東京都は観光産業振興のための「PRIME観光都市・東京 東京と観光産業振興実行プラン2018」を発表した。訪日外国人客を東京に呼び込むためのさまざまな目標値と行動プランが示されている。
市場別の新たな目標値の設定
既に訪都外国人旅行者数の目標設定はなされていたが、新たに市場別の目標値も設定した。個別の数値目標は下記のように定められている。
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市場別目標 | 東アジア1550万人 欧米豪500万人 東南アジアとインド合計370万人 |
国人旅行者数の目標 | 2020年2500万人 2024年3000万人 |
外国人リピーター数 | 2020年1500万人 2024年1800万人 |
訪都外国人消費額 | 2兆7000億円 |
訪都国内旅行者数 | 6億人 |
訪都国内旅行者消費額 | 6兆円 |
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(特に記載のない場合の達成期日は2020年)
目標達成のための具体的施策
各数値目標達成のための具体的背策として、既に下記の「6つの戦略」を東京都は設定済している。
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1 | 消費拡大に向けた観光経営 |
2 | 集客力が高く良質な観光資源の開発 |
3 | 観光プロモーションの新たな展開 |
4 | MICE誘致の新たな展開 |
5 | 外国人旅行者の受け入れ環境の向上 |
6 | 日本各地と連携した観光振興 |
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これらの施策を通じ、特に東アジア地域からの観光客呼び込みを図り、観光を通じた東京都活性化を目指している。
東京は2020年にオリンピック開催を控えている。よって2020年までの訪都外国人旅行者数については、自然増での増加が予想される。しかしながら「PRIME観光都市・東京 東京と観光産業振興実行プラン2018」では2024年までの数値計画が記載の項目も存在し、それら数字は2020年実績を大きく上回る目標設定がなされている。
ネット環境の整備がニーズの解消になるか
今回発表された「PRIME観光都市・東京 東京と観光産業振興実行プラン2018」では東アジア地域からの集客に特にフォーカスする内容となっている。
また欧米からの訪日客に比べ、アジア地域からの訪日客は宿泊施設の予約について、オンライントラベルサイトを利用しているケースが非常に多い。「DFJ・JTBFアジア欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成29年)」によると、オンライントラベルサイトでの予約はアジア50%に対し欧米豪34%となっている。(参考:https://hotelbank.jp/research-book-hotels/)
出典:訪日外国人消費動向調査
図のように、全国的にもネットを通した情報収集が基本であるが、特にアジア地域からの観光客呼び込みには、無料Wi-Fiエリア拡大、スマートフォンの充電可能施設の増加等、従来以上にネット環境に優しい街作りが必要と考えられる。さらに今後はオンライントラベルサイト経由での民泊施設予約の増加も予想され、宿泊施設のカテゴリが変わって行くことも十分に考えられるだろう。
訪都外国人旅行者増加に向けた数値目標達成に向けた今後の東京都の行動に注目が集まる一方、観光客の増加により地域住民に対する配慮が必要とされるケースを考えると、住宅宿泊事業法の施行以降の業界動向が非常に注目が集まる。