株式会社ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームは、訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」の利用状況をもとに、訪日外国人旅行者が訪れる人気の温泉地を分析した結果を発表した。日本の温泉は訪日外国人にとって日本ならではの体験として人気が高く、観光庁の調査でも「温泉入浴」の満足度が期待を上回る結果となっている。今回の分析は、旅行者の温泉地滞在状況を市場別および国別にまとめたものとなる。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
訪日外国人旅行者にとって人気の温泉地を市場別にみると、アジアからの旅行者には大分県由布市の由布院温泉が最も人気であり、欧米豪からの旅行者には神奈川県箱根町の箱根湯本温泉がもっとも人気の温泉地となった。アジアでは直行便がある空港からアクセスしやすい温泉地が上位にランクインし、欧米豪では中部や日本海側といった主要空港から離れた温泉地も人気を集めている。由布院温泉は福岡からのアクセスの良さが評価されており、箱根湯本温泉は東京から公共交通機関で行きやすい点が選ばれる要因と考えられる。温泉地内の周遊状況では、登別温泉で「のぼりべつクマ牧場」、湯田中渋温泉郷では「地獄谷野猿公苑」に訪れる傾向も確認された。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
実際に温泉地を訪れている外国人旅行者の来訪状況を国別に分析すると、韓国、中国、オーストラリアからの旅行者の訪問状況に特徴が見られた。韓国からの旅行者には由布院温泉が最も人気で、福岡空港からのアクセスの利便性が影響している。滞在エリアとしては駅前の商店街や金鱗湖周辺が人気で、SNSで話題の自然スポットへの関心が高いことがわかる。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
中国からの旅行者には和歌山県白浜町の南紀白浜温泉が最も人気であり、大阪や京都からのアクセスが主流となっている。また、南紀白浜温泉の周辺にある観光スポットにも滞在が確認でき、白良浜や千畳敷といった自然景観や商店街が注目されており、露天風呂の崎の湯も訪問先として挙がっている。今回の分析では中国からの旅行者は温泉地周辺で買い物や自然景観を楽しむ様子が見受けられた。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
オーストラリアからの旅行者からは箱根湯本温泉が最も人気で、2位以下には湯田中渋温泉郷、野沢温泉、ニセコ温泉郷が続いた。2位以下の温泉地にはすべてスキー場が隣接する温泉地という特徴があり、オーストラリアでは夏季休暇を利用して日本の冬に滞在するケースが多く、ウィンタースポーツと温泉を楽しむ傾向が強い。
「Japan Travel by NAVITIME」は2013年から提供されている訪日外国人向けナビゲーションサービスであり、2024年9月からは温泉旅館の検索・予約機能も開始した。観光庁の調査では2024年10月の外国人延べ宿泊者数が前年同月比22.4%増、2019年比で49.0%増と大幅に伸びている一方で、大都市圏への偏在が課題となっている。同社は温泉地に関するデータ分析を通じて地方の魅力を発信し、体験価値向上と地方誘客に貢献する考えである。また、温泉以外にも歴史、自然、グルメといった旅行者の興味に応えるランキング機能を提供し、訪問先の発見をサポートしている。