外国人観光客が6年で2倍に急成長した横浜市で相次ぐホテル開発計画とは

日本を訪れる外国人観光客の急増により、各地で宿泊施設不足が指摘されているが、日本有数の観光都市である横浜市も例外ではない。

本稿では、各種観光データ、新規ホテル建設計画データを読み解き、横浜市のホテル建設計画の特徴を解説していく。

 

横浜市中区・西区の臨海エリアでホテル開発が活発

外国人観光客の急増により、全国的にホテルをはじめとした宿泊施設不足の様相を呈している昨今。外国人観光客数は今後も右肩上がりで増えていくと予測される中、2020年には国家の一大プロジェクトである東京オリンピックも開催され、各地で新規ホテルの建設が相次いでいる。日本有数の観光都市である横浜市でもそれは例外ではなく、近年特に新規ホテル建設が活況を帯びている。

とはいえ、横浜市の場合はそれが全市的に広がっているわけではない。表は、2015年9月から2017年8月までに発表された新規ホテル建設計画だが、これを見ると明らかなように横浜市における新規ホテルの計画は中区、西区にほぼ限定されている。発表された計画はトータルで14計画あるが、そのうちの実に13計画までが中区、西区である。中区、西区以外では神奈川区鶴屋町に1件計画されているのみだ。

さらに住所を細かく見ていくと、中区、西区の中でもとりわけ都心臨海部と呼ばれるエリアに集中していることがわかる。このエリアは、横浜駅周辺、みなとみらい21地区、関内・関外エリアが内包され、古くから横浜の中心として知られている地域である。

横浜市全体の面積から見れば非常に小さいエリアではあるが、横浜みなとみらい21、中華街、横浜ランドマークタワー、山下公園、横浜赤レンガ倉庫などの主要観光資源があり、横浜のイメージをこのエリアに描くという人も多いだろう。

横浜市は古くから、臨海部は観光都市やオフィス街、それ以外の地域は人が暮らす土地といった具合に都市の役割を分担してきた土地柄である。横浜市の都心臨海部に特にホテル建設が集中する背景には、東京や主要観光地から近いという面もさることながら、横浜市独特の住み分け、都市機能の使い分けといった側面があることも無視できない。

出典:メトロエンジン リサーチ

相次ぐホテル開発の背景にはビッグイベントの存在

横浜市のホテル建設が加熱する大きな理由は2つある。それは外国人観光客の増加とビッグイベントが控えている天だ。

まず、外国人観光客の増加について見ていく。外国人観光客の増加は、全国的に見られている傾向にあるが、横浜市も例外ではない。観光客数の増加もさることながら、特筆すべきは宿泊客数の増加である。

横浜市の発表によると2016年に横浜市に宿泊した外国人観光客は約72万人だった。2010年に横浜市に宿泊した外国人観光客は約34万人で、わずか6年間で2倍以上の数字になっている。日本有数の観光都市である横浜市は、宿泊客の受け皿が決して少ないわけではなかったが、この外国人宿泊客の急増を受けて、ここ数年、ほぼシーズンに関係なく横浜市内の主要なホテルは軒並み稼働率が80%を大きく超えている。

観光庁によれば、一般的に宿泊施設の稼働率が80%を超えると宿泊予約が取りづらいとされている。つまり、ここ数年は横浜市内に宿泊したくてもできない状況にあったというわけだ。

この宿泊施設の不足に加えて大きなファクターにるのが、横浜市でビッグイベントが控えているという点だ。2020年には東京オリンピックが開催されるが、横浜市では、横浜スタジアムで野球・ソフトボール協議が開催予定となっている。

さらに、同じ神奈川県内の藤沢市でセーリングが開催される予定である。加えて、開催都市である東京から近く、交通アクセスも良いため、大会開催期間中の観光客は大幅に伸びると考えられている。

また、東京オリンピックの1年前の2019年にはラグビーワールドカップが日本で開催されるが、横浜市にある横浜国際総合競技場は開催会場のひとつとなっている。このラグビーワールドカップにも日本をはじめ、世界各国から観戦客が訪れると予想され、それに伴い横浜市内の宿泊客は増えることは確実だ。

外国人観光客数の急増、東京オリンピックとラグビーワールドカップ開催によるさらなる宿泊客数増、この2つが横浜市で現在、新規ホテルの開発ラッシュが訪れている主な原因となっているようだ。