成田国際空港株式会社が発表した2025年3月の航空旅客便動向によれば、航空旅客数全体は368万人に達し、2019年同月比で94%を記録した。国際線旅客数は305万人となり、2019年3月に次ぐ過去2番目の高水準を維持している。特に外国人旅客数は200万人を超え、3月としては過去最多、さらに単月としても歴代3位という記録を更新した。日本人旅客数も92.4万人に上り、前年同月比では117%、2019年同月比では65%をマークしており、2か月連続で6割を超える水準を保っている。
(出典:成田国際空港株式会社)
国際線旅客便の発着回数についても好調が続き、2025年3月単月における国際線旅客便の発着回数は14,458回となり、2019年同月比95%の水準に到達した。特に中国路線が好調を維持しており、国際線全体の回復をけん引している。国内線については、旅客数が63.3万人で2019年同月比91%、発着回数は3,907回で同86%となった。コロナ禍前の水準にはまだ戻っていないものの、着実な回復基調にある。一方、貨物便に関する動向では、国際線貨物便発着回数が2,714回となり、前年同月比101%、2019年同月比では125%を記録した。国際航空貨物量も18.3万トンに達し、前年同月比106%と12カ月連続で前年実績を上回っている。
(出典:成田国際空港株式会社)
さらに、2024年度の年間空港運用状況も公表された。航空旅客数は4,077万人となり、5期ぶりに4,000万人を超えた。国際線旅客数は3,337万人に達し、2019年度比98%の水準まで回復。外国人旅客数は2,273万人で、2019年度比137%と大幅に増加し、開港以来最高記録を2年連続で更新した。日本人旅客数も828万人となり、前年同期比122%と約2割の増加が見られる。2024年度(4月~翌年3月の通年)における旅客便発着回数は162,120回で、2019年度比93%と堅調な推移となった。
(出典:成田国際空港株式会社)
なお、成田国際空港株式会社は、2025年ゴールデンウィーク期間中(4月25日[金]から5月6日[火]までの12日間)における旅客数推計も発表している。資料によると、国際線の発着回数や外国人旅客数の増加が、成田空港に限らず他の主要空港でも広がっている様子がわかる。特に、地方空港においても国際線の発着や外国人利用が一定程度回復しており、観光ニーズが都市部から地方へと拡大している兆しが見える。また、外国人旅客の回復は国・地域別で濃淡があり、中国、韓国、東南アジア諸国などアジア圏からの訪日需要が目立って高いことが、棒グラフの比率差から読み取れる。加えて、月ごとの旅客数推移を見る限り、年明け以降も堅調な回復基調が続いており、季節変動に左右されにくい安定した旅行需要が形成されつつあることも示唆されている。期間中は空港内の大幅な混雑が予想されており、利用者に対して公共交通機関を活用し、余裕を持った来港を呼びかけている。