観光庁が「GoToトラベル」キャンペーンの昨年12月15日までの利用実績の速報を公開した。
事務局の報告によれば、政府主導の観光需要喚起策「GoToトラベル」事業は、昨年7月22日~12月15日までの期間に約8,282万泊の利用があり、支援額は少なくとも約4,842億円に達するという。
支援額の内訳は、宿泊・旅行代金の割引に使われたのが約3,831億円。地域共通クーポン制度に利用されたのが約1,011億円だった(クーポンは制度開始の10月1日~12月28日までの集計)。
前回の利用実績速報では、昨年11月30日までの利用人泊数は少なくとも7,722万泊だった。12月前半でおよそ560万泊の利用があったことになる。11月15日から30日までの利用が1590万泊だったことを考慮すると、この半月で利用は大幅に落ち込んだことにある。
落ち込みの主要な原因はやはり新型コロナウイルスの感染拡大だ。11月ころから感染が深刻化していた札幌市と大阪市では、11月24日から12月15日の間、両市を目的地とする旅行を「GoToトラベル」事業の対象外とする措置がとられていた。さらに12月1日、東京都でも65歳以上の高齢者および基礎疾患を持つ人を対象に利用の自粛が呼び掛けられた。そして同月14日から名古屋市、16日から広島市、18日からは東京を目的地とする旅行が支援の対象外となる。
第3波と呼ばれる感染の波はその後も続き、12月28日からは全国で事業停止の措置がとられ、当初1月11日までを予定していた停止期間は2月7日まで延長されることとなった。
今回はあくまで「一時」の停止措置であり、GoToトラベルキャンペーンは今年のGW時期まで実施される予定だ。一方、停止措置が解除された後、割引率の引き下げも検討されている状態で、GoTo事業によって落ち込んだ旅行需要を回復できるだろうかという不安の声も上がっている。