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博多駅前3丁目にJR九州系150室、2028年度開業予定|博多駅1km圏22,480室・博多区ADR1.4万円で読む

投稿日 : 2026.10.19

福岡県

新規開業・供給

博多駅前3丁目にJR九州系150室、2028年度開業予定|博多駅1km圏22,480室・博多区ADR1.4万円で読む

JR九州ホテルズアンドリゾーツ株式会社が2025年6月27日に公表した「福岡市におけるホテル出店計画について」によると、同社は福岡市博多区博多駅前3丁目141番他筆の敷地約1,480㎡に、約150室(予定)の「博多駅前3丁目ホテル(仮称)」を2028年度中(予定)に開業する計画で、土地建物は株式会社八百治が所有し、運営を同社が担うという。博多駅エリアで同社4軒目の新規出店となるが、施設の詳細は「現在検討中」で決定次第発表するとされており、客室数も開業時期も確定値ではない。本稿では、この計画を①博多駅1km圏の客室ストック推移、②博多区の掲載価格と推定成約ADR、③同じ所有者が運営する既存の八百治博多ホテル(207室)の価格帯、の3点から位置づけ、150室という規模が商圏にとって何を意味するかを読み解く。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。過去月は確定した履歴基準、当月以降は「掲載スナップショット基準」(調査時点の掲載から推定)で、後者は今後変動する。
  • 掲載価格(全プラン平均):OTA上で公開されている全プランの平均価格(2名1室利用時・1室あたり・税込)。売れ残った高価格帯プランを含むため、推定成約ADRより高く出る。
  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なる。
  • 客室ストック:メトロエンジンリサーチが追跡する施設マスターの開業日・閉館日から、各年末時点で開業済みかつ閉館前の施設数・客室数を集計したもの。OTA未掲載の施設は含まれない。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(計画の公表値はJR九州ホテルズアンドリゾーツのニュースリリース)
Key Takeaways
  • — 公表値は「約150室(予定)・2028年度中(予定)・敷地約1,480㎡・博多口徒歩7分」。ブランド名・階数・延床は未公表で、施設詳細は検討中とされている。
  • — 博多駅1km圏の客室ストックは2017年末の122施設14,622室から2026年末見込みの234施設22,480室へ増え、2019年末比では+3,734室(+19.9%)。150室はこのストックの約0.7%にあたる。
  • — 博多区の推定成約ADRは2026年7月13,100円→9月14,200円(前年同月比+13.1%)。10月は掲載スナップショット基準で18,300円と秋の繁忙を映すが、確定値ではない。
  • — 土地建物所有者が運営する八百治博多ホテル(207室)の推定成約ADRは2026年9月19,300円で、博多区中央値の約1.36倍。運営会社の既存3軒は同月21,300〜29,000円のレンジにある。
  • — 150室×想定ADR帯の年間客室売上は当社推計で6.2億〜14.3億円(稼働80〜90%)。どの価格帯を取りにいくかで売上規模が2倍超変わる。

公表されている事実と、まだ決まっていないこと

まずは一次情報を整理したい。JR九州ホテルズアンドリゾーツのニュースリリース(2025年6月27日付)に記載されたホテル概要は下表のとおりで、同じ内容がPR TIMESにも配信されている。注意すべきは、客室数と開業時期の双方に「(予定)」が付き、末尾に「施設の詳細については現在検討中ですので、決定次第発表させていただきます」と明記されている点だろう。つまり本稿で扱う150室・2028年度は計画段階の目安であり、着工後に増減する余地を残している。

博多駅前3丁目ホテル(仮称)の公表概要(2025年6月27日リリース)
項目公表内容(原文の表記に準拠)
ホテル名称博多駅前3丁目ホテル(仮称)
所在地福岡県福岡市博多区博多駅前3丁目141番他筆
敷地面積約1,480㎡
客室数約150室(予定)
開業時期2028年度中(予定)
土地建物所有株式会社八百治
ホテル運営JR九州ホテルズアンドリゾーツ株式会社(九州旅客鉄道株式会社 100%出資)
アクセスJR「博多駅」博多口より徒歩7分
未公表の項目ブランド名、階数・構造・延床面積、着工時期、客室タイプ構成、料飲・宴会機能の有無

出典:JR九州ホテルズアンドリゾーツ「福岡市におけるホテル出店計画について」(2025年6月27日)よりホテルバンク編集部作成

所有と運営が分かれている点も、この計画の読みどころである。土地建物を八百治が持ち、JR九州ホテルズアンドリゾーツが運営を担う構図は、所有者がホテル開発リスクのうち運営部分を外部の運営会社に委ねる典型的なスキームといえる。契約形態(賃貸借か運営受託か)は公表されていないため、本稿では立ち入らない。なお同社のリリースは、運営施設が九州各地・東京・京都・沖縄で17施設にのぼること、博多駅エリアでは本計画が4軒目の新規出店になることを述べているが、どのブランドで展開するかには触れていない。ブランドは本稿でも推測しない。

計画地はどこか — 八百治博多ホテルとの関係を公式地図で確認する

投資家・運営者にとって最初に確かめたいのは、この150室が商圏にとっての「純増」なのか、既存施設の「建替え」なのかという点だろう。土地建物所有者の八百治は、博多駅前4丁目9番2号で天然温泉付きの八百治博多ホテル(207室・1999年開業、メトロエンジンリサーチのマスター登録値)を運営している。もし計画地がその現敷地であれば、207室→約150室の減室を伴う建替えとなり、商圏の客室数はむしろ減る。

リリースの「出店計画地」地図を確認すると、計画地は博多口から南西方向、ANAクラウンプラザホテル福岡とサットンホテル博多シティに挟まれた街区に図示されている。住所表記も「博多駅前3丁目」で、八百治博多ホテルの「博多駅前4丁目」とは丁目が異なる。リリースには既存建物の解体や建替えへの言及はない。これらを総合すると、計画地は八百治博多ホテルとは別の敷地で、商圏にとって約150室の純増として扱うのが自然な読み方である。ただし、公式文書が「別敷地での新築」と明示しているわけではないため、本稿では次の2ケースを併記しておく。

計画地の2ケースと博多駅1km圏ストックへの影響
ケース前提1km圏ストックへの影響本稿の評価
A. 別敷地での新築八百治博多ホテルは存続し、3丁目に150室が加わる+150室(22,480室比+0.7%)公式地図・住所表記と整合し、主たる読み方
B. 既存施設の建替え八百治博多ホテル(207室)を閉じて150室に置き換える−57室(同−0.3%)公式文書に建替えの記載はなく、丁目も異なるため可能性は低い

出典:JR九州ホテルズアンドリゾーツ ニュースリリース(2025年6月27日)、メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

下の地図は博多駅を中心とする半径1km圏に、メトロエンジンリサーチが把握する100室以上の宿泊施設90軒(計19,494室)を客室数に応じた円で示したものである。計画地の位置はリリースの地図から読み取った概略で、地番の正確な位置を示すものではない。

出典:メトロエンジンリサーチ(施設マスター 2026年10月時点、100室以上・90施設)、JR九州ホテルズアンドリゾーツ ニュースリリース掲載地図よりホテルバンク編集部作成

博多駅1km圏の客室ストック — 2017年14,622室から2026年22,480室へ

商圏の供給を時系列で見る。博多駅(北緯33.5897度・東経130.4207度)を中心とする半径1km圏で、メトロエンジンリサーチの施設マスターから各年末時点に開業済みかつ閉館前の施設を集計すると、客室ストックは2016年末の97施設13,597室から2017年末に122施設14,622室へ増え、2018年末17,075室、2019年末18,746室と、2017〜2019年の3年間で5,149室(+37.9%)が積み上がった。福岡市内で宿泊施設の開業が相次いだ時期と一致する動きである。

その後の伸びは明らかに緩やかになった。2020年末19,768室、2021年末21,176室と増えたあと、2022年末は21,097室とわずかに減り、2023年末21,772室、2024年末21,729室、2025年末21,912室と、ほぼ横ばいの推移が続く。2026年末見込みは234施設22,480室で、2019年末比では+3,734室(+19.9%)だが、2021年末比では+1,304室(+6.2%)にとどまる。供給の第一波が一巡し、以降は小幅な純増期に入ったと読める。

※データに関する注記
本グラフはOTA掲載確認ベースの集計です。OTA事前掲載は全体の約19%にとどまり、半数以上が開業後の掲載のため、直近以降の月・年は今後の掲載で軒数が増加する可能性があります。確認申請ベースの建築計画パイプライン(国土交通省「建築物動態統計調査」)と併せて参照することを推奨します。

出典:メトロエンジンリサーチ(OTA掲載確認ベース・施設マスターの開業日・閉館日、博多駅半径1km、2026年10月9日時点)、ホテルバンク編集部より作成

博多駅半径1km圏の客室ストック推移(各年末時点・2016〜2026年)
年末時点施設数客室数前年差(室)
2016年9713,597+129
2017年12214,622+1,025
2018年15317,075+2,453
2019年17118,746+1,671
2020年19319,768+1,022
2021年20021,176+1,408
2022年19221,097-79
2023年20221,772+675
2024年20921,729-43
2025年21921,912+183
2026年23422,480+568

出典:メトロエンジンリサーチ(OTA掲載確認ベース、博多駅半径1km)。2026年は10月9日時点の登録値であり、年内の開業・閉館で変動する

ここで注意したいのは、直近年ほど施設数の増加に対して客室数の増加が小さい点である。2023〜2026年に開業した施設は1km圏で41施設・1,090室、1施設あたり平均27室と小規模な宿が中心で、2017〜2019年開業の65施設・4,913室(平均76室)とは様相が異なる。アパートメント型や小規模な簡易宿所の開業が件数を押し上げる一方、100室を超える新規開業は限られてきた。この文脈で見ると、約150室の本計画は、2023年以降の1km圏の開業では西鉄ホテルクルーム博多祇園 櫛田神社前(275室・2023年)に次ぐ規模の新規供給にあたる。

150室のインパクト — ストック比0.7%、主要施設と並べて見る

約150室という規模感を既存施設と比べてみよう。1km圏で客室数の多い施設を並べると、上位は500室前後の大型ビジネスホテルや1990年代開業のフルサービスホテルが占め、150室は表中15位(286室)の約半分の規模で、1km圏では150室を上回る施設が60軒を超える。商圏全体の22,480室に対する比率は0.7%で、2019年以降に積み上がった3,734室の4%に相当する。単独で需給を動かす規模ではないが、博多口側の徒歩7分圏という立地で、運営会社の既存ホテルと同じ商圏に加わる点に意味がある。駅1km圏ストックに対する新規供給比率という同じ物差しで測ると、佐世保駅前に大浴場付き106室、2028年春開業では1,616室に対し+6.6%となり、商圏規模の差がそのまま比率の差に表れている。

博多駅半径1km圏の客室数上位15施設(2026年10月時点)
#施設名客室数開業年
1アパホテル〈博多駅筑紫口〉5952021
2博多グリーンホテル2号館5041978
3西鉄ホテル クルーム博多5032006
4ホテルキャビナス福岡5002001
5キャナルシティ・福岡ワシントンホテル4221996
6博多グリーンホテル1号館4191974
7グランドハイアット福岡3781996
8ホテル日航福岡3601989
9アパホテル&リゾート〈博多駅東〉3452021
10ANAクラウンプラザホテル福岡3201976
11TKPサンライフホテル3101981
12アパホテル〈博多祇園駅前〉3082021
13三井ガーデンホテル福岡祇園3002019
14エスペリアホテル博多2872018
15チサン ホテル 博多2861985

出典:メトロエンジンリサーチ(施設マスター 2026年10月時点。博多駅半径1km・客室数上位15施設。開業年はマスター登録値で、改称・リブランド年が登録されている場合がある。グランドハイアット福岡の客室数は日本ハイアット 報道資料 2026年4月による)

運営会社の既存3軒も同じ1km圏にある。メトロエンジンリサーチのマスターでは、JR九州ホテル ブラッサム博多中央(247室・2013年開業)、ザ ブラッサム博多プレミア(238室・2019年開業)、JR九州ホテルブラッサム福岡(90室)が登録されており、いずれも博多駅前2丁目から博多駅東側にかけて立地する。本計画が加わると、同社が博多駅周辺で運営する客室は既存の575室に約150室を足した725室前後になる計算で、同一商圏内で価格帯や客層を分けて複数施設を運営する体制が一段と厚くなる。

博多区の単価 — 掲載価格2.3万円と推定成約ADR1.4万円の間にあるもの

供給の次は単価である。博多区の2026年7〜10月について、OTA上の全プラン平均である掲載価格と、最安プラン水準から推定した成約ADRを並べたのが下のグラフだ。掲載価格は7月23,400円、8月24,600円、9月23,000円と2.3万〜2.5万円で推移する一方、推定成約ADRは7月13,100円、8月13,500円、9月14,200円と、掲載価格の55〜62%の水準にある。売れ残った高価格帯プランが掲載平均を押し上げる構造は博多区でも例外ではなく、新規開業の事業計画で参照すべきは後者の水準といえる。

10月の値は扱いに注意が要る。推定成約ADR18,300円・掲載価格29,200円はいずれも調査時点(2026年10月上旬)の掲載から推定した「掲載スナップショット基準」であり、確定した履歴基準の7〜9月とは性質が異なる。秋の催事・学会シーズンに向けて高めの価格が掲載されている段階で、チェックイン日が近づくにつれ直前の価格調整で下がる余地がある。グラフでは色を分けて示した。

出典:メトロエンジンリサーチ(博多区・全カテゴリ、推定成約ADRはN=148〜151施設、掲載価格はN=336〜345施設の中央値)、ホテルバンク編集部より作成

前年同月との比較では、推定成約ADRは2026年7月が+4.8%(2025年7月12,500円→13,100円)、8月が+3.7%(13,000円→13,500円)、9月が+13.1%(12,600円→14,200円)と、月を追って伸び幅が広がった。福岡県全体の2026年9月は11,600円(N=477施設、前年同月比+9.8%)なので、博多区はこれを約2割上回る水準にある。年ごとの季節パターンを重ねた下のグラフを見ると、2026年は1〜5月に14,700〜15,400円で前年を上回って推移し、6月に12,800円へ落ち込んだあと再び持ち直している。11月の繁忙期に向けた掲載スナップショットは18,900円と前年11月の15,800円を上回るが、これも確定値ではない。

出典:メトロエンジンリサーチ(博多区・全カテゴリ推定成約ADR、N=142〜151施設。2026年10〜12月は調査時点の掲載水準に基づく推定)、ホテルバンク編集部より作成

八百治博多ホテルの価格帯 — 博多区中央値の1.36倍で推移

土地建物所有者が運営する既存施設の価格帯は、新計画がどの層を狙うかを考える上での参照点になる。八百治博多ホテル(207室・ビジネスホテル)の推定成約ADRは2026年7月16,900円、8月17,300円、9月19,300円で、9月は前年同月の17,800円から+8.5%伸びた。博多区の同月中央値14,200円に対する倍率は1.36倍で、天然温泉と大浴場を備えた駅近施設として、区の標準的なビジネスホテルより一段上の価格帯を確保している。10月の掲載スナップショット基準は22,500円である。

運営会社側の既存3軒はさらに上の帯にある。2026年9月の推定成約ADRは、JR九州ホテルブラッサム福岡が21,300円、JR九州ホテル ブラッサム博多中央が24,600円、ザ ブラッサム博多プレミアが29,000円で、博多区中央値の1.5〜2.0倍に位置する。所有者の既存施設が1.4倍、運営者の既存施設が1.5〜2.0倍という配置を踏まえると、新計画の価格帯は区の中央値そのものではなく、その上の帯を想定して事業性を検討するのが実務的だろう。もちろんブランドも客室仕様も未公表の段階で、どの帯に収まるかを断定することはできない。

出典:メトロエンジンリサーチ(2026年9月・推定成約ADR。エリア値は中央値、施設値は各施設の推定値)、ホテルバンク編集部より作成

推定成約ADRの比較:福岡県・博多区・所有者と運営会社の既存施設(2026年7月・9月)
対象客室数2026年7月2026年9月対博多区(9月)
福岡県(中央値・N=473〜477)—¥10,873¥11,5940.81倍
博多区(中央値・N=148〜151)—¥13,141¥14,2411.00倍
博多区ビジネスホテル(中央値・N=134)—¥13,048¥13,9340.98倍
八百治博多ホテル(所有者運営)207¥16,897¥19,3401.36倍
JR九州ホテルブラッサム福岡90¥19,265¥21,2551.49倍
JR九州ホテル ブラッサム博多中央247¥23,269¥24,6251.73倍
ザ ブラッサム博多プレミア238¥27,202¥29,0402.04倍

出典:メトロエンジンリサーチ(推定成約ADR・履歴基準、税抜相当)、ホテルバンク編集部より作成。客室数はマスター登録値

150室×想定ADR帯の年間客室売上レンジ(当社推計)

ここまでの単価データを使い、約150室が通年稼働した場合の客室売上を機械的に試算する。計算式は「150室×365日×想定ADR×稼働率」で、料飲・宴会・温浴などの付帯収入は含まない。想定ADRには、博多区の推定成約中央値(14,200円)、八百治博多ホテルの水準(19,300円)、運営会社の既存ホテル2軒の水準(24,600円・29,000円)の4帯を置き、稼働率は80・85・90%の3通りとした。いずれも2026年9月の推定値を通年に引き延ばした粗い前提で、季節変動・開業初年度の立ち上がり・2028年度時点の市況は織り込んでいない。

150室×想定ADR帯別の年間客室売上レンジ(当社推計・通年換算)
想定ADR(税抜相当)稼働80%稼働85%稼働90%
¥14,200
博多区の推定成約ADR水準(2026年9月中央値)
6.2億円6.6億円7.0億円
¥19,300
八百治博多ホテルの水準(2026年9月)
8.5億円9.0億円9.5億円
¥24,600
運営会社の既存ホテル水準A(2026年9月・247室)
10.8億円11.4億円12.1億円
¥29,000
運営会社の既存ホテル水準B(2026年9月・238室)
12.7億円13.5億円14.3億円

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング推計(150室×365日×ADR×稼働率、客室売上のみ)。計画の客室数・開業時期は予定値であり、本表は規模感を示す参考値

結果は年間6.2億円から14.3億円まで開く。稼働率を5ポイント動かしても売上は6%前後しか変わらないのに対し、ADR帯を博多区中央値から運営会社の上位施設の水準へ移すと売上は2倍になる。150室という規模が固定なら、事業性を左右する変数は稼働率より価格帯である。所有者側の既存施設が1.36倍、運営者側の既存施設が1.5〜2.0倍の帯で実績を持つ商圏だけに、どの帯を取りにいくかの設計が、延床面積や客室仕様の決定に先立って問われることになる。

稼働率の前提についても触れておく。博多区の2026年9月の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は91.8%(対象141施設・13,035室)、ビジネスホテルに限ると92.6%(対象75施設・11,589室)で、2026年8月も全カテゴリで93.0%(対象137施設・12,518室)と高水準が続いた。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり施設全体の実稼働率とは異なるが、上表で80〜90%を置いた前提が現状の商圏に照らして過大ではないことは確認できる。

投資家・運営者への示唆 — 2028年度までに見ておきたい3点

第一に、1km圏の供給は小幅な純増期にあり、150室はストックの0.7%にとどまる。供給ショックとして身構える規模ではなく、むしろ2023年以降の新規開業が小規模中心だった商圏に、100室超の中規模の新築が加わる点に注目したい。周辺の既存施設にとっては、客室仕様が新しい競合が博多口徒歩7分圏に現れることになり、改装投資のタイミングを計る材料になる。博多口徒歩7分という距離が単価にどう効くかについては、駅から何分までが「駅前価格」かが博多駅を含む主要8駅で立地プレミアムの距離減衰を測っている。

第二に、価格帯の設計である。博多区の推定成約ADRは2026年9月で14,200円、前年同月比+13.1%と伸びており、所有者・運営者の既存施設はそれぞれ区中央値の1.36倍、1.5〜2.0倍の帯で運営されている。新計画がこのどこに入るかは未公表だが、上表のとおり帯の選択で年間売上が2倍変わる以上、2028年度の開業時に区の単価がどこまで上がっているかが事業性の鍵になる。本稿のADRは推定値(REIT開示実績との照合で誤差中央値約7%)であり、個別施設の計画値としてそのまま使うには幅を持たせる必要がある。新規供給が商圏の単価にどう作用したかは、同じ福岡県内の事例として大牟田に328室のルートイン開業が市ADR+17.2%の内訳を分解している。

第三に、所有と運営の分離という構図そのものである。地場の所有者が土地建物を持ち、鉄道系の運営会社が運営を担うスキームは、九州の駅前立地で再現性のある組み合わせといえる。開業予定の2028年度まで2年以上あり、客室数も「約150室(予定)」の段階である。今後の続報で、ブランド、延床面積、客室タイプ、料飲機能が判明すれば、本稿の売上レンジはより狭い帯に絞り込める。それまでは、商圏ストック22,480室・区ADR1.4万円・所有者既存施設1.9万円という3つの座標を押さえておけば、位置づけを見失うことはないだろう。

よくある質問

博多駅前3丁目ホテル(仮称)はいつ開業しますか

JR九州ホテルズアンドリゾーツのニュースリリース(2025年6月27日)では「2028年度中(予定)」とされています。施設の詳細は検討中で、決定次第発表されるとのことです。確定した開業日は公表されていません。

八百治博多ホテルの建替えですか

リリースに建替えの記載はありません。計画地の住所は博多駅前3丁目、八百治博多ホテルは博多駅前4丁目で、公式地図の計画地もANAクラウンプラザホテル福岡に近接する別の街区に図示されています。本稿では別敷地での新築(商圏にとって約150室の純増)を主たる読み方としつつ、公式に明示されていないため建替えのケースも併記しています。

どのブランドで開業しますか

未公表です。運営会社は複数のブランドを持ちますが、本計画にどれが適用されるかはリリースに記載がなく、本稿でも推測していません。

博多区のホテル単価はいくらですか

メトロエンジンリサーチの推定成約ADR(税抜相当・中央値)は2026年9月で14,200円、前年同月比+13.1%です。OTA上の掲載価格(全プラン平均・税込)は同月23,000円で、売れ残った高価格帯プランを含むため推定成約より高く出ます。

集計方法と出典

■ データソース

計画の公表値はJR九州ホテルズアンドリゾーツ「福岡市におけるホテル出店計画について」(2025年6月27日)と、同内容のPR TIMES配信に基づく。客室ストックはメトロエンジンリサーチの施設マスター(開業日・閉館日)から博多駅半径1km圏を各年末時点で集計した(2026年10月9日時点)。推定成約ADR・掲載価格は博多区(全カテゴリ・ビジネスホテル)、福岡県、個別施設について2024年7月〜2026年12月の月次を取得し、2026年10月以降は掲載スナップショット基準として区別した。稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は博多区の2026年8月・9月の月間平均を用いた。

■ 試算前提

売上レンジは「150室×365日×想定ADR×稼働率」の客室売上のみで、付帯収入・消費税・開業初年度の立ち上がり・季節変動は含まない。想定ADRは2026年9月の推定成約値を100円単位に丸めて通年に適用した。客室数150室・開業2028年度は公表の予定値であり、計画変更で結果は変わる。

■ 限界・留意点

計画の公表値はすべて一次資料からの引用であり、当社推計と区別して記載した。計画地の地図上の位置はリリースの図から読み取った概略で、地番の正確な位置ではない。推定成約ADRは上場ホテルREITの開示実績との照合で誤差中央値約7%の推定値で、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。施設マスターの開業年は改称・リブランド年が登録されている場合があり、客室ストックはOTA未掲載の施設を含まない。稼働率は OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なる。

⚠ 将来日程の価格に関する注意:本記事で「掲載スナップショット基準」とした2026年10月以降の推定成約ADRおよび掲載価格は、調査時点(2026年10月上旬)でOTAに公開されている販売価格から推定した値であり、チェックイン日に近づくにつれて変動する。現時点で高く設定されている価格が直前の価格調整で下落する可能性がある点に留意されたい。

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参考資料・出典一覧

■ 一次資料・プレスリリース

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ — 博多駅半径1km圏の客室ストック(施設マスター開業日・閉館日ベース、2026年10月9日時点)、博多区・福岡県の推定成約ADRと掲載価格(2024年7月〜2026年12月、博多区N=142〜151施設)、個別施設の推定成約ADR、博多区の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定、2026年8〜9月)

■ 公的統計(参考)

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