名古屋市で続々と明らかになる新規ホテル開発計画――その背景にあるものとは

近年、名古屋市で新規ホテルの開発計画が続々と発表されている。

本稿では、出店計画データや各種観光データを元に、名古屋市における新規ホテル計画の特徴とその背景にあるものを探っていく。

 

名古屋市中心地で新規ホテルの開発が活況

近年、名古屋市における新規ホテルの開発計画が続々と発表されている。その開発計画の中心地は名古屋市の中でも屈指の繁華街である中心部エリアだ。

表は、2016年6月から2017年8月までに計画が発表された新規ホテル開発計画だが、これを見ると明らかなように開発計画は名古屋市中区、とりわけ中心部エリアに偏っている印象を受ける。

2016年6月から2017年8月までの間に発表された計画は、全部で21計画あるが、そのうち12計画が中区でのものである。また、住所を見ると分かるようにその多くは栄、錦、名古屋駅といった名古屋市の中心部エリアでの計画だ。

出典:メトロエンジン リサーチ

名古屋市中心地で開発が活発なわけとは

名古屋市の中でもとりわけ中心部エリアの開発が活発な理由は大きく分けて2つの理由がある。そのうちのひとつが2027年に予定されているリニア新幹線の東京ー名古屋間の開通だ。このリニア新幹線の開通によって、ビジネス客や観光客の大幅な伸びが予想されている。

また、もうひとつの大きな理由が外国人観光客を中心とする観光客の増加だ。これは他都市でも近年多く見られる現象ではあるが、名古屋市も外国人観光客の増加によって、インバウンド需要で活況を呈している。だが、その反面、深刻な宿泊施設不足に陥っている点も無視できない。

名古屋市によれば、2016年の観光客の宿泊実人数は653万人だった。2013年の宿泊実人数が580万人だったことを考えると、わずか3年の間に宿泊客が70万人あまりも増えたことになる。また、そのうち外国人観光客の宿泊数は2016年にはじめて100万人を突破して、101万9,000人あまりだった。2013年の外国人宿泊数はわずか約27万人だったことから、外国人宿泊数の伸びがそのまま全体の宿泊客数増加につながっていると見ることができる。

こうした観光客の急増を受けて、名古屋市全体の宿泊施設稼働率は72.9%、中心エリアでは90%を超えるなど、宿泊施設の収容人数に対して宿泊需要の高まりが追いついていないというのが現在の名古屋市の宿泊事情なのである。

実際、中心部エリアでは、ビジネス客が宿泊施設を確保しづらいという状況がここ数年続いている。このように、観光客数の増加によって宿泊施設が足りないという状況に加え、リニア新幹線の開通でビジネス客や観光客がさらに増えると予想されることが、名古屋市中心エリアで新規ホテル開発が相次ぐ理由のようだ。

 

名古屋、東京をはじめ各地の企業による開発競争

表の開発業者に目を移してみると、地元・名古屋市の企業や東京に本社を置く企業をはじめ、日本各地の企業が開発を計画していることがわかる。現在、開発業者が発表されている計画は19計画あるが、そのうち5計画が名古屋市の企業、10計画が東京に本社を置く企業、残り4計画が地方に本社を置く企業である。

鉄道系の企業が開発に乗り出しているのも特徴のひとつだ。西日本鉄道株式会社、JR西日本の関連会社であるJR西日本不動産開発株式会社といった企業がそれにあたる。また、計画が正式発表されていないためこの表には掲載していないが、近鉄グループも新規ホテル計画を進めている。

鉄道系の各企業が名古屋市に新規ホテルを計画する背景には、やはりリニア新幹線の開通があるだろう。リニア新幹線のとりあえずの終着駅である名古屋市に、自社の輸送客の拠点を築いておきたいと考えているようだ。

 

リニア新幹線の開通には期待がかかる反面、懸念点も

上述したように、名古屋市とりわけ名古屋市中心エリアのホテル開発が活況な理由には、リニア新幹線の開業と外国人観光客を中心とした観光客数の増加がある。中でもリニア新幹線への期待が高まっている。確かにリニア新幹線は、名古屋市にさらなるビジネス客や観光客を呼び込む起爆剤になる可能性が高い。しかし、その半面、懸念点があることも事実だ。

リニア新幹線は東京ー名古屋間を最速40分で結んでしまう。現在は新幹線「のぞみ」の利用で、1時間40分程かかることを考えると移動にかかる時間は大幅に短縮される。移動時間が短縮されるということは、見方を変えればわざわざ名古屋に宿泊する必要がなくなるというケースも増えるということだ。

また、現在は外国人観光客数が右肩上がりだが、外国人観光客は、戦争やテロといった外的要因で大幅に減少してしまう可能性が高い。観光客やビジネス客に名古屋に泊まりたいと思わせる施策や、一過性のブームに終わらないような魅力的なホテル作り、街づくりがこれまで以上に重要になってくるのではないだろうか。