「ロイヤルパークホテルは何系列か」という問いへの答えは一つで、三菱地所グループである。運営会社は三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社(Mitsubishi Estate Hotels & Resorts Co., Ltd.、以下MJHR)で、公式サイトの会社概要は株主構成を「三菱地所(株)100%」、事業概要を「ロイヤルパークホテルズの経営・運営他」と記している。ただ、検索の現場で混乱が起きているのはそこではない。「ロイヤルパークホテル」「ザ ロイヤルパークホテル」「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック」「ザ ロイヤルパーク キャンバス」と、似た名前が5つの区分に分かれていること、そして「ロイヤルパークイン」「ロイヤルパークホテル高松」のように系列外の似た名称が存在することだ。本稿では公式サイトの掲載情報を出典にブランド階層と運営形態を1本で整理し、メトロエンジンリサーチの推定成約ADRで区分ごとの価格帯を補強する。
本記事における指標の定義
- ADR(平均客室単価):各施設がOTA等で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。本稿では施設単位の数値を順位付けせず、ブランド区分ごとの帯(最小値〜最大値・中央値)としてのみ示します。
- 掲載価格:OTA等で公開されている全プランの平均価格(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)。ADRとは別の指標です。
- 施設数・客室数:ロイヤルパークホテルズ公式サイト(2026年10月時点)および各施設の開業時報道資料の公表値。
- データ出典:メトロエンジンリサーチ(価格)、三菱地所ホテルズ&リゾーツ公式サイト・報道資料(施設情報)
- — 三菱地所グループ:ロイヤルパークホテルズは、三菱地所100%子会社の三菱地所ホテルズ&リゾーツ(MJHR、2024年1月に商号変更)が経営・運営するホテル群。
- — 26施設・6,449室:2026年1月時点の公表値「23ホテル・5,390室」に、その後開業した那覇・舞浜・WAYPOINT築地を積み上げた値(休業中の横浜603室を含む)。
- — 5区分:アイコニック5軒/ザ ロイヤルパークホテル7軒/キャンバス8軒/個別名称の旗艦・歴史系5軒/WAYPOINT 1軒。「旗艦・歴史系」は本稿が個別名称の5施設をまとめた区分。
- — 「ザ」の有無:冠詞なしの「ロイヤルパークホテル」は1989年開業の日本橋の旗艦(419室)の固有名詞、「ザ ロイヤルパークホテル」は2011年以降の宿泊主体型ブランド。
- — 推定成約ADRの中央値(2026年9月・対象20施設):アイコニック約¥38,400、旗艦・歴史系約¥31,300、キャンバス約¥25,500、ザ ロイヤルパークホテル約¥19,900。
直答 — ロイヤルパークホテルズは三菱地所100%子会社が運営するホテル群
まず会社の輪郭を公式サイトの会社概要で押さえる。三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社は2000年11月1日設立、本店は東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館13F、資本金1億円、株主は三菱地所株式会社100%である。公式沿革によると、1989年6月1日に日本橋の「ロイヤルパークホテル」が開業し、同年7月1日に三菱地所にホテル事業部が置かれた。1994年10月1日にホテルグループの呼称が「ロイヤルパークホテルズ」となり、2000年11月1日に運営会社「ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ」が設立、2001年4月1日に営業を開始している。この運営会社が2024年1月1日に現社名の三菱地所ホテルズ&リゾーツへ商号変更した、というのが現在に至る系譜である。
つまり「ロイヤルパークホテルズ」はブランド群の総称、「三菱地所ホテルズ&リゾーツ(MJHR)」はそれを経営・運営する会社、「三菱地所」はその100%親会社であり、3つの名称は階層が異なる。2026年1月の那覇開業時の報道資料では、MJHRは自社を「三菱地所グループにてロイヤルパークホテルズの計画・運営を担う」会社と説明し、ロイヤルパークホテルズの規模を「全国に23ホテル・5,390室」(2026年1月27日時点)と公表している。その後、同年1月30日に那覇(257室)、2月13日に舞浜(750室)、4月1日にWAYPOINT TSUKIJI TOKYO(52室)が開業したため、公表値を積み上げると休館中の横浜ロイヤルパークホテル(603室)を含めて26施設・6,449室になる。公式サイトのホテル一覧には、横浜を「一時休業中」として含めた25ホテルとWAYPOINT 1施設が掲載されている(2026年10月時点)。
ブランド階層 — 公式サイト掲載順の5区分と、それぞれの立地・客層
公式サイトのホテル一覧は、「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック」「ザ ロイヤルパークホテル」「ザ ロイヤルパーク キャンバス」の3ブランドを先に置き、その後に「フルサービスホテル」として仙台・日本橋・横浜の3施設、「地域に親しまれ続ける独立ブランドホテル」として丸ノ内ホテル・ホテルアトールエメラルド宮古島の2施設を置き、施設一覧の末尾に新ブランド「WAYPOINT」を掲載する構成になっている。本稿ではフルサービスホテルと独立ブランドホテルを「旗艦・歴史系」として1つにまとめ、全体を5区分として読むと、ブランドごとの役割が見えてくる。公式サイトのホテル一覧はTHEシリーズ全体のコンセプトとして「THE Regional Story」を掲げるが、ブランドごとのコンセプト文は掲載していないため、以下の性格づけは各施設の開業時報道資料と業界報道で確認できた表現に限って記す。
| 区分(公式掲載順) | 施設数 | 客室数合計 | 立地・客層の性格(公表資料で確認できた範囲) |
|---|---|---|---|
| ザ ロイヤルパークホテル アイコニック | 5 | 1,460室 | 「THEシリーズ」の上位に位置づく旗艦ブランド。汐留・栄(中日ビル)・烏丸御池・御堂筋・久茂地(琉球銀行本店ビル)と、各都市の中心業務地のランドマーク高層部に入る。クラブラウンジや専用フロアを備え、都市型の上質な滞在を求める国内外の個人客が中心。 |
| ザ ロイヤルパークホテル | 7 | 2,055室 | 「プレミアム宿泊主体型」の中核ブランド。羽田空港直結、銀座、舞浜のテーマパーク隣接、京都の三条・梅小路、広島の川沿い、博多と、交通結節点と観光拠点に展開。ビジネスとレジャーの両方を受ける。 |
| ザ ロイヤルパーク キャンバス | 8 | 1,412室 | 2018年4月から展開するライフスタイル型ブランド。業界報道では「ミレニアル世代をターゲットにしたライフスタイル型ホテル」と紹介された。札幌大通公園・銀座2軒・名駅・二条・北浜・三宮・中洲と、繁華街と観光動線の交点に立ち、ラウンジや地域文化を取り込んだ体験を特徴とする。 |
| 旗艦・歴史系(個別名称) | 5 | 1,470室 | ロイヤルパークホテル(東京・日本橋)、仙台ロイヤルパークホテル、横浜ロイヤルパークホテル(一時休業中)、丸ノ内ホテル、ホテルアトールエメラルド宮古島。宴会場やレストランを多く持つフルサービス型の旗艦と、グループに加わった歴史あるホテルの区分で、MICE・婚礼・地元需要の比重が高い。 |
| WAYPOINT | 1 | 52室 | 2026年2月に発表された長期滞在向けのアパートメントホテル。コンセプトは「The Urban Basecamp」。最大6名まで泊まれる多人数客室を中心に、一部客室にミニキッチン・洗濯乾燥機を備え、主に訪日のファミリー・グループの連泊を想定する。 |
出典:ロイヤルパークホテルズ公式サイト(2026年10月時点)、各施設の開業時報道資料よりホテルバンク編集部作成。客室数は公表値を当社が区分ごとに合算(横浜603室を含む)
出典:ロイヤルパークホテルズ公式サイト・各施設報道資料の公表値よりホテルバンク編集部作成(26施設・6,449室、休館中の横浜を含む)
客室数で見ると、「ザ ロイヤルパークホテル」が2,055室と最も厚い。これは750室の舞浜リゾート 東京ベイが2026年2月に加わった効果が大きく、同ブランドが空港・テーマパークという大量輸送の結節点を受ける性格を一段強めたと読める。一方、アイコニックは5施設で1,460室と1施設あたりの規模が大きく、いずれも都心のランドマーク複合ビルの高層部に入る。キャンバスは8施設で1,412室と1施設あたり約177室の中規模で、繁華街の中に立つライフスタイル型という位置づけと整合する。
「ロイヤルパークホテル」と「ザ ロイヤルパークホテル」の違い — 1989年の旗艦と2011年以降の宿泊主体型
検索で最も多い混乱がこの2つである。「ロイヤルパークホテル」(冠詞なし)は固有名詞で、1989年6月に東京・日本橋蛎殻町で開業した419室の旗艦ホテルを指す。公式サイトの概要には所在地「東京都中央区日本橋蛎殻町2-1-1」、客室数419室、鉄板焼・すし・中国料理などのレストラン&バーが並び、宴会・婚礼機能を持つフルサービス型である。仙台・横浜も同じ命名で「地名+ロイヤルパークホテル」の旗艦系に属する。
これに対して「ザ ロイヤルパークホテル」(冠詞あり)はブランド名であり、宿泊機能に特化した「プレミアム宿泊主体型」の系列を指す。公式沿革を追うと、2011年7月に「ロイヤルパークホテル ザ 福岡」、同年10月に「ロイヤルパークホテル ザ 京都」、2013年11月に「ロイヤルパークホテル ザ 名古屋」、2014年9月に「ロイヤルパークホテル ザ 羽田」が開業しており、当初は「ザ」を後置した名称だった。2018年に福岡・京都三条・羽田が現在の「ザ ロイヤルパークホテル ○○」へ、名古屋が「ザ ロイヤルパーク キャンバス 名古屋」へ改称され、名称体系が今の形に整った。業界報道は2019年時点で、同社のプレミアム宿泊主体型ホテルを「フルサービスの質を維持しつつ、宿泊機能に特化したホテル」と説明したうえで、「ザ ロイヤルパーク」と「ザ ロイヤルパーク キャンバス」の2ブランドに旗艦ブランド「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック」が加わり3ブランド体制になると伝えている。2003年開業の「ロイヤルパーク汐留タワー」が2020年に「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留」へ改称されたのも、この再編の一環である。
整理すると、名称の読み方は次の3段になる。「ロイヤルパークホテル」=日本橋の旗艦(固有名詞)、「ザ ロイヤルパークホテル ○○」=宿泊主体型ブランドの各施設、「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック ○○」=その上位に置かれた旗艦ブランドの各施設。「ザ ロイヤルパーク キャンバス ○○」は「ホテル」の語を含まない点で見分けられる。
出典:ロイヤルパークホテルズ公式サイト「沿革」よりホテルバンク編集部作成。現在のブランド区分で集計(閉館した京都四条は除く。丸ノ内ホテル・宮古島は沿革に開業年の記載がないため除く)
開業年の分布を現在のブランド区分で見ると、2018年から2024年にかけてキャンバスとアイコニックの新規開業が集中し、年間1〜4施設のペースで全国の主要都市に出店したことが分かる。2021年には神戸三宮・京都梅小路・京都二条・札幌大通公園の4施設が1年で開業しており、ブランド再編後の出店加速がこの年にピークを打った。2026年は那覇・舞浜・築地と、沖縄本島初出店、グループ最大規模のリゾート型、新ブランドの第1号が重なる年になっている。
施設一覧 — 公式掲載の26施設と開業年・客室数
| 区分 | 施設名 | 所在地 | 開業(沿革) | 客室数 |
|---|---|---|---|---|
| アイコニック | ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留 | 東京都港区 | 2003年7月(2020年改称) | 480 |
| アイコニック | ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋 | 愛知県名古屋市中区 | 2024年2月 | 246 |
| アイコニック | ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都 | 京都府京都市中京区 | 2022年4月 | 125 |
| アイコニック | ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 大阪御堂筋 | 大阪府大阪市中央区 | 2020年3月 | 352 |
| アイコニック | ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇 | 沖縄県那覇市 | 2026年1月 | 257 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 東京羽田 | 東京都大田区 | 2014年9月(2018年改称) | 313 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目 | 東京都中央区 | 2024年5月 | 273 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 舞浜リゾート 東京ベイ | 千葉県浦安市 | 2026年2月 | 750 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 京都三条 | 京都府京都市中京区 | 2011年10月(2018年改称) | 172 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 京都梅小路 | 京都府京都市下京区 | 2021年3月 | 246 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 広島リバーサイド | 広島県広島市中区 | 2018年10月 | 127 |
| ザ ロイヤルパークホテル | ザ ロイヤルパークホテル 福岡 | 福岡県福岡市博多区 | 2011年7月(2018年改称) | 174 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園 | 北海道札幌市中央区 | 2021年10月 | 134 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8 | 東京都中央区 | 2019年3月 | 121 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー | 東京都中央区 | 2022年11月 | 161 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 名古屋 | 愛知県名古屋市中村区 | 2013年11月(2018年改称) | 153 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 京都二条 | 京都府京都市中京区 | 2021年6月 | 180 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 大阪北浜 | 大阪府大阪市中央区 | 2019年6月 | 238 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 神戸三宮 | 兵庫県神戸市中央区 | 2021年1月 | 170 |
| キャンバス | ザ ロイヤルパーク キャンバス 福岡中洲 | 福岡県福岡市博多区 | 2023年8月 | 255 |
| 旗艦・歴史系 | ロイヤルパークホテル(東京・日本橋) | 東京都中央区 | 1989年6月 | 419 |
| 旗艦・歴史系 | 仙台ロイヤルパークホテル | 宮城県仙台市泉区 | 1995年4月 | 110 |
| 旗艦・歴史系 | 横浜ロイヤルパークホテル(一時休業中) | 神奈川県横浜市西区 | 1993年9月(2025年3月31日休業) | 603 |
| 旗艦・歴史系 | 丸ノ内ホテル | 東京都千代田区 | — | 201 |
| 旗艦・歴史系 | ホテルアトールエメラルド宮古島 | 沖縄県宮古島市 | 2024年2月 運営承継 | 137 |
| WAYPOINT | WAYPOINT TSUKIJI TOKYO | 東京都中央区 | 2026年4月 | 52 |
出典:ロイヤルパークホテルズ公式サイト(ホテル一覧・沿革)、各施設の開業時報道資料、三菱地所・MJHR報道発表(2025年3月31日)よりホテルバンク編集部作成。開業欄の「—」は公式沿革に記載がない施設。客室数は公表値をもとに整理し、合計6,449室は2026年1月時点の公表値23ホテル・5,390室にその後開業の3施設を加えた値と一致する
名称が似ていて系列が異なる施設 — 「ロイヤルパークイン」「ロイヤルパークホテル高松」
検索語族には「ロイヤルパークイン」が含まれる。現在のロイヤルパークホテルズ公式サイトのブランド一覧に「ロイヤルパークイン」の名を持つ営業中の施設はない。名古屋でグループが現在運営しているのは、名駅の「ザ ロイヤルパーク キャンバス 名古屋」(2013年開業・2018年改称)と栄の「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋」(2024年開業)の2軒である。「ロイヤルパークイン名古屋」の名で検索している読者が探しているのはこのいずれかである可能性が高い。
「ロイヤルパークホテル高松」(香川県高松市、1989年開業)は、ロイヤルパークホテルズ公式サイトのブランド一覧に含まれない。同ホテルは高松市に本社を置く穴吹エンタープライズ株式会社がホテル旅館事業の一つとして運営しており、三菱地所グループとは別の運営である。名称に「ロイヤルパークホテル」を含むが、本稿で整理したブランド階層のいずれにも属さない。
系列内でも注意が要るのが横浜ロイヤルパークホテルである。三菱地所とMJHRの2025年3月31日付報道発表によると、横浜ランドマークタワー52〜67階の603室は同日をもって休業し、大規模リニューアル工事に着工した。再開業後はマリオット・インターナショナルとフランチャイズ契約を結び、同社のラグジュアリーブランドカテゴリー「ラグジュアリーコレクション」として2028年度の再開業を予定、「横浜ロイヤルパークホテル」の商号は再開業後も継承される。つまり横浜は系列から外れたのではなく、ブランド提携を伴う全面改装の期間に入っている。既存ホテルが建物・所有者・運営者を変えずに外資ブランドへ転換した先行例は、札幌東武ホテルは今「フェアフィールド・バイ・マリオット札幌」— リブランド6年の実績が参考になる。また、2018年4月に開業した「ザ ロイヤルパークホテル 京都四条」は公式沿革に2024年9月閉館と記載されており、現在のブランド一覧には含まれない。
ブランド区分別の価格帯 — 推定成約ADR(2026年9月・確定月)の帯で見る
ブランド階層が価格帯としてどう表れているかを、メトロエンジンリサーチの推定成約ADRで補強する。対象は公式一覧の施設のうち、当社が価格を継続観測し、推定成約ADRの算出対象業態(シティ・ビジネス・リゾート)に該当する20施設で、直近の確定月である2026年9月の値を用いた。休業中の横浜ロイヤルパークホテル、閉館した京都四条は除外し、デラックス業態に分類される大阪御堂筋・京都(アイコニック)・大阪北浜・銀座コリドーの4施設と、多人数客室で料金体系が異なるWAYPOINTは推定成約ADRの算出対象外のため帯には含めていない。施設単位の数値は順位付けせず、区分ごとの最小値・最大値・中央値のみを示す。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年9月・推定成約ADR・税抜相当。アイコニックN=3、ザ ロイヤルパークホテルN=7、キャンバスN=6、旗艦・歴史系N=4施設)
区分ごとの中央値は、アイコニックが約¥38,400、旗艦・歴史系が約¥31,300、キャンバスが約¥25,500、ザ ロイヤルパークホテルが約¥19,900となった。アイコニックの帯は約¥21,100〜¥51,900と幅が広く、これは都心のランドマーク立地と那覇のように開業初年度で立ち上がり途上の施設が同じ区分に含まれるためで、下限の施設も前月まで¥26,200の水準にあった。ザ ロイヤルパークホテルは7施設が約¥12,500〜¥33,400に収まり、銀座を上限、広島を下限として、空港・テーマパーク・観光都市の施設が¥17,600〜¥22,700の中心帯に並ぶ。宿泊主体型として価格の均質性が高い区分である。
キャンバスは約¥15,200〜¥33,200で、同じライフスタイル型でも銀座と福岡中洲が上位、京都二条と神戸三宮が下位と、都市の需給差がそのまま帯の幅になっている。旗艦・歴史系は丸ノ内ホテルの約¥61,400からホテルアトールエメラルド宮古島の約¥13,500までと最も幅が広いが、これは丸の内の歴史あるホテルと宮古島のリゾートを「個別名称の施設」として一つの区分にまとめているためで、価格帯としての同質性を意図した区分ではない。推定成約ADRの対象外とした4施設の掲載価格(全プラン平均・税込)は約¥25,100〜¥58,700の範囲にあるが、この4施設ではキャンバスの1施設がアイコニック2施設と同水準以上にあり、ブランドによる上下は明確でない。
読み取れるのは、ブランド名が価格帯のシグナルとして機能しているということだ。アイコニックが上位、ザ ロイヤルパークホテルとキャンバスが中位にあり、同じ中位でもキャンバスは繁華街立地で上に伸びやすく、ザ ロイヤルパークホテルは交通結節点立地で帯が締まる。読者がブランド名から価格帯を推測するうえで、この階層は概ね当てになる。
投資家・運営者向けの示唆 — 所有と運営の分離は公表資料でどこまで確認できるか
ロイヤルパークホテルズは三菱地所の開発物件に自社運営を乗せる形だけで成り立っているわけではない。公表資料で確認できる所有・運営の組み合わせをいくつか挙げる。第一に旗艦の日本橋である。2022年2月15日に三菱地所が発表した組織再編では、株式会社ロイヤルパークホテルを不動産保有機能と運営機能に分け、運営はロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ(現MJHR)が引き継ぎ、不動産は三菱地所が承継し、運営会社が三菱地所に賃料を支払う形へ移行した(効力発生日2022年4月1日)。これに先立つ2021年5月には、三菱地所が出資比率54.4%だった同社を株式交換で完全子会社化すると発表しており(株式交換の実施予定日は2021年8月1日)、意思決定の迅速化とチェーン運営力の強化が目的として示されている。
第二に、他社物件の運営受託である。2016年12月のケネディクスの開示によると、銀座8丁目のホテルはケネディクスが開発・保有し、三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツと運営委託方式で組む計画で、2018年9月の発表では子会社スペースデザインが経営を担い、「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8」として2019年3月20日に開業した。那覇では報道資料に「建築主:株式会社琉球銀行」「ホテル運営:三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社」と記され、琉球銀行本店ビルの7〜13階にホテルが入る。
第三に、グループ内の開発事業主との組み合わせである。舞浜リゾート 東京ベイは三菱地所が出資する特定目的会社と清水建設が事業主として開発し、MJHRが運営する。WAYPOINTは2026年2月の発表で、三菱地所が物件のソーシングと計画を担い、MJHRが運営する役割分担が明示され、2030年までに10軒の開業を目標としている。このアパートメントホテル業態を投資対象として見たときの事業性(坪当たりNOI構造)は、三菱地所WAYPOINT×ヒルトンApartment Collection — アパートメントホテル投資の坪当たりNOI構造を分析で掘り下げている。横浜も三菱地所とMJHRの共同発表で、改修計画全体の問い合わせ先は三菱地所横浜支店、ホテルについてはMJHRと分けられている。
これらを並べると、ブランド階層は所有者の多様化と対になっていることが分かる。旗艦と大型案件はグループが土地・建物を持ち、運営会社が賃借または運営する形で、キャンバスのような中規模のライフスタイル型は他社開発ビルへの運営受託でも展開できる設計になっている。運営受託の相手が金融機関や不動産会社の本店ビル・開発案件である点は、ブランドが物件オーナーに対して「上層部にホテルを入れる」選択肢を提供していることを意味する。ホテルの契約形態と収益構造の一般論はホテルのリーシングとは|賃貸借・運営委託・FCの違いと収益構造で整理している。なお、各施設の所有者を網羅的に公表した一覧は確認できなかったため、本稿で挙げた以外の施設の所有形態には触れない。
よくある質問
Q. ロイヤルパークホテルは何系列のホテルですか?
A. 三菱地所グループです。三菱地所が100%出資する三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社(2000年設立、2024年1月に旧ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツから商号変更)が「ロイヤルパークホテルズ」の経営・運営を担っています。
Q. 「ロイヤルパークホテル」と「ザ ロイヤルパークホテル」の違いは何ですか?
A. 「ロイヤルパークホテル」は1989年開業の東京・日本橋の旗艦ホテル(419室、フルサービス型)の固有名詞です。「ザ ロイヤルパークホテル ○○」は2011年以降に展開された宿泊主体型ブランドの各施設で、羽田・銀座6丁目・舞浜・京都三条・京都梅小路・広島リバーサイド・福岡の7軒があります。
Q. ザ ロイヤルパークホテル アイコニックはどこにありますか?
A. 東京汐留・名古屋・京都・大阪御堂筋・那覇の5軒です(2026年10月時点の公式サイト掲載)。ロイヤルパークホテルズの「THEシリーズ」の上位に置かれた旗艦ブランドで、各都市の中心部のランドマークビル高層部に入っています。
Q. ロイヤルパークインやロイヤルパークホテル高松も同じ系列ですか?
A. いずれも現在のロイヤルパークホテルズ公式サイトのブランド一覧には含まれていません。ロイヤルパークホテル高松は穴吹エンタープライズ株式会社が運営する別運営のホテルです。
まとめ
ロイヤルパークホテルズは三菱地所100%子会社の三菱地所ホテルズ&リゾーツが経営・運営するホテル群で、公式サイトは「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック」5軒、「ザ ロイヤルパークホテル」7軒、「ザ ロイヤルパーク キャンバス」8軒、個別名称の旗艦・歴史系5軒(休業中の横浜を含む)、新ブランド「WAYPOINT」1軒を掲載している。「ロイヤルパークホテル」は日本橋の旗艦の固有名詞、「ザ」付きは2011年以降の宿泊主体型ブランドという読み分けができれば、名称の混乱はほぼ解消する。推定成約ADRの帯はアイコニックが上位、ザ ロイヤルパークホテルとキャンバスが中位にあり、ブランド名が価格帯のシグナルとして機能している。所有と運営は旗艦の賃借運営、他社ビルへの運営受託、グループが出資する特定目的会社との組み合わせと複線で、ブランド階層はその多様な所有者に対応する設計になっている。2028年度の横浜再開業とWAYPOINTの10軒計画が、次にこの階層をどう動かすかが注目点になるだろう。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
施設数・客室数・開業年月は、ロイヤルパークホテルズ公式サイト(会社概要・沿革・ホテル一覧、2026年10月閲覧)と各施設の開業時報道資料の公表値。価格はメトロエンジンリサーチの推定成約ADR(2026年9月・確定月、対象20施設)と掲載価格(同月、推定成約ADRの対象外とした4施設)。所有・運営の関係は三菱地所・MJHRの報道発表と業界報道で確認できた範囲に限る。
■ 試算前提
推定成約ADRは、最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり・税込)に業態別の補正係数を適用した推定値(税抜相当)。ブランド区分ごとに最小値・最大値・中央値を示し、施設単位の順位付けは行わない(アイコニックN=3、ザ ロイヤルパークホテルN=7、キャンバスN=6、旗艦・歴史系N=4)。休業中の横浜、デラックス業態の4施設、WAYPOINTは帯に含めない。26施設・6,449室は、2026年1月27日時点の公表値23ホテル・5,390室に那覇257室・舞浜750室・WAYPOINT TSUKIJI TOKYO 52室を加えた積み上げ。「旗艦・歴史系」は個別名称の5施設を本稿がまとめた区分。
■ 限界・留意点
推定成約ADRは推定値で、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。区分あたりの対象は3〜7施設と少なく、2026年9月の単月値のため、季節や対象施設の入れ替わりで帯は動く。開業初年度の施設は立ち上がり途上の水準を含む。所有形態は公表資料で確認できた施設のみを扱い、全施設の所有者を網羅したものではない。施設数・客室数は2026年10月時点の公表値で、開業・改称・休業により変わる。
- 三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社「会社概要」(ロイヤルパークホテルズ公式サイト、2026年10月閲覧)
- 三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社「沿革」(ロイヤルパークホテルズ公式サイト、2026年10月閲覧)
- ロイヤルパークホテルズ「ホテル一覧」(公式サイト、2026年10月閲覧)
- ロイヤルパークホテル「ホテル概要」(公式サイト)
- 三菱地所ホテルズ&リゾーツ「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇 2026年1月30日開業」報道資料(2026年1月)
- 三菱地所・三菱地所ホテルズ&リゾーツ「横浜ロイヤルパークホテル 大規模リニューアル工事着工」報道発表(2025年3月31日)
- トラベル Watch「ロイヤルパークホテルズが運営を一元化。ロイヤルパークホテルの不動産は三菱地所が保有へ」(2022年2月15日)
- トラベルボイス「三菱地所、ロイヤルパークホテルを完全子会社化」(2021年5月27日)
- ケネディクス株式会社「新規ホテル事業(銀座8丁目)に関するお知らせ」(2016年12月1日、東京証券取引所適時開示)
- スペースデザイン「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座8 開業日決定」企業リリース(2018年9月)
- トラベルボイス「ロイヤルパークホテルズ、神戸三宮にライフスタイル型ホテル」(2019年9月18日)
- トラベルボイス「ロイヤルパークホテルズ、旗艦ブランド『アイコニック』を新設」(2019年6月6日)
- トラベルボイス「三菱地所『舞浜ホテル計画』、2026年1月に全750室で開業」(2024年5月17日)
- トラベルボイス「三菱地所、長期滞在向け新ブランド『WAYPOINT』、2030年までに10軒」(2026年2月2日)
- 三菱地所ホテルズ&リゾーツ「ホテルアトールエメラルド宮古島の運営承継」報道資料(2024年2月)
- 三菱地所ホテルズ&リゾーツ「ザ ロイヤルパーク キャンバス 福岡中洲」報道資料(2023年)
- 丸ノ内ホテル 公式サイト(客室数201室)
- 穴吹エンタープライズ株式会社 公式サイト(ロイヤルパークホテル高松の運営会社)
- メトロエンジンリサーチ — 推定成約ADR・掲載価格(2026年9月、対象20施設)
