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JTB発表:2023年 年末年始の国内外旅行動向と予測

投稿日 : 2023.12.07

インバウンド

JTBは「年末年始(12月23日~1月3日)に、1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向見通しに関する調査を発表した。JTBの旅行動向見通し調査は今年で54回目の報告であり、1969年から続いている。2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症対策のため、海外旅行に関するデータが発表されていなかったが、今年はその点も含めて詳細な分析が行われた。

2023年11月に実施されたこの調査では、15歳以上79歳までの男女を対象に、インターネットを通じて実施された。事前調査では10,000人が対象となり、本調査では1,930人が参加した。

新型コロナウイルスの収束により、観光客数は順調に回復。2023年1月から7月の世界の海外旅行者数は2019年同期比で84%に回復し、年間では80~95%に回復すると予測されている。日本では、2023年10月の延べ宿泊者数がコロナ禍前の2019年同月と比べて103.9%となり、訪日外国人観光客数も増加している。

海外旅行に関しては、2023年4月に日本の水際対策が終了して以降、海外旅行が容易になったものの、円安や物価の高騰の影響で回復は遅れている。2023年10月の日本人出国者数は93万8千人と、2019年同月と比べて56.4%に留まっている。

▼今後1年間の旅行の支出に対する意向(出典:JTB)

経済面では、IMFによる世界経済見通しや日経平均株価の動向、円相場の変動、家計への影響などが指摘されているが、全体的に暮らし向きは厳しさを増しているといえるだろう。これらの環境下で、旅行やレジャー消費に関する生活者の意識がどう変化しているかが注目されるが、旅行に対する意識としては、安全や衛生面を考慮する傾向が高まっている。また、支出に関しては、「支出を増やしたい」という回答が14.3%に増加し、「支出を減らしたい」という回答は35.7%に減少している。

▼年末年始(2023年12月23日~2024年1月3日)の旅行意向(出典:JTB)
年末年始の旅行意向は、昨年比3.5ポイント増の19.8%となり、コロナ禍前の水準に近い回復を見せている。旅行に行かない理由としては、「家でゆっくりする」や「混雑を避ける」が多く、新型コロナウイルスの心配は減少している。

年末年始期間の総旅行人数は、2,858万人と予測され、総旅行消費額は1兆2,768億円に達する見込みである。国内旅行の平均費用は過去最高の41,000円となり、海外旅行者数は前年比260.1%の58万人になると推計されている。

▼今年の年末年始に出かける場所として気になっているところ(出典:JTB)
旅行者の傾向としては、旅行日数の長期化、同行者の対象や人数の拡大、利用交通機関の多様化、宿泊施設の利用状況などが挙げられる。特に自然の景色や季節ならではの買い物が楽しめる場所への関心が高まっている。JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況は前年比115%と好調で、東京ディズニーリゾート®やユニバーサル・スタジオ・ジャパンを含む関西が特に人気となっている。

海外旅行に関しては、まだ回復途上にありながらも、国際定期旅客便の回復や訪日外国人観光客の増加など、プラスの要因も見られる。海外旅行の人気行先としては、ハワイや韓国、東南アジアが挙げられている。

このような動向を踏まえ、年末年始の旅行市場は、新型コロナ禍からの回復傾向を示しているが、経済状況や国際情勢による影響も依然として存在する。将来的には、安全で経済的な旅行環境の形成が重要となるであろう。

▶詳しい調査結果はこちらから

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