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Z世代の旅とライフスタイル:ひとり旅志向とタイパ重視の新価値観

投稿日 : 2025.03.26

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株式会社JTB総合研究所は、「Z世代の暮らしと旅」に関する調査結果を発表した。本調査は2023年度より開始されており、ライフスタイルや旅行に対する価値観の中長期的変化を明らかにすることを目的としている。特に今後の消費を担うZ世代(18〜29歳)に焦点を当て、その特徴から今後のサービスや商品開発のヒントを導くことを目指している。

(出典:株式会社JTB総合研究所

ライフスタイルの面では、Z世代は仕事や学び方において柔軟性を重視し、転職や副業、起業などを視野に入れた働き方を志向する傾向が強い。特に女性は「好きなことを仕事にしたい」「最低限生活できる範囲で、可能な限り楽な仕事をしたい」といった意識が高く、管理職や出世を望まないという価値観も見られた。また、理想とする暮らし方として男女ともに「多彩な趣味を楽しんでいる」が上位となり、日常においても個人の趣味や充実感が重視されていることが明らかとなった。

(出典:株式会社JTB総合研究所

旅行に関する意識では、29歳以下の男性において「ひとり旅」や「趣味を深める旅行」への関心が高く、自身の興味やライフスタイルに合った旅を求める傾向が顕著に見られた。「SNS映えする場所を巡る」といった行動も他世代より高く、特に女性において強い関心が示されている。旅に求めるものとして、男性は「ひとりだけの時間を楽しみたい」「流行・話題に触れたい」「その土地の人との交流をしたい」などの回答が多く、旅が自分の内面や興味を深める機会となっていることがうかがえる。一方、女性は「家族や友人との時間を楽しみたい」が最も多く、共有やつながりの場として旅を捉えている様子が見られた。

(出典:株式会社JTB総合研究所

旅を象徴する言葉として、男性では「趣味」「自然」「非現実な体験」が挙げられ、女性では「思い出づくり」「ご褒美」が高く、性別により旅に求める価値の違いが明確になった。さらに、ハネムーンや新婚旅行に関する価値観では、「結婚後1か月以内に行く」「一生に一度の特別なもの」といった意識が年配層で高い一方で、Z世代ではその傾向が大きく下がり、世代間での意識の違いが浮き彫りとなった。

(出典:株式会社JTB総合研究所

Z世代男性の旅に対するモチベーションを高めるには、「趣味」と「旅」をどのように結びつけるかが鍵となる。自分の好きなことに時間やお金を費やす傾向が強く、たとえニッチな趣味であっても、それに特化した旅行の企画や誘客が効果的である。また、ひとり旅を好む一方で、同行者が見つからないことが旅の阻害要因になるという調査結果もあり、趣味を軸にしたツアーやイベントを通じたひとり旅同士のマッチングが新たな可能性を生むと考えられる。

一方、Z世代女性の特徴としては、時間を効率的に使おうとする「タイパ志向」が強く、旅行中もその傾向が反映される可能性がある。ながら行動や情報の即時取得を重視するため、旅行先での情報提供も簡便でシームレスであることが求められる。また、自己表現や体験の記録・発信を重視する傾向があり、旅先での体験を形に残す「モノ」にも関心が集まっている。これは単なる消費ではなく、自身の物語を記録し、それを共有することで承認欲求を満たす手段として「モノ」が機能しているためである。

 

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