つくば市が、茨城県のホテル旅館生活衛生同業組合つくば支部と協議し、災害発生時の避難所提供に関する協定を締結した。
つくば市で宿泊施設の災害時利用に関する協定が締結された。支部に加盟している市内29施設で、災害発生時に宿泊場所や食事を提供する。
実際の運用にあたっては、高齢者や妊婦、障碍者など、避難所での生活が困難とされるような避難者が優先される。市職員が避難所に避難してきた住民から要配慮者を割り振って各施設へ案内する予定だ。自力での移動が困難な場合は市が送迎するという。
避難所となる宿泊施設にも市職員を派遣し、避難者の健康状態をチェックする。 また、滞在期間中は食事代を含めた宿泊費は市が負担する(1人1泊あたり上限7,000円程度)。
今回の協定は、台風や地震などの災害、また新型コロナウイルスの感染拡大で避難所での「3密」対策が必要だという想定のもとに決定された。
茨城県内ではつくば市のほか、水戸、ひたちなか市でも同様の協定が結ばれている。
締結式にあたり、五十嵐立青市長は「ホテルや旅館が利用できることで市民の安心につながる」と協定の効果を前向きに話し、高橋支部長は「市民のために協力していきたい」と抱負を述べた。
また、コロナ感染対策のために避難所で3密対策を行った場合、市内の避難所では十分な定員を確保できないとして、市は避難所の増強も検討しているという。
9月に台風10号が発生した際は、南九州各地のホテルに避難目的の宿泊客が殺到したことにより、満室が相次いだことで話題となった。今回のように宿泊施設と地方自治体の間であらかじめ協定を結ばれていれば、避難用の客室が確保され、配慮が必要な避難者の行き場所がないという事態も回避できるだろう。