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長崎県9月前半のブッキングカーブ点検 — 9/12(土)は推定OCC82.7%、旅館とシティに24.2pt差

投稿日 : 2026.08.25

長崎県

エリア・施設分析

レベニューマネジメント

長崎県9月前半のブッキングカーブ点検 — 9/12(土)は推定OCC82.7%、旅館とシティに24.2pt差

長崎県の2026年9月前半(9/1〜9/15)を、宿泊日ごとのブッキングカーブで点検した。最も需要が厚いのは9月12日(土)で、全施設の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は直近観測で82.7%、完売施設率は28.5%(N=400施設・18,905室)。カテゴリ別に割るとシティ89.3%(N=24)・ビジネス87.4%(N=115)・リゾート78.8%(N=35)に対し、旅館は65.1%(N=62)で、シティとの差は24.2ptに開いている。一方で同じ9/12の旅館は45日前の58.6%から直近65.1%へ+6.5pt積み上がっており、これは9月前半15日のなかで最大の上積み幅だった。長崎の9月前半は「週末のシティ・ビジネスは既に固まり、旅館だけがまだ動いている」という構図で読める。

対象: 長崎県の全宿泊施設 N=400施設・18,905室(内訳: シティ24/ビジネス115/リゾート35/旅館62 ほか)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年8月24日。

Key Takeaways
  • — 9月前半15日で突出するのは9/11・9/12の二日だけ。9/12(土)の全施設は直近観測で82.7%、翌9/13(日)は68.6%で14.1ptの落差があり、土曜単泊型の需要形状になっている。
  • — 同じ9/12でも業態で景色が違う。シティ89.3%・ビジネス87.4%・リゾート78.8%に対し旅館は65.1%で、シティとの差は24.2pt。
  • — 決まる時期がずれる。45日前→直近の上積みはシティ+0.5pt(45日前にほぼ決着)に対し旅館は+6.5ptで、その半分以上が30日前以降の後半区間で積み上がった。
  • — 残り在庫消化率の実測四分位(宿泊日n=70)を当てた9/12の着地は、旅館73.9〜76.2%(中位74.8%・上積み+9.7pt)、シティ91.5〜93.2%。旅館は最も伸びるが、それでもシティ水準には届かない。
  • — 価格側も同じ向き。2025年の確定値ではシティ(¥11,186)・旅館(¥7,981)とも9月が年間最安月で、稼働形状と価格水準がそろって緩む月になる。

9月前半15日の需要形状 — 9/11・9/12の二日だけが突出する

まず9月前半の「形」を確認する。下表は9/1〜9/15の各宿泊日について、宿泊日の30日前時点の推定OCCと直近観測時点の推定OCCを並べたものだ。カテゴリ別の直近値も併記した。

全施設ベースの直近観測値は、15日間の平均が72.6%、レンジは68.6%(9/13日曜)〜82.7%(9/12土曜)。金・土の4日間(9/4・9/5・9/11・9/12)の平均が77.1%、それ以外11日間の平均が70.9%で、週末プレミアムは6.2pt分ある。ただしその内訳はカテゴリでかなり違う。シティは金土80.9%に対しそれ以外71.9%で9.0ptの週末依存、ビジネスは81.5%対75.8%で5.7pt、旅館は61.8%対56.4%で5.4ptにとどまる。長崎県の9月前半は、週末の山を最も強く享受しているのはシティで、旅館はその山に乗り切れていない。

表1 2026年9月1日〜15日 宿泊日別の推定OCC(カテゴリ別・直近観測/全施設は30日前と直近の対比)— 長崎県 N=400施設・18,905室
宿泊日 シティ
直近
ビジネス
直近
リゾート
直近
旅館
直近
全施設
30日前
全施設
直近
上積み
9/1(火)70.9%75.9%68.7%56.6%66.4%70.5%+4.1pt
9/2(水)79.4%79.6%66.0%57.2%69.4%73.8%+4.4pt
9/3(木)71.8%77.1%69.4%52.8%68.6%71.5%+2.9pt
9/4(金)75.3%77.2%71.7%60.0%69.9%72.9%+3.0pt
9/5(土)76.5%79.6%77.1%62.2%72.2%75.8%+3.6pt
9/6(日)70.2%72.4%68.1%57.7%66.9%68.8%+1.9pt
9/7(月)69.5%73.9%69.8%56.8%66.7%69.9%+3.2pt
9/8(火)72.6%76.3%72.3%58.9%69.4%71.9%+2.5pt
9/9(水)72.3%75.8%70.8%60.3%69.1%71.2%+2.1pt
9/10(木)74.8%78.4%72.3%55.6%71.2%73.1%+1.9pt
9/11(金)82.4%81.6%76.4%60.0%75.4%77.2%+1.8pt
9/12(土)89.3%87.4%78.8%65.1%81.0%82.7%+1.7pt
9/13(日)68.8%71.8%69.9%58.6%67.3%68.6%+1.3pt
9/14(月)68.4%74.4%69.3%51.6%66.7%69.0%+2.3pt
9/15(火)72.4%78.1%66.9%54.6%69.3%71.6%+2.3pt

推定OCC(OTA掲載在庫ベース)。長崎県 N=400施設。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

特徴的なのは9/12(土)の一極集中だ。全施設82.7%は前後の土曜(9/5は75.8%)より6.9pt高く、翌9/13(日)68.6%との差は14.1ptある。土日で二泊させる形にはなっておらず、土曜単泊型の需要が集中する日付だと読める。加えて、平日でも9/2(水)が全施設73.8%(シティ79.4%・ビジネス79.6%)と平日帯では最も厚く、逆に9/3(木)は旅館52.8%まで落ちる。9月前半の長崎は日付ごとの振れが大きく、月まるごと一律の設定では取りこぼしが出やすい形状になっている。

推定OCC(OTA掲載在庫ベース・直近観測時点)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

45日前・30日前・直近の3定点 — ピーク週末で何が起きているか

次に、需要が集中する9/11(金)・9/12(土)について、宿泊日の45日前・30日前・直近観測という3つの定点で進捗を切る。ブッキングカーブは宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。9/12の直近観測は残り20日時点にあたる。

表2 9月11日(金)・12日(土)の45日前/30日前/直近観測 3定点比較 — カテゴリ別 推定OCC・完売施設率・観測施設数
宿泊日 / カテゴリ 45日前 30日前 直近観測 45日前→直近 観測施設数
9/11(金)
 シティ76.7%79.9%82.4%+5.7pt24/21/24
 ビジネス78.1%80.2%81.6%+3.5pt115/109/113
 リゾート73.6%73.4%76.4%+2.8pt35/33/35
 旅館57.7%58.7%60.0%+2.3pt62/62/62
 全施設73.6%75.4%77.2%+3.6pt393/377/393
9/12(土)
 シティ88.8%88.2%89.3%+0.5pt23/23/24
 ビジネス83.4%86.3%87.4%+4.0pt111/111/113
 リゾート75.6%77.4%78.8%+3.2pt35/34/35
 旅館58.6%60.7%65.1%+6.5pt62/62/62
 全施設78.7%81.0%82.7%+4.0pt388/382/393

観測施設数は45日前/30日前/直近の順。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

3定点で見ると、9/12のシティは45日前の時点ですでに88.8%に達しており、そこから直近までの上積みは+0.5ptしかない。カーブはほぼ水平で、45日前の段階で当日の水準がほぼ決まっていた形だ。ビジネスは83.4%→86.3%→87.4%と階段状に+4.0pt、リゾートは75.6%→78.8%で+3.2pt。これに対し旅館は58.6%→60.7%→65.1%で+6.5ptと最も大きく、しかもその半分以上(+4.4pt)が30日前から直近までの後半区間で積み上がっている。

完売施設率(OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)でも同じ方向が出ている。9/12の旅館は45日前6.5%から直近22.6%へ動き、直近時点でシティの20.8%を上回った。旅館は最初から埋まっているのではなく、宿泊日が近づいてから埋まるカテゴリだということが数字で確認できる。9/11も同様で、旅館は45日前57.7%から直近60.0%と、シティの+5.7ptに比べて後半の伸びしろを残したままの状態にある。業態ごとに「決まる時期」がずれるこの構図は長崎だけのものではなく、宮崎県の業態別ブッキングカーブでも旅館の土曜集中とシティの45日前天井という同じ形が観測されている。

2026年9月12日(土)宿泊分の推定OCC推移。宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

旅館の「積み上げ余地」を月次の価格水準と重ねる

9月前半15日間の直近観測の平均を取ると、ビジネス77.3%・シティ74.3%・リゾート71.2%に対し旅館は57.9%。旅館だけが15日すべてで70%を割っている。参考として、経過月である2026年7月の実績月平均は、ビジネス86.1%・シティ83.6%・リゾート76.6%・旅館68.8%・全施設81.7%だった(いずれも推定OCC・長崎県)。7月は着地済みの実績、9月前半は途中経過であり基準が異なるため単純な差分では読めないが、旅館が県内カテゴリのなかで最も低い水準に位置し、かつ着地に向けてまだ積み上げる区間を残しているという構図は共通している。

価格側も確認しておく。推定成約ADR(月次)の確定値でみると、直近の確定月である2026年7月は、ビジネス¥6,562(N=127)、シティ¥10,409(N=24)、旅館¥9,631(N=67)、リゾート¥14,176(N=36)。前年同月(2025年7月・確定)との比較では、旅館が+3.2%、ビジネスが+2.1%と伸びた一方、シティは−12.6%、リゾートは−11.3%だった。長崎県のビジネスホテルが確定ベースで前年超を続けている背景と、2026年の新規供給がどこまで積み上がったかについては、長崎県の新規供給は2026年23軒・521室で前年の2.6倍が詳しく分析している。

表3 長崎県 業態別の推定成約ADR(税抜相当)— 2025年7月・2026年7月の確定値と前年同月比、参考として2025年9月確定値
カテゴリ 2025年7月(確定) 2026年7月(確定) 前年同月比 2025年9月(確定)
ビジネスホテル¥6,426(N=122)¥6,562(N=127)+2.1%¥6,408(N=124)
シティホテル¥11,916(N=25)¥10,409(N=24)−12.6%¥11,186(N=25)
旅館¥9,332(N=71)¥9,631(N=67)+3.2%¥7,981(N=73)
リゾートホテル¥15,974(N=35)¥14,176(N=36)−11.3%¥15,289(N=35)

長崎県・推定成約ADR(税抜相当)。いずれも確定値どうしの比較。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

ここで注目したいのが右端の列だ。2025年の確定値を12か月並べると、シティ(¥11,186)も旅館(¥7,981)も9月が年間の最安月だった。旅館の2025年9月は同年8月の¥10,020から約¥2,000低く、11月の¥10,965・12月の¥11,736と比べても大きく沈む。長崎の9月は、稼働の形状(週末一極集中・旅館の低位)と価格水準(年間最安月)が同じ方向を向いている月ということになる。なお2026年9月分の推定成約ADRは、現時点の販売状況に基づく推定値であり確定値とは算出基準が異なるため、前年確定値との単純比較は月末の確定を待ちたい。

長崎県・推定成約ADR(税抜相当)の年重ね。2026年は7月までが確定値。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

残り20日で着地はどこまで動くか — 消化率で幅を持たせる

ここまでは観測時点の断面を見てきた。実務で必要なのはその先、つまり「このまま行くと着地はどこか」だ。直近観測(2026年8月23日・9/12まで残り20日)から先の伸びを一点で置くと外しやすいので、残り在庫消化率という一つの尺度に置き換えて幅で持つ。

定義はシンプルで、残り在庫消化率 =(残り1日時点の推定OCC − 残り20日時点の推定OCC)÷(100 − 残り20日時点の推定OCC)。残り20日の時点で空いていた在庫のうち、何割が最終的に売れたかを表す。これをすでに宿泊日を終えた70日分(2026年6月1日〜8月10日の宿泊日、長崎県・カテゴリ別)で実測し、その四分位を悲観(第1四分位)・中位(中央値)・楽観(第3四分位)として当てる。着地は「直近OCC + 消化率 ×(100 − 直近OCC)」で求まるため、定義上100%を超えない。

表5 9月12日(土)宿泊分の着地シナリオ — 残り在庫消化率の実測四分位(2026年6月1日〜8月10日の宿泊日 n=70)を当てた3ケース試算
カテゴリ 直近観測
(残り20日)
残り在庫消化率の実測(n=70宿泊日) 9/12の着地シナリオ 中位ケースの
上積み
悲観
(第1四分位)
中位
(中央値)
楽観
(第3四分位)
悲観中位楽観
全施設82.7%26.6%33.2%38.7%87.3%88.4%89.4%+5.7pt
シティ89.3%20.3%27.4%36.7%91.5%92.2%93.2%+2.9pt
ビジネス87.4%28.5%40.9%49.9%91.0%92.6%93.7%+5.2pt
リゾート78.8%20.3%23.8%27.9%83.1%83.8%84.7%+5.0pt
旅館65.1%25.2%27.8%31.9%73.9%74.8%76.2%+9.7pt

消化率は長崎県の宿泊日2026年6月1日〜8月10日(n=70宿泊日、残り20日と残り1日の両観測が揃う日のみ)の実測分布。着地は「直近OCC + 消化率 ×(100 − 直近OCC)」。推定OCCはOTA掲載在庫ベース。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

読み方は三つある。第一に、旅館の中位ケースは74.8%で、直近から9.7pt積み上がる。9月前半で最も伸びしろが大きい。ただし悲観と楽観の幅も73.9〜76.2%と狭く、「大きく積み上がるが、シティの水準には届かない」という結論はどの前提を置いても変わらない。第二に、シティは中位でも92.2%で上積みは2.9pt。すでに決着している日付であり、残り20日の打ち手で動かせる余地は小さい。第三に、消化率のばらつきが最も大きいのはビジネス(28.5〜49.9%)で、着地は91.0〜93.7%に振れる。ビジネスは直前需要の振れを最も受ける業態であり、残り在庫の出し方で結果が変わりやすい。

自館に当てはめるときは、県の消化率をそのまま使わずに自館の実測に置き換えたい。下表は「直近の推定OCC」と「残り在庫消化率」の2軸で着地を引いたグリッドで、自館の現在値と、過去の同曜日・同時期で実測した自館の消化率が交わるセルが着地の目安になる。

表6 着地の感応度グリッド — 直近の推定OCC(縦)× 残り在庫消化率(横)で読む着地水準
直近の推定OCC\消化率20%25%30%35%45%
60%68.0%70.0%72.0%74.0%78.0%
70%76.0%77.5%79.0%80.5%83.5%
80%84.0%85.0%86.0%87.0%89.0%
85%88.0%88.8%89.5%90.2%91.8%
90%92.0%92.5%93.0%93.5%94.5%

着地 = 直近OCC + 消化率 ×(100 − 直近OCC)。長崎県の実測四分位はカテゴリにより20.3〜49.9%の範囲にあり、横軸はこのレンジを覆う。推定OCCはOTA掲載在庫ベース。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

グリッドを縦に見ると、消化率が10pt違っても着地は直近OCCが高いほど動かないことがわかる。直近60%の日は消化率20%と45%で68.0%対78.0%と10.0ptも開くのに対し、直近90%の日は92.0%対94.5%で2.5ptしか開かない。裏返せば、打ち手の効き目が大きいのは直近OCCが低い日付ということだ。9月前半の長崎で言えば、9/3(木)の旅館52.8%や9/14(月)の旅館51.6%のような日が、残り期間の施策で最も動く。逆に9/12のシティのようにすでに高い日は、稼働を積むより単価側の設計に時間を使うほうが合理的になる。

長崎県の旅館・ホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

1. 「45日前で決まる日」と「直前で決まる日」を、自館のカレンダー上で分けて扱う。 市場全体では9/12のシティが45日前88.8%→直近89.3%(+0.5pt)とほぼ水平だったのに対し、同じ日の旅館は58.6%→65.1%(+6.5pt)と後半に厚みが出た。自館のブッキングペースがどちらの型に近いかで、残り3週間の打ち手はまったく変わる。前者の型なら在庫の出し方(残枠の見せ方・上位室種の温存)が論点、後者の型なら露出と到達の論点になる。

2. 週末プレミアムの大きさは自館カテゴリの相場感で測る。 9月前半の金土とそれ以外の差は、シティ9.0pt・ビジネス5.7pt・旅館5.4pt。自館の週末と平日の差がカテゴリ相場よりはっきり小さいなら、週末側を取り切れていない可能性がある。逆に差が極端に大きい場合は、平日の需要獲得が積み残されているサインとして読める。

3. 「土曜単泊型」の日付を前提に連泊施策を組む。 9/12(土)82.7%に対し9/13(日)は68.6%で14.1ptの落差、9/11(金)は77.2%。金土・土日の連泊が自然に発生する形にはなっていない。連泊で埋めたいなら、落差の大きい日曜側にどう橋を架けるかを設計する話になる。

4. 価格レンジの物差しは「確定月の水準」で持つ。 2026年7月の確定値は旅館¥9,631・ビジネス¥6,562・シティ¥10,409・リゾート¥14,176。さらに2025年の確定値ではシティ・旅館とも9月が年間最安月だった。9月の設定をこの季節形状と切り離して組むと、市場が緩む月に強気の水準を置いて取りこぼすか、逆に必要以上に下げるかのどちらかになりやすい。

以上を、残り期間の時間軸に落とすと次のようになる。

表4 残り期間の時間軸別アクションプラン — 判断トリガーと狙い
時間軸 打ち手 判断トリガー 狙い
今日〜今週9/11・9/12の自館ブッキングペースを、市場の3定点(旅館58.6→60.7→65.1/シティ88.8→88.2→89.3)と並べて型を判定する自館の9/12が市場の直近水準(旅館65.1%・シティ89.3%・ビジネス87.4%)を下回っているなら残り約3週間を「積み上げる期間」と位置づけ直す
今日〜今週9/12(土)に販売する室種・在庫配分を点検し、上位室種を残していないか確認する県内の完売施設率が9/12で28.5%(全施設)まで上がっている一方、自館に未消化の上位室種が残っているなら最も厚い1日でミックスを取りこぼさない
2週間以内旅館業態は、9/12以外の平日(9/3の市場旅館52.8%、9/14の51.6%が最も薄い)に向けた露出強化を検討する自館の9月前半平均が市場の旅館平均57.9%を下回っているなら谷日の底上げで月次の平均稼働を引き上げる
2週間以内9/13(日)を含む連泊の組み立て(金土・土日)を、単泊とは別枠で用意できるか検討する自館の9/12と9/13の差が市場の14.1ptより大きいなら土曜集中を日曜側へ延ばす余地を探る
来月に向けて9月の価格改定カレンダーを、確定月の水準(旅館¥9,631・シティ¥10,409・ビジネス¥6,562・リゾート¥14,176/2026年7月)と2025年9月の年間最安という季節形状に照らして見直す自館の9月設定が、これらの水準感や季節形状と噛み合っていないなら緩む月の設定を根拠のあるレンジに寄せる
来月に向けて10月以降の週末について、45日前時点の自館進捗を記録する運用を始める今回の9/12のように、45日前で水準がほぼ決まる日が自館にもあるなら「間に合う打ち手」の締切を自館基準で持つ

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

まとめ — 長崎9月前半を測る3つの物差し

物差し1:日付の格差。 全施設の推定OCCは9/12(土)82.7%から9/13(日)68.6%まで14.1ptの落差がある。9月前半を月単位のひとかたまりとして扱うと、この落差はまるごと機会損失側に回る。日付ごとの需要の厚みを前提に設計するのが出発点になる。

物差し2:カテゴリの位置。 15日平均でビジネス77.3%・シティ74.3%・リゾート71.2%・旅館57.9%。同じ「長崎県の9月」でも、業態によって見えている景色は20pt近く違う。自館の数字は必ず同カテゴリの水準と並べて判断したい。

物差し3:カーブの型。 45日前→直近の上積みは、9/12でシティ+0.5pt・ビジネス+4.0pt・リゾート+3.2pt・旅館+6.5pt。旅館は直前区間に厚みが残るカテゴリであり、45日前の進捗だけで着地を判断すると過小評価になりやすい。逆にシティは45日前でほぼ決まる。この型の違いを自館で把握しておくことが、打ち手の締切を決める材料になる。45日前からの上積みが全国的にどの程度の水準に収まるのかは、47都道府県の実測で読むブッキングカーブ(上積みの中央値は+4.1pt)が目安になる。

データについて

  • 推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の定義: OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。対象月は2026年9月(9/1〜9/15の宿泊日)および経過月実績としての2026年7月。
  • ブッキングカーブ: 宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。本記事の「直近観測」は2026年8月23日時点の観測で、9/12(土)については宿泊日まで残り20日の断面にあたる。
  • 完売施設率: OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定値。
  • 推定成約ADRの定義: OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。本記事の前年同月比は確定値どうしの比較のみで算出している。
  • 対象Nの内訳: 長崎県 全施設 N=400施設・18,905室(シティ24施設・2,661室/ビジネス115施設・9,654室/リゾート35施設・2,880室/旅館62施設・2,036室ほか)。推定成約ADRのN=は月ごとの集計対象施設数で、ビジネス122〜127・シティ24〜25・旅館67〜73・リゾート35〜36。
  • データ時点: 2026年8月24日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

■ データソース

宿泊日別の推定OCC・完売施設率・観測施設数は、長崎県の全宿泊施設 N=400施設・18,905室を対象としたブッキングカーブの観測系列(宿泊日の45日前から直近まで)。推定成約ADRは月次の業態別集計で、過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。着地シナリオに用いた残り在庫消化率は、2026年6月1日〜8月10日の宿泊日 n=70(残り20日と残り1日の両観測が揃う日のみ)の実測分布から算出。いずれもメトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。

■ 試算前提

着地シナリオは「着地 = 直近OCC + 残り在庫消化率 ×(100 − 直近OCC)」の一式のみで構成し、記事外の新規前提は置いていない。悲観・中位・楽観はそれぞれ実測消化率の第1四分位・中央値・第3四分位で、カテゴリ別に長崎県の実測値を当てている(全施設26.6/33.2/38.7%、シティ20.3/27.4/36.7%、ビジネス28.5/40.9/49.9%、リゾート20.3/23.8/27.9%、旅館25.2/27.8/31.9%)。感応度グリッドは同じ式を直近OCC 60〜90%×消化率20〜45%で引いたもので、定義上いずれのセルも100%を超えない。

■ 限界・留意点

推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定であり、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。消化率の四分位は夏季(6〜8月宿泊分)の実測であり、9月の需要構造が夏季と異なる場合は着地レンジもずれる。観測施設数は定点ごとに変動するため、母集団の入れ替わりが小さい差分の解釈には注意が必要。9月前半は途中経過、2026年7月は着地済み実績で基準が異なるため、両者を単純に差分で比較していない。推定成約ADRは公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%であり、前年同月比は確定値どうしの比較のみで算出している。

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