット購入や入場手続きから解放され、自由で快適な観光が可能となる。地域にとっては観光施設への来訪促進や観光消費の拡大、事業者にとってはチケット管理の効率化とデータ活用による業務改善が期待される。
今後、両社は観光分野における地域特有の課題解決に取り組み、多様化するユーザーニーズに捉えることで、地域経済の消費拡大や観光産業の収益・生産性の向上を目指す。今回のシステムを基盤とし、自治体や地域事業者が旅行者の行動データを活用することで、パーソナライズされたサービスの提供や戦略的な観光施策の展開を進め、観光DXのさらなる推進を図っていく。