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中国富裕層による日本温泉旅館への投資増加:背景と影響

投稿日 : 2023.05.18

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中国富裕層による日本の温泉旅館への投資が増加している。これは、日本の温泉旅館が働き手不足や経営者の高齢化、施設の老朽化などにより廃業が相次いでいる一方で、中国の富裕層が新型コロナウイルス禍で中国国内の投資環境が厳しくなり、資産移転先として日本の温泉旅館を見つけているからである。
(出典:熱海パールスターホテル

中国人富裕層が日本の温泉旅館に投資する背景には、中国共産党政府による国内経済への厳格な規制がある。そのため、中国富裕層は資産を国外に移転することでリスクを分散し、また、その一環として日本での在留資格取得を目指している。

中国資本による日本の温泉旅館への投資は、地域経済の活性化にも寄与している。具体的な例として、静岡県熱海市にある「つるや旅館」が挙げられる。この旅館は2001年に閉館後、香港に本社を置く企業が購入し、約250億円を投じて「熱海パールスターホテル」としてリニューアルオープンした。熱海パールスターホテルでは、「泊食分離」形式を採用し、地域の飲食店への利用を促している。これにより、地元の農漁業者や飲食店への恩恵が増えるとともに、働き手不足の解消にも寄与している。

一方で、中国資本への偏見が日本の温泉旅館の売却を阻む一因となっている。政府が「インベスト・ジャパン」を掲げるならば、中国資本の取り込みを模索すべきであるとの声もある。観光庁の宿泊旅行統計によると、3月の宿泊者数は前年同月比49%増ののべ4973万人、うち外国人は同23.9倍の789万人だった。政府は4月、30年までに対日直接投資100兆円を目指して海外から人材や資金を呼び込むアクションプランを公表している。様々な状況を背景に、中国富裕層による日本の温泉旅館への投資は、今後も増えていくと予想されている。

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