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米ホテル対象の企業文化と社員意識調査から見えたホテルの課題と解決施策とは

投稿日 : 2020.01.07

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ホテル関連ニュース

ホスピタリティー業界における社内コミュニケーション・ツールを提供するビーキーパー(Beekeeper)が39の米ホテルを対象に企業文化の観点から社員意識調査を実施。同調査の結果見えてきた日本のホテルにおける課題と解決施策とは。

企業文化向上が社員の貢献意欲・離職減少、顧客満足度向上へ

社内コミュニケーション・ツールのビーキーパーがホスピタリティー業界の企業文化(カルチャー)の観点から社員意識調査を実施。

同調査は主に米国のホスピタリティー業界の39社に対して2019年5-6月にかけて行われ、コミュニケーション、マネジメント、働く意義などの14カテゴリーからなる49の質問をEffectUX社と共同しておこない、1,166の回答があった。

企業文化とは、職場で培われた独自の価値観や行動(ビヘイビア)で、社員エクスペリエンスや満足度を左右するもの。

企業文化のスコアが高い会社は、社員のエンゲージメント(会社に対する貢献意欲)が高く、離職率が低く、顧客満足度も高いとされる。

調査の結果、同スコアが高い企業文化の会社の傾向としては、次のような点があった。

・同僚:企業文化において最も重要なものの1つが同僚との関係で、フレンドリーで互いを思いやる状態の時に、「家族」のような関係と感じる。

・上司:手本を示し、社員に敬意を払うことは、ポジティブな企業文化形成で必要。また、いつでも連絡が取れる、社員を理解し大切だと感じさせてくれる。

・マネジメント(経営層):励まし、感謝を示し、仕事がうまくできるように裁量を与えてくれる。

・特典(Perks):専門能力開発の機会、福利厚生、柔軟な勤務時間制度、成果に対する表彰や声がけ。

反対に企業文化のスコアが低い会社は、次のような傾向が見られた。

・同僚を含む全社員:不公平な取り扱いや倫理に反する行い。更に、マイクロマネジメントで部下の管理を細かいところまで行い裁量を与えない。

・イベント:社内行事がなく、チームで関係を作る機会がない。

・コミュニケーション:社内コミュニケーションや透明性の欠如で、パーソナルタッチを感じられない。

・報酬とキャリア:業界平均より低い給与、キャリア(昇進・昇格)の機会がない、または少ない。

同調査の回答で使われた、ポジティブな企業文化を作る言葉の例のイメージは以下の通り。

また他の側面では、正社員よりパート社員、そして役職が低い社員になるほど企業文化に対してのスコアは低くなり、経営層が認識している企業文化とのギャップが大きくなる傾向にあった。

より重い職責を与えられた社員ほど企業文化への親和性が高くなった。

スイス発の社内コミュニケーション・ツール「BEEKEPER」

出典:ビーキーパー

ビーキーパーは、スイスを拠点にホスピタリティー業界向けに開発された社内コミュニケーション・ツール。フロントラインの社員などが、より協力して働けるようにするITのプラットフォームで、企業文化やチームワーク形成にフォーカスする欧米を中心としたホスピタリティー業界で使用されている。 

マンダリンオリエンタルホテル、マリオットホテル、ヒルトンホテルズ&リゾーツ、インターコンチネンタルホテルズ&リゾーツ、スイスホテルなどで実績がある。

社員同士のコラボレーションを作り出すツールとして社員のエンゲージメントをアップし企業文化向上に役立っているという。

チャット、コンテンツ投稿、ワークフローの自動化、キャンペーン機能や投稿コンテンツの自動翻訳などの機能がある。会社の支給PCやスマホが無くとも、個人のスマホから利用できる利便性があるのも特徴。

登録にはQRコードを使い、簡単にログインできる。コンテンツ投稿は全社や特定のチームを対象に情報共有でき、社員同士のコラボレーションを生み出すという。

エクスポーネントシステムズ、企業文化向上で競合と差別化

出典:エクスポーネントシステムズ

日本では、エクスポーネントシステムズがビーキーパーの認定リセラー・パートナーとして営業を実施。ビーキーパーを使ってどのように社員エンゲージメントをあげるか、企業文化をデザインするかのサポートを行う。

同調査の結果を受けたエクスポーネントシステムズ代表の宮村昭史氏のコメントは以下の通り。

「多くの類似の社員意識調査で、欧米の企業文化のスコアと日本のスコアを比較すると日本企業が非常に低く、欧米企業の半分以下のスコアになるという結果もあります。

欧米の企業は、日本企業と異なり、社員との繋がり方や企業文化を意識的にデザインしていることも重要なポイントとして認識できるでしょう。

少子高齢化により直面する人材不足や早期の離職という日本のホテル業界の共通課題に対して、このスコアの低さを伸びしろと考え、少しでも企業文化向上の施策を実施することができれば、他社との差別化を図ることが可能となります。

また社員コミュニケーションの向上によるエンゲージメントの改善は、結果的にはゲスト満足度にも好影響することが期待されます。」

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