
沖縄県石垣市の名蔵湾に、全5棟のプライベートヴィラ「エーマ石垣島ムリカブシ」が2026年9月1日に開業する。手がけるのは、石垣島市街地で「エーマ石垣島タビシカ」を運営するマーズ株式会社だ。
第2シリーズとなる今回は、「海と暮らすように滞在する」をコンセプトに、名蔵湾の海や夕日、星空など、その土地がもともと持つ自然を滞在価値として打ち出す。
観光地を巡るだけではなく、一つの場所に身を置き、地域の風景や時間そのものを味わう旅への関心も高まるなか、同社はなぜこの地を選び、どのような宿泊体験をつくろうとしているのか。施設開発の背景や石垣島の宿泊市場への見方、自然との共生、今後の事業展開について、マーズ株式会社代表取締役の三浦昌樹氏に聞いた。
公式サイト:www.murikabushi.com

――石垣島市街地で展開する第1シリーズとは異なり、今回は名蔵湾で「海と暮らすように滞在する」ヴィラを開業します。第2シリーズを展開することになった背景と、これまでの運営経験を今回の施設づくりにどのように生かしたのか教えてください。
三浦昌樹氏:私たちは、「その土地に根付いた歴史を大切にすること」をモットーにしています。私自身、前職時代から約15年にわたり、京都や金沢、飛騨高山などで、古民家を宿泊施設へと改修する仕事に携わってきました。
そうした経験を重ねるなかで石垣島とのご縁があり、第1シリーズとなる「タビシカ」を計画しました。「タビシカ」では、繁華街に近い立地を生かしながら、琉球民家をベースに、「街の景観を損なうことなく、暮らすように滞在できるヴィラ」を目指しています。
一方、今回の「ムリカブシ」が位置する名蔵湾は、海の満ち引きや夕日、星空などを身近に感じられる、まさに唯一無二のロケーションです。私たち自身がこの土地に惚れ込み、事業を計画しました。

もともとは防風林が立ち並ぶ自然豊かな場所でしたが、造成によって少し無機質な風景になっていました。そこで、植栽などを通じて少しでも緑を取り戻し、石垣島の自然に溶け込む場所へと再生したいという思いも、今回の施設づくりに込めています。
「タビシカ」が港や繁華街への近さを生かし、外へ出てアクティブに石垣島を楽しんでいただく宿だとすれば、「ムリカブシ」は、あえてどこにも出かけず、ヴィラの中で石垣島の海や空、山をただゆっくりと堪能していただくことを主目的とした宿です。

――石垣島の宿泊市場や旅行者のニーズをどのように捉えていますか。そのなかで、名蔵湾に全5棟のスモールラグジュアリーヴィラを展開することに、どのような可能性を感じたのでしょうか。
石垣島の宿泊市場は、今後も拡大していくと考えています。
旅慣れたお客様ほど、いわゆる主要観光地を訪れた後に、少しマニアックな場所や、その土地ならではの魅力を味わえる地域を選ぶ傾向があります。例えば、京都を訪れた次に滋賀へ足を延ばしたり、名古屋の次に飛騨高山や金沢を訪れたり、といった動きです。
そう考えると、石垣島や宮古島も、沖縄本島を経験された方が次の旅先として選ぶ可能性が非常に高いと見ています。また、航空路線をはじめとする交通インフラが拡充していることも、大きな追い風です。
現在、石垣島を訪れる旅行者の7〜8割は日本人ですので、今後はインバウンドについても、まだ十分な伸びしろがあると考えています。
そのなかで名蔵湾は、何より豊かな自然が魅力です。

一方で、繁華街や空港までは車で20分程度。自然の中に身を置きながらも、移動が大きな負担にならない絶妙な距離感にあります。そのバランスの良さにも大きな可能性を感じました。
――名蔵湾は、豊かな生態系を持つ自然環境でもあります。こうした場所で宿泊施設を運営するうえで、自然環境との共生をどのように考え、今後の運営に反映していきたいとお考えでしょうか。
先ほどのお話とも重なりますが、私たちが大切にしているのは、奇をてらったことをするのではなく、施設そのものが名蔵湾の風景の一部として自然に溶け込むことです。
例えば、照明が空に向かないように配慮したり、敷地内に積極的に植栽を取り入れたり、自然由来の洗剤やアメニティを使用したりしています。

また、敷地内の空いているスペースには芝やガジュマルなどを植え、少しずつ緑豊かな空間にしていく予定です。施設をつくって終わりではなく、運営を続けながら、この土地本来の自然に近づけていきたいと考えています。
――ムリカブシでは、豪華な設備そのものではなく、静寂や開放感、自然との一体感を「スモールラグジュアリー」と位置づけています。こうした価値を、実際の宿泊体験のなかでどのように体現していきたいとお考えでしょうか。
私たちは「スモールラグジュアリー」を、「他では経験できない体験ができること」と捉えています。
ムリカブシの場合、その中心にあるのは、やはり名蔵湾の素晴らしい景観です。その景色を余計なもので邪魔するのではなく、海や空、夕日、星といった、この場所がもともと持っている魅力を最大限に感じていただける空間づくりを大切にしました。

設備の豪華さだけで価値をつくるのではなく、静けさや時間の流れ、景色の移ろいそのものを、より情緒的に味わっていただける。そんな滞在体験を提供したいと考えています。

※「スモールラグジュアリー」の考え方について、詳しくはPR TIMESのプレスリリースを参照。
――今後は、同様のコンセプトと事業スキームによるスモールラグジュアリーヴィラを全国で展開する方針とのことですが、今回のムリカブシの開業を今後の展開にどのようにつなげ、将来的にどのような宿泊事業を目指していきたいとお考えでしょうか。
基本となる考え方は、これまでと変わりません。その土地が持つ歴史を大切にしながら、もともと備わっている魅力を最大限に引き出すものづくりを続けていきたいと考えています。
現在も、海沿いにある廃校となった小学校の活用や、アクセスは決して便利ではないものの、100年以上の歴史を持つ立派な建物の再生など、さまざまなご相談をいただいています。
私たちとしては、残せるものは知恵やアイデアを出しながら、できる限り残していきたい。その土地にしかない建物や景色、歴史を生かしながら、他では味わえない居心地の良い体験をつくっていく。それを私たちなりの「スモールラグジュアリー」として、今後も全国で表現していきたいと考えています。

■エーマ石垣島ムリカブシ 概要
所在地:〒907-0021 沖縄県石垣市字名蔵1356-133
グランドオープン:2026年9月1日
公式サイト:www.murikabushi.com
Instagram:@ema_ishigakijima_murikabushi
