
星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」は2026年7月、広島県への初進出となる温泉旅館「界 宮島」を宮島口温泉に開業した。
世界遺産・嚴島神社を擁する宮島の対岸に位置し、穏やかな瀬戸内海と島々を望む立地を生かしながら、周辺に受け継がれてきた歴史や文化を滞在の中で伝える宿を目指す。観光地として広く知られる宮島だが、その背景には古くから続く温泉文化や工芸、人々の営みなど、まだ知られていない地域の魅力も多い。
なぜこの地を「界」の新たな拠点に選んだのか。地域文化をどのように現代の宿泊体験へとつなげ、今後どのような存在を目指すのか。界 宮島の総支配人に聞いた。
公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaimiyajima/
――広島県への初進出にあたり、宮島口温泉に「界 宮島」を開業された背景や、この立地・周辺環境に感じられた魅力について教えてください。
「界」は、「王道なのに、あたらしい。」をテーマに全国で展開する温泉旅館ブランドです。大きな特徴のひとつが、その土地でしか味わえないご当地のおもてなしや、地域に根付く温泉文化を深く体験していただくことです。
宮島口・瀬戸内エリアは世界的な知名度を誇る一方で、実はまだ広く知られていない奥深い歴史や、非常にユニークな地域文化が数多く残されています。そうした魅力を掘り下げ、滞在を通して伝えていくという意味で、まさに「界」にふさわしい立地だと考え、今回進出することとなりました。

――宮島観光の拠点という役割に加え、「界 宮島」での滞在そのものには、どのような価値を持たせたいとお考えでしょうか。
「界 宮島」のコンセプトは、「見晴らしの湯で、いつくしみの凪逗留」です。宿泊を通して、瀬戸内の歴史や文化を「いとおしみ、大切にする」時間を過ごしていただきたいという思いを、「いつくしむ」という言葉に込めています。
宿の象徴となる最上階の大浴場では、海と湯船が溶け合うような「見晴らしの湯」を堪能していただけます。穏やかな海に身を委ねながら瀬戸内の多島美を眺めることで、心に安らぎをもたらす「凪」のひとときを感じていただけると考えています。
また、館内には伝統工芸を取り入れた「ご当地部屋」や、この地域に伝わる古式サウナを再現した「石風呂」も設けています。そうした体験を通じて、この地で育まれてきた人々の営みに触れ、その価値をあらためて発見していただける滞在を提供したいと考えています。

――瀬戸内の「石風呂」を現代の温浴体験として再現するにあたり、歴史的な文化を尊重しながら、安全性や快適性を両立するうえで、特に苦労された点を教えてください。
昔の石風呂は高温で、煙がこもることもあったとされています。一方で、現代の温浴体験として提供する以上、快適性も欠かせません。そこで、「息苦しくなく、やさしく身体を温められる熱体験」を目指しました。
文献や現存する遺構を調査し、石の壁や床から伝わる赤外線などによる「輻射熱」を生かしながら、身体への負担が少ない約50度、湿度も約50%を維持できる構造を設計しています。

また、一般的なサウナのように自由に出入りするスタイルではなく、長時間の利用によるのぼせなどを防ぐため、「界」の湯守りスタッフがご案内します。歴史的な文化を大切にしながら、現代のお客様にも安心して楽しんでいただける形を追求しています。

――石風呂や白拍子の舞、客室の工芸、料理など、数ある地域資源から題材を選び、一つの宿泊体験としてまとめる際に重視されたことは何でしょうか。
重視したのは、「宮島という地域をいつくしむ滞在」にすることです。「界 宮島」は、宮島を対岸から美しく望むことができる場所にあります。その立地を生かしながら、長い年月をかけて培われてきた歴史や文化に敬意を払う宿でありたいと考えました。
島内にいると、宮島全体の美しい姿や、穏やかな瀬戸内海に浮かぶ島々の風景を客観的に眺めることはなかなかできません。だからこそ、対岸にある「界 宮島」の最上階の温泉から、その美しさを静かに見つめていただきたいと考えています。
そして、石風呂や工芸など、宮島を育んできた瀬戸内の人々の営みに触れ、その価値を再発見していただく。そうすることで、宮島だけでなく、それを取り巻く瀬戸内という地域全体を広く「いつくしむ」、つまり、いとおしく大切に感じていただける滞在となることを願っています。

――今後、「界 宮島」を地域においてどのような存在にしていきたいとお考えですか。今後の展望をお聞かせください。
このエリアには、時間の移ろいとともに表情を変える瀬戸内の多島美や、豊かな海産物を使った食はもちろん、夜の厳島神社や、朝焼けに染まる瀬戸内海など、日帰りではなかなか体験できない感動が数多くあります。宿泊してじっくりと味わうからこそ、その価値に気づける魅力が豊富にある地域だと考えています。
「界 宮島」では、そうした瀬戸内の風景や文化を今の時代だけでなく、100年先にも守り、伝えていく温泉旅館でありたいと考えています。そして、宮島エリアにおける宿泊型観光のモデルとなるような存在を目指していきたいと思います。

■施設概要
施設名:界 宮島
所在地:〒739-0412 広島県廿日市市宮島口西1-1-6
電話:050-3134-8092(界予約センター)
客室数:54室(露天風呂付き客室 30室)
客室内訳:露天風呂付き和室(定員3~4名)26室、テラス付き和室(定員6名)4室、和室(定員3名)18室、愛犬ルーム(定員3名)2室、特別室(定員2名)4室
料金:32,000円~(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込み、夕朝食付き)
付帯施設:フロント、大浴場、石風呂、食事処、ショップ等(宿泊者専用)
アクセス:JR宮島口駅、広電宮島口駅より車で5分、広島空港から車で60分
公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaimiyajima/
開業日:2026年7月23日
