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【2026年慰霊の日】沖縄南部3市の宿泊需給と修学旅行団体動向

投稿日 : 2026.05.09 更新日 : 2026.09.02

沖縄県

季節・イベント

2026年6月23日「慰霊の日」沖縄県外修学旅行団体の宿泊需給分析

2026年6月23日(火)、沖縄県は81回目の「慰霊の日」を迎える。前年2025年の戦後80年メモリアルから1年が経過し、沖縄全戦没者追悼式は引き続き糸満市摩文仁の平和祈念公園で執り行われる予定だ。本記事では、この沖縄県固有の条例制定休日が、県外からの修学旅行団体を主軸とする宿泊需要にどのように影響しているかを、メトロエンジンリサーチの公開価格データから検証する。糸満市・那覇市・南城市の3市を対象に、6月20-25日の日次ADRと売切率を、5月修学旅行ピーク期と並べて読み解いていく。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価):OTA等で公開されている販売価格の平均値。実際の成約価格とは異なります(成約ADRより平均+25〜30%高い傾向)。2名1室利用時の1室あたり料金(税込)・全プラン平均(素泊まり〜食事付きプランを含む)。
  • 売切率:調査時点でOTA上の予約受付を終了していたプランの割合。施設全体の客室稼働率とは異なります。
  • 分析対象:糸満市20軒(611室)、那覇市226軒(16,574室)、南城市21軒(211室)。メトロエンジンリサーチが追跡するうち、稼働が確認できる施設群。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ

慰霊の日が持つ需要構造上の特異性

慰霊の日は、1961年の旧琉球政府立法院による「住民の祝祭日に関する立法」を起源に、現在は沖縄県条例で定められた県固有の休日である。沖縄県庁、市町村役場、県立学校、県立病院など、県内公的機関のほぼすべてが業務を停止する。この日、糸満市摩文仁の平和祈念公園では沖縄全戦没者追悼式が開催され、夕刻から夜にかけて純白のサーチライトを「平和の光の柱」として上空に照射する関連行事が行われる。

需要構造の観点で重要なのは、慰霊の日が国民の祝日ではない点である。本土からの観光・出張需要は通常の平日と同じ動きとなる一方、県内利用は大きく落ち込む。さらに6月は本土の梅雨明け前にあたり、夏休み(7月下旬以降)を控えた閑散期に位置する。ところがこの月は、沖縄県への修学旅行入込が年間で2番目のピークを形成する月でもある。沖縄県観光政策課が令和7年12月に公表した「令和6年(暦年)修学旅行入込状況調査」では、修学旅行は5月〜6月および10月〜12月に集中し、6月単月でも本土主要都市から多数の中学・高校団体を受け入れている実態が示されている。

つまり慰霊の日週は、(1)本土発の修学旅行団体による早期予約消化、(2)県民利用の構造的減少、(3)平和学習という観光以外の文脈での団体宿泊需要、という3つの力学が同時に働く特異な期間だといえる。

3市の宿泊供給キャパシティ

追悼式が開催される糸満市と、県外団体の主な宿泊地となる那覇市、そして同じ南部エリアに位置する南城市の3市について、メトロエンジンリサーチが追跡している施設群の供給規模を整理する。

市 施設数 総客室数 平均客室数 主なグレード
那覇市22616,57473バジェット141・アッパー39・エコノミー28
糸満市2061131バジェット11・ハイグレード1(448室)
南城市2121110アッパー7・バジェット5・エコノミー5

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

那覇市が16,574室と圧倒的な供給量を持つ一方、糸満市は611室、南城市は211室と小規模である。県外修学旅行団体(1校あたり中学校で平均約133人、高校で平均約193人)を1施設で収容するには、那覇市内の中規模ビジネスホテル(80〜250室)が現実的な選択肢となる。同サイズ帯の那覇市内施設は63軒・9,337室存在し、これが県外団体の中核的な受け皿といえる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

南部3市の宿泊供給は、那覇市の中規模ビジネスホテル群が県外団体の受け入れ基盤を担い、糸満市・南城市はリゾート系・小規模旅館中心という補完関係にあることが分かる。摩文仁の追悼式に近接する糸満市内には団体収容に適した中規模施設が事実上1軒(サザンビーチホテル&リゾート沖縄、448室)しかなく、追悼式参列を伴う団体行程でも、宿泊拠点は那覇市となる構造的制約がある。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(円の大きさは客室数に比例)

日次ADR・売切率:6/20-25 と 5月修学旅行ピーク期の対比

2026年6月19日〜26日の日次ADRと売切率を、3市別に集計した。慰霊の日(6/23)の前後を含む1週間である。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

那覇市の日次ADRを見ると、6/19(金)の¥28,300から週末の6/20(土)に¥30,900まで上昇、その後6/22(月)〜6/24(水)の平日3日間は¥24,600〜¥25,500のレンジで推移する。慰霊の日当日にあたる6/23(火)は¥25,500と、前後の平日と比較して特段の突出はない。売切率も27.6%と週内で平均的な水準である。

一方、那覇市の5月10〜30日(修学旅行ピーク期)の平均ADRは¥23,500、売切率は31.7%。6月慰霊の日週の平均ADR(¥26,900、+14.3%)と比較すると、6月のほうが価格は高いが売切率はやや低い。これは6月が梅雨期にあたり個人旅行需要が落ち着く一方、団体需要が支えるという構造を反映している。沖縄全体の夏季予約タイミングや北海道・京都との比較については、【2026年夏】沖縄・北海道・京都 ホテル価格徹底比較で詳しく分析している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

糸満市は週を通じて¥53,000〜¥64,800の高単価帯で推移し、売切率も26〜31%と那覇市と同水準にある。供給の大半をサザンビーチホテル&リゾート沖縄(448室)が占めるため、リゾート単価が地域平均を押し上げる構造である。南城市は週内で¥41,000〜¥50,400と変動幅があり、売切率は8〜17%と那覇市・糸満市よりも低い。

前年同月比で見るADRの変化

慰霊の日週前後の3日間(6/22〜24)について、2025年と2026年のADRを比較した。

市 2025年6/22-24平均 2026年6/22-24平均 前年同月比 6/23単日 前年比
那覇市¥22,000¥25,100+14.1%+17.6%
糸満市¥49,400¥54,500+10.3%+10.3%
南城市¥34,100¥42,500+24.5%+31.7%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

前年戦後80年メモリアルの2025年と比較して、2026年6/22〜24はいずれの市でも公開価格ベースで2桁の上昇となっている。特筆すべきは南城市で、前年同月比+24.5%(6/23単日では+31.7%)と最も大きな伸びを示した。供給サイドが小規模であるため、団体需要が一定数入ると単価上昇が顕著に表れやすい構造を反映している。那覇市の+14.1%は、修学旅行団体予約による在庫吸収と、本土からの個人旅行需要の回復が重なった結果と考えられる。

沖縄修学旅行の本土発地動向

沖縄県観光政策課が公表した令和6年(暦年)の修学旅行入込実績は、2,049校・351,937人となり、コロナ禍前の令和元年(409,011人)に対して86.0%まで回復した。発地別では大阪府が校数・人数ともに最多、次いで東京都となっている。校種別構成は高校66.9%、中学校31.4%で、両者で全体の98.3%を占める。

出典:沖縄県観光政策課「令和6年(暦年)修学旅行入込状況調査結果」より作成

月別では5月・6月および10〜12月に明確な集中が見られ、6月は5月に次ぐ春の二次ピークを形成する。これは本土の高校・中学校が定期試験前の学習進度上、6月中旬〜下旬の修学旅行設定が選好されること、また那覇空港・本土主要空港間の航空運賃が夏季ピークに入る前のタイミングという要因が重なる。慰霊の日が含まれる6月第4週は、平和学習を行程に組み込みやすい時期として、本土の旅行会社が積極的に提案してきた経緯がある。なお秋の修学旅行ピーク期と重なる連休需要の動きについては、11年ぶりシルバーウィーク2026 — 9連休が秋のリゾート需要を再び動かすでリゾート市場の側面から掘り下げている。

需要の二項対立:早期予約消化と県民利用減

慰霊の日週の那覇市・糸満市の宿泊需要構造を整理すると、以下の2つの力学が並立している。

力学 主体 予約タイミング 対象施設 価格感応度
早期予約消化県外修学旅行団体6〜12ヶ月前那覇市内中規模ビジネス団体料率で固定、相場変動の影響を受けにくい
県民利用減県内ビジネス・短期滞在直前1〜2週間那覇市内バジェット・エコノミー公休日のため需要そのものが消失
本土個人旅行レジャー・出張1〜2ヶ月前全市・全グレード梅雨期で需要弱め、価格に敏感

団体料率で6〜12ヶ月前に確定する修学旅行と、当日の県民利用減という相反する2つの動きが同時に発生する。OTA上の公開価格データに表れる売切率(那覇市6/22〜24で27〜33%)は、団体予約による在庫吸収を直接的には可視化できない(団体は通常OTA経由ではなく旅行会社直販ルートのため)が、那覇市の中規模ビジネスホテル群の販売可能プラン数が他の平日と比較して縮小していれば、団体ブロックの存在を間接的に推測できる。

ホテル運営側の収益機会

慰霊の日週の那覇市は、団体ブロック確定後の残在庫をどう販売するかが収益最大化のポイントとなる。前年比+14〜18%という公開価格の上昇傾向は、本土からの個人需要が一定回復していることを示唆しており、ここに段階的なプライシングを組み合わせることで、さらなる収益拡大の機会が生まれる。本土主要都市のビジネス需要の回復度合いは、東京・名古屋・大阪・福岡の平日ADR徹底分析で平日ベースのADR推移として可視化している。

具体的なアップサイドの方向性として、3点が挙げられる。第一に、追悼式に併せた本土からの参列者・記者・関係者の宿泊需要を、平和学習団体の枠とは別の販売チャネルで捕捉する余地がある。第二に、慰霊の日翌日(6/24水)以降は団体出発と入れ替わりで在庫が空くため、直前の本土個人レジャー需要に対応した価格設計のポテンシャルがある。第三に、糸満市内の収容力に限界がある以上、追悼式参列者の那覇市内宿泊比率は構造的に高いため、那覇市南部(旭橋・県庁前エリア)の中規模ホテルは立地優位を活かしたプレミアム設定の伸びしろがある。

※ 将来日程のADRに関する注意:本記事のADRは調査時点(2026年5月初旬)でOTAに公開されている販売価格の平均であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。現時点で高く設定されている価格が直前値下げで下落する可能性、また逆に在庫消化に伴って上昇する可能性のいずれもある点にご留意ください。

まとめ:慰霊の日週の沖縄南部は「団体需要×個人需要」の二層市場

2026年6月23日の慰霊の日週における沖縄南部3市(那覇市・糸満市・南城市)の宿泊需給は、(1)前年同月比+10〜25%という公開価格の堅調な上昇、(2)那覇市内中規模ビジネスホテル63軒・9,337室を中核とする県外修学旅行団体の受け入れ、(3)梅雨期かつ県条例制定休日という二重の県民需要減、という3つの要素が重層化している。前年2025年の戦後80年メモリアルが残した平和学習需要の継続性は、本土発の修学旅行が令和6年で2,049校・35万人まで回復している実績からも追跡可能である。

ホテル運営の観点では、団体ブロックで確定した在庫の周辺で、本土からの個人需要・追悼式関係者需要をいかに段階的なプライシングで取り込むかが、慰霊の日週ならではの収益機会となる。供給規模に制約のある糸満市・南城市では小幅な団体需要が単価を大きく動かす一方、供給量の豊富な那覇市では細かなセグメント別の価格設計余地が広い。沖縄県固有の条例制定休日が形成する特異な需要構造は、年に一度しか観察できない貴重なRMケーススタディだといえる。

外部参考リンク

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