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ホテル三泉閣に何があった?負債12億円で2020年自己破産とその後

投稿日 : 2020.08.27 更新日 : 2026.08.29

大分県

ホテル関連ニュース

【2026年8月更新】別府の老舗温泉旅館「ホテル三泉閣」(1953年創業・総客室数67室)は、2016年の熊本地震以降の経営悪化に新型コロナウイルスの影響が重なり、2020年8月21日に大分地裁へ自己破産を申請した。負債は関連会社と合わせて2社合計約12億円にのぼった。その後、建物は別府市内の地元ホテルグループのもとで改装され、2025年5月に「別府温泉 ホテル三泉閣」として全館リニューアルオープンしている(2026年8月時点・公式サイトで確認)。以下、2020年8月27日公開の速報に、破産の経緯とその後の状況を追記してお伝えする。

ホテル経営の(株)ホテル三泉閣(所在地:大分県別府市/資本金:1100万円)と、関連の「ホテル三泉閣」は8月21日、大分地裁において自己破産を申請した。熊本地震以降、厳しい経営状況が続いていたが、今回の新型コロナの影響により事業継続を断念。負債総額は2社合計で約12億円に上り、新型コロナ関連の倒産としては九州沖縄で最大の負債額になる見通しだ。

ホテル三泉閣に何があった?負債12億円で2020年自己破産とその後
出典:テレビ大分

「ホテル三泉閣」は、総客室数67室、1953年創業の温泉旅館。JR別府駅から徒歩8分の立地にあり、別府のシンボル「別府タワー」前の老舗旅館として親しまれてきた。自家源泉からの豊富な湯量を持ち、源泉掛け流し温泉を使用した露天風呂付き客室や足湯のほか、最大200名収容できる大広間など大小14の宴会場もあり、家族連れや団体客が多く訪れていた。

近年は韓国や台湾からの訪日客の需要を取り込んで事業を拡大。帝国データバンクによると、2008年にはおよそ7億8000万円の売上高を計上していた。

しかし、日韓関係の悪化、2016年の熊本地震などで経営状況が悪化。そこに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請等により一段と客足が遠のいたことで、負債の返済などが資金繰りを圧迫して、今回の事態となった。

21日に大分地裁に自己破産を申請した。負債額は三泉閣が10億円、関連会社が2億円になる見通しだ。新型コロナ関連で負債額が10億円を超える倒産は、九州・沖縄地区では初めて。担当弁護士には、堀哲郎弁護士が任命されている。

同社は大分県産の河豚(ふぐ)の皮を使用して作ったコラーゲン温泉プリン『ぷるぷる♪ぷるりんちゃん』を販売していることでも知られていた。2010年2月1日の発売開始以来、1年間で累計販売個数8万個を突破するほどの人気ぶりで、別府温泉の新名物スイーツとして親しまれていた。

破産の経緯(時系列)

「ホテル三泉閣に何があったのか」を時系列で整理する。なお、検索では「ホテル三泉閣 事件」と表現されることがあるが、同館で起きたのは刑事事件ではなく、以下の経営破綻(自己破産)である。

時期出来事
1953年6月創業。別府タワー前の温泉旅館として営業
1992年2月関係会社のホテル事業を継承し法人改組
2008年1月期年収入高約7億8,000万円を計上
2016年4月熊本地震の影響で観光客が減少
2017年1月期年収入高が約5億9,900万円まで減少
2020年4月緊急事態宣言の発令で利用客が激減
2020年8月21日大分地裁に自己破産を申請。負債は関連会社と合わせ2社合計約12億円
2020年8月24日大分地裁から破産手続き開始決定。負債約10億円(ホテル三泉閣単体)
出典:帝国データバンク調べとして報じた観光経済新聞(2020年10月2日)ほか各種報道をもとにホテルバンク編集部作成

団体旅行市場の縮小と熊本地震で売上が落ち込み、日韓関係悪化による訪日客減も重なった。「ふっこう割」の活用やインターネット集客の強化で立て直しを図っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大が決定打となった。コロナ禍とゼロゼロ融資の返済が重なった旅館倒産がその後どこまで広がったかは、ゼロゼロ融資×旅館倒産89件 — 黒字廃業の地理マップで全国の分布を整理している。

その後・跡地の現在 — 2025年5月に「別府温泉 ホテル三泉閣」として再開

破産後、ホテルは閉館したが、跡地が空き地になったわけではない。同じ所在地(大分県別府市北浜3丁目6-23)で改装が行われ、2025年5月に「別府温泉 ホテル三泉閣」として全館リニューアルオープンした。新しい公式サイトには「2025年5月 全館リニューアルオープン」と明記されており、2026年8月時点で公式サイト経由の宿泊予約を受け付けて営業していることを確認した。公式サイトは「全館リニューアル」と表記しており、建物を解体・建て替えたという公表情報は確認できない。

運営は、別府市内で「ホテルはやし」「ホテルフジヨシ」「シーサイドホテル美松」などを展開する地元ホテルグループの系列となった。同グループ公式サイトのグループホテル一覧に「ホテル三泉閣」が掲載されている(2026年8月確認)。再開後は、シティホテルの快適さと和風旅館の趣を融合した和モダンの宿を掲げ、最上階9階の展望デッキから別府湾や鶴見岳を望める点や、別府タワーを目の前に臨む立地を打ち出している。破綻した老舗が別資本のもとで再開するこうした流れは、旅館再生M&Aの経済学で単価の伸びしろとあわせて分析している。

別府の宿泊市場はその後どうなったか

本記事のデータについて
• 掲載価格ベースのADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)の集計値。
• 推定成約ADR=上記の公開価格に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

三泉閣が破産した2020年はコロナ禍の底だったが、その後の別府市の宿泊市場は回復・拡大している。ホテルバンク編集部がOTA公開データを集計したところ、別府市内の掲載施設数は2024年1月の175施設から2026年5月には209施設へ増加した。OTA掲載価格ベースの平均客室単価(ADR)は2024年平均で約28,900円、2025年平均で約29,200円(いずれも月あたりN=169〜189施設、2024年1月〜2025年12月集計)。編集部推定の成約ベースADRは2025年平均で約15,200円(推定値・月あたりN=113〜124施設)だった。

市場の回復を背景に、別府では老舗施設をリニューアルして再生させる動きが続いており、三泉閣の再開もその一例といえる。別府への新規参入側の採算については、宿泊特化モデルの温泉リゾート進出 — KOKO HOTELS別府150室の経済性も参考になる。

出典・参考

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