(出典:株式会社さとゆめ)
全国50地域以上にわたり地方創生事業を手がける株式会社さとゆめは、株式会社エイチ・アイ・エスと連携し、山梨県小菅村と「新・目的地創出事業-Destination Create Project-」(以下「DCP」)に関する包括的な連携協定を締結した。
(出典:株式会社さとゆめ)
山梨県小菅村は多摩川の源流に位置し、村域の約95%を森林が占める自然豊かな地域である。人口は約700人と小規模ながら、清らかな渓流や美しい渓谷に囲まれ、ハイキング、渓流釣り、「大菩薩ライン」を走るサイクリングなど多様なアウトドア活動が楽しめる。「道の駅こすげ」では、地元産食材を活かした料理や特産品が提供される。また、周辺には歴史ある社寺も点在し、古き良き里山の風景に触れることができる。
一方で、小菅村は企業と連携して先端技術の実証実験の場としても機能しており、イノベーションの促進や関係人口の創出にも積極的に取り組んでいる。
さとゆめは、2015年3月に「道の駅こすげ」の総合プロデュースを担ったことを契機に、小菅村の地方創生総合戦略や人口ビジョンの策定支援、温泉施設を含む運営会社の設立支援、地場産品を活かした商品開発、関係人口を取り込むためのポイントカードシステムの企画・設計など、継続的な伴走支援を行ってきた。また2019年8月には、村全体を一つの宿泊施設と見なす分散型ホテル「NIPPONIA小菅 源流の村」を開業している。
今回、資本業務提携関係にあるHISとともに、小菅村との間で「新しい目的地づくり」に関する協定を締結したことで、地域資源をさらに洗練された観光コンテンツへと昇華させ、インバウンド誘客を含む多分野での連携を通じて、労働力人口の拡大や移住者の増加につながる地域経済の活性化を目指す方針である。
加えて、当協定による観光振興を推進するため、総務省が設ける「地域活性化起業人制度」に基づき、2025年4月からHISより専門人材1名を現地へ派遣する。派遣者は、観光組織の運営、インバウンド誘客戦略の立案・実行、新たな拠点施設の利活用の推進など、幅広い業務を担い、地域および観光の振興を支援していくことになる。
連携協定の具体的な項目には、地域振興および地方創生、観光や地域魅力の発信、インバウンド戦略の策定と実行、観光施設への誘客促進、関係人口の創出、企業誘致と連携、SDGs推進、自然環境の活用と保全、文化・産業・観光の振興、そして協定目的の実現に必要とされるその他事項が含まれている。
小菅村村長は、第2期地方創生総合戦略に基づく観光振興の取り組みを踏まえ、今回のさとゆめおよびHISとの新たな協定により、観光資源の商品化とPRの強化を進める意向を示した。令和7年度には、廃旅館を活用した古民家ホテルと掛け合わせた関係人口と村民が交流できる場づくり、クラフトビールのブランディング拠点整備といった新規事業が始動予定であり、観光振興を通じた地域経済の活性化、労働人口の増加、移住促進を図る考えである。
さとゆめ代表取締役は、小菅村との出会いがなければ今のさとゆめは無いと言い切れると述べ、創業直後の2014年以降、道の駅の開業、DMOの設立、ポイントカードシステム構築、分散型ホテルの事業化など、地域とともに数多くの挑戦を重ねてきたと述べた。現在は全国約50地域で事業を展開しているが、その多くは小菅村での経験に基づいているとし、コロナ収束やインバウンド回帰、オーバーツーリズムの顕在化という状況の中で、HISとともに小菅村を世界に誇る「新しい目的地」に磨き上げることに意欲を示した。
HIS法人営業本部本部長は、小菅村が自然と地域コミュニティに恵まれた魅力的な村であるとしたうえで、10年にわたり村づくりに取り組んできたさとゆめとの協定に参加するにあたり、身が引き締まる思いであると述べている。HISが持つ海外57か国のネットワークと、長年の事業経験を活かし、小菅村の自然や文化を持続可能な観光地域として広く認知されるよう努めていく考えを示した。