福岡市で激化する新規ホテル開発競争――その背景にある福岡市の施策とは

全国的に訪日外国人観光客が増える中、日本屈指の観光都市・福岡市でも外国人観光客を中心として観光客数に対応するためにホテル開発がラッシュの様相を呈している。

また、福岡市の新しいホテル計画データからは、他の都市にはない福岡市独自の施策を読看取ることができる。本稿では、福岡市の取り組みとそれに伴う福岡市の新しいホテル計画の特徴を解説していく。

 

福岡市中心エリアで新ホテルの開店ラッシュ

現在、円安や日本旅行ブームでは、日本は空前の外国人観光客増に湧いている。外国人観光客からのインバウンド需要を取り込めると都市の大小を問わず、様々な施策が考えられている。国内ではこの活発なホテル開発もそうした施策だが、日本有数の観光都市でもある福岡市でも近年、新ホテル計画が続くことが発表されている。

福岡市でのホテル開発活発な理由は、端的に言えば宿泊施設不足である。2016年に福岡市を訪れた外国人観光客は、257万人を記録した。4年前の2012年に82万人だったことを考えれば、わずか4年の間に3倍以上に膨れ上がった。

また、日本人観光客の人気も高まる一方です。外国人観光客と日本人観光客を合わせた入込み観光客数は2015年に約1,974万人を記録し、集計中の2016年には2,000人を突破することが確実視されている。これも2011年に約1,678万人だったことを考えれば驚異的な伸び率である。

出典:キテます!福岡! – 入込観光客数、客室稼働率 –

この急速な観光客増を背景に、福岡市内の宿泊施設の客室稼働率も伸びている。2011年は70.2%だった客室稼働率は2015年に83.2%を記録している。市の特筆すべきところは、2015年は通年で客室稼働率が80%を割り込んだことはなかった点だ。一般的に客室稼働率が80%を超過すると宿泊予約が取れないと言われている。

つまり、福岡市はシーズンに関係なく常に宿泊施設が足りない状況である。加えて、福岡市は福岡県、福岡コンベンションセンター、福岡市民会館など大規模なイベントが開催可能な施設がコンパクトに存在する地理的条件もあり、イベントが複数開演されるときには「宿泊困難者」を出してしまっているケースが散見された。

このような状況に加えて、2019年に日本で開催されるラグビールワールドカップの会場のひとつに福岡市の東平尾公園博多の森球技場が選ばれている。ラグビールワールドカップの際には、日本人はもちろん外国人観光客も急増すると考えられている。こうした背景から、福岡市は急ピッチで宿泊施設を確保する必要がある。

 

駅前エリアに開発が集中する理由とは

福岡市でのホテル開発の大きな特長のひとりに発展エリアが限定されているということだ。以下の表は計画が正式発表され、現在進行中の新しいホテルプロジェクトの一覧だが、これを見ると福岡市博多区の博多駅周辺と中央区に限定されている。

出典:メトロエンジン リサーチ

なお、中央区の2件は区が違うとは言え博多駅から約2キロ、車で数分の位置に建設予定されているので、近隣エリアと見えることができる。つまり、福岡市内のホテル開発は博多駅周辺辺エリアに限定されている。

これは、このエリアに繁華街やビジネス街が密集していることも理由のひとつであるが、もっと大きな理由は開発を与えることができる福岡市の方針にある。福岡市は集客施策の大きな柱にMICE(マイス)の誘致を掲げている。

MICEとは、会議(会議・研修・セミナー)、インセンティブツアー(報奨・招待旅行)、コンベンション、大会・学会・国際会議、展示会の頭文字を取った略語で、ビジネスイベントの総称として使っている。

MICEの特徴とは、一般の観光旅行より消費額が多いことが挙がった。福岡市はMICEの誘致に力を入れていて、空港、博多駅、宿泊施設、コンベンション施設が環2.5km圏内にあるコンパクトで移動しやすい。この2.5km以内にホテルを建設するには福岡駅前エリアが最も好都合な立地で、このエリアの開発を活発にしている。

 

福岡市内でのホテル建築ラッシュは今後も継続見通し

福岡市のホテルオープンラッシュは今後より多くなる見通しだ。現在開業中のホテルが開業したしても、観光客の増分スピードに宿泊部屋数がまったく追いついていないのが現実だ。それは福岡市の高島宗一郎市長も認めていて、産経新聞の報道によると2015年12月の会見で「ホテル数を増やさないと対応できない。ビジネスホテルはもちろん、高級ホテルの誘致も考えている」と発言している。

福岡市にとってホテル開発はまだ始まったばかりと言える。これまで博多駅前のビジネスホテルが開発の主役だったが、近い将来、他のエリアや高級ホテルの計画が続き、発表されるようなことも十分考えられるだろう。