2015年3月に開業した北陸新幹線。新幹線の新路線開業は、2年目以降低迷が続くケースも見受けられるが、金沢は伸び続け、ホテル開業も相次いで予定されており、地価の高騰が続いている。
金沢の商業地の地価が高騰
3月27日の石川県の発表によると、石川県では、昨年25年ぶりにプラスに転じた全用途の平均変動率が、今年も0・1%増と2年連続で上昇した。新幹線の開業は2年目以降低迷してしまうケースも多く見受けられるが、金沢駅周辺の商業地は、北陸新幹線金沢開業から4年目を迎え、なお続く観光客の増加に後押しされ、地価の上昇が続いていることが確認できた。
石川県の地価平均変動率(%)
出典:石川県資料
上記の表の通り、特に商業地での新幹線の開業(平成27年)以降の高騰が目につく。最も高い値をつけたのは金沢駅東口地域であった。
金沢でホテル新設ラッシュ
開業当初は、交通の便が整う代わりに、日帰り客が増加するなどして、かえって宿泊客が減少してしまうという懸念もあったが、実際には金沢は訪日客の増加にも後押しされ軒並み新規ホテルの開業が相次いでいる。
メトロエンジンリサーチによると、石川県では、現在6件のホテルの新設が予定されている。
金沢新設ホテル予定地
出典:メトロエンジンリサーチ
上記の地図の通り、いずれも金沢市内の、駅周辺および、目玉の観光施設である金沢城公園、兼六園近くで建設開業が予定されている。いずれの施設も2018〜2020年にかけて、12−14階建てで、部屋数も150−400部屋の大規模施設が建設開業予定となっている。
こうしたホテルの新設ラッシュが地価を押し上げており、特に金沢駅から東に向かう地域は金沢の観光の中心地として、衰えぬ人気ぶりだ。
ストロー現象への懸念
新幹線と観光客の流入により賑わいを見せる金沢の一方で、県全体の地価はほとんど増減を見せておらず、周辺地域はその恩恵に十分に預かることができずにいるようだ。
交通の便の良くなった地域の中で、目的地となった勝ち組とただ通り抜けるだけの負け組に分かれる、いわゆる「ストロー現象」に対する懸念がある。
今後は、金沢ほどの観光コンテンツを有していない周辺地域において、こうした懸念を払拭して、広域の地域連携により、観光客を回遊させ長期滞在につなげていけるかどうかが石川県の課題と言えそうだ。