(出典:株式会社阪急交通社)
株式会社阪急交通社は、2025年夏休み期間(7月15日~8月31日出発)の海外旅行および国内旅行の予約状況をもとに、今年の旅行動向を取りまとめた。
海外旅行は前年同期比108%と堅調に回復しており、コロナ禍以降の需要回復が継続している。一方、国内旅行は同95%とやや低調で、夏休み期間中の需要には弱含みの傾向が見られる。年間を通した予約数では、海外旅行が121%、国内旅行が100%となっており、通年ではいずれも安定した推移を示している。
(出典:株式会社阪急交通社)
海外旅行の出発ピークは、8月10日(日)、8月9日(土)、7月18日(金)に集中しており、お盆や連休を利用した日程が人気である。渡航先は、昨年はアジア方面が中心であったが、今年は欧州やエジプト、トルコ、中南米など遠距離方面への需要が戻ってきている。特に中国は、短期滞在ビザの免除再開や航空便の復便効果により、前年比3.8倍と大幅な伸びを記録した。
エジプトでは、5〜6日間の短期旅行に加え、ナイル川クルーズ付き8日間以上のツアーなど商品の多様化により、前年比2倍の伸長を示した。さらに、日本発着で韓国を経由し、各地の夏祭りを楽しむクルーズ旅行も好調である。ヨーロッパ方面は前年比1.3倍で、集客数が最も多い地域となっている。中でもスイス・アルプスなど自然景勝地を巡るツアーの人気が高く、回復基調が続いている。(出典:株式会社阪急交通社)
国内旅行の人気方面は、1位が近畿、2位が北陸・甲信越、3位が北海道である。伸び率では、1位近畿、2位東海、3位沖縄と、話題性のある地域が目立つ。また、長期滞在型、祭りや体験型などテーマ性のある旅への関心も高まっている。出発日のピークは8月3日(日)、8月2日(土)、7月23日(水)で、学校の夏休み開始やお盆時期にあわせた予約が多い傾向にある。
地域別では、近畿地方が前年比1.2倍と伸長しており、「大阪・関西万博」が需要を牽引している。万博は多様な交通手段との親和性が高く、全国各地からのツアー予約が堅調に推移している。また、万博と周辺観光地を組み合わせた旅行商品も高い人気を得ている。
沖縄も前年比105%と堅調に推移している。7月に開業予定の新テーマパーク「ジャングリア沖縄」が注目を集め、家族連れを中心に需要を伸ばしている。新たな観光資源の誕生が沖縄の魅力を一層高めているといえる。
このほか、富士登山も人気が高まり、予約数は前年比1.4倍となった。世界文化遺産としての注目に加え、登山シーズンが夏の限られた時期に集中している点が背景にある。2025年から導入された新ルールや人数制限により、安全面が強化され、航空機や新幹線を利用する全国的な登山ツアーの増加にもつながっている。