緊急事態宣言が発出されて1週間を経過。市場からは多業種で多くの企業が継続を断念、退出が加速化し始めた。4月15日現在の新型コロナ関連倒産の多業種まとめ。
昨秋の台風被害や消費増税、記録的暖冬に新型コロナとどめ
倒産規模も徐々に大きくなっている。経緯の特徴としては、多くの企業が昨年秋の台風被害や消費税増税、記録的な暖冬の影響など新型コロナ感染拡大以前からの経営悪化の末に、新型コロナにとどめを刺される形となっている。
感染の拡大により、緊急事態宣言が長期化すればさらに倒産は増大、大企業の倒産も予測されている。
ホテルバンクが報じた全48件の新型コロナ関連倒産まとめは以下の通り。
・ホテル(16件、754室)
稲荷山温泉(株)(資本金9840万円、長野県千曲市稲荷山571-1)は、4月11日をもって事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。「稲荷山温泉ホテル杏泉閣」(長野県千曲市稲荷山571-1、客室数44室)を運営していた。
まるい商事(有)(北海道苫小牧市表町1-3-9、設立1983年10月、資本金8,500万円)は4月9日、再度の資金ショートを起こした。新型コロナウイルス関連で、民泊事業でキャンセルが相次いだ。
観光ホテル「萩グランドホテル天空」(183室)を運営する長州観光開発(株)(資本金9000万円、萩市古萩町25、従業員69名)は、4月6日に山口地裁へ自己破産を申請した。萩市内最大のホテルで、山口県内初の「新型コロナウイルス」関連倒産。負債額も18億円に上がる。
岡山県や鳥取県で複数の施設を経営している(有)トラベルシリウス(岡山県真庭市湯原温泉387-1、従業員40名)は、4月1日に岡山地裁へ民事再生法の適用を申請した。岡山県初の「新型コロナウイルス」関連倒産となった。
(株)星たる観光(三重県志摩市阿児町鵜方3618-37、設立2014年7月、資本金100万円、9室)は3月26日までに事業を停止し、津地裁伊勢支部への破産申請を弁護士に一任した。
戦前からある老舗温泉旅館経営の(株)とみや旅館(兵庫県美方郡新温泉町湯181-2、設立1953年6月、資本金1,200万円、38室)は3月31日、事業を停止し破産申請を弁護士へ一任した。
温泉旅館「名湯の森ホテルきたふくろう」(北海道川上郡弟子屈町川湯温泉、91室)を運営する(株)自然塾(北海道川上郡弟子屈町川湯温泉1-9-15、設立1985年3月、資本金1,000万円)は3月31日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。
(株)富士屋ホテル(茨城県潮来市潮来102、設立1962年11月、資本金1000万円)は3月30日、水戸地裁麻生支部に破産を申請した。茨城県初の「新型コロナウイルス」関連倒産となった。
(株)原鶴温泉咸生閣(資本金4000万円、34室、福岡県うきは市吉井町千年14-1)は、3月30日に事業を停止、同月31日に福岡地裁久留米支部へ自己破産を申請した。福岡県では初の新型コロナ関連倒産となった。
(株)奥飛騨薬師のゆ本陣(高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根208-48、設立2015年12月、資本金500万円、50室)は3月30日までに事業を停止し、破産申請を弁護士に一任した。
日本最大級のスケールを誇るスキー場で宿泊施設(40室)もある「瑞穂ハイランド」(島根県邑南町)を運営する瑞穂リゾート(株)(資本金1000万円、広島市西区南観音7-16-15、従業員24名)と複数のホテル運営を行う瑞穂商事などの3社は、3月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。
大阪国際交流センターホテルの運営を再委託にて行う関西スターリゾート(株)(資本金100万円、大阪府大阪市天王寺区上本町8-2-6)は、3月23日に事業を停止し、事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。大阪国際交流センターホテルは直接的なホテル運営受託会社のもと現在も営業。
木曽町の温泉宿泊施設「ホテル木曽温泉」を運営する合同会社おやど(資本金40万円、長野県木曽郡木曽町三岳9-57)は、3月19日付けで事業を停止し、事後処理を弁護士に一任。自己破産申請の準備に入った。
有限会社田村屋旅館(資本金2000万円、福島県猪苗代町蚕養字沼尻山甲2855、従業員5名)は、3月6日に福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請。業歴100年を超える老舗で震災と原発事故の風評被害対策に努めたが、今期の暖冬によるスキー客の減少と新型コロナウイルスの影響で力尽きた。
愛知県蒲郡市所在の(株)冨士見荘は本年2月21日までに事業を停止し、名古屋地裁豊橋支部への破産申請をした。新型コロナウイルスの影響で中国からの団体ツアーのキャンセルが相次ぎ、先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。
・飲食(15件)
豆腐製造業者の(有)トキワサンコウ(静岡県浜松市東区原島町445、設立1999年11月、資本金300万円)は4月2日、静岡地裁浜松支部より破産開始決定を受けた。休校の影響で学校給食向けの売り上げが急減した。
(有)渡辺水産(千葉県木更津市畔戸1350-28、設立2004年4月、資本金300万円)は4月1日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。観光ホテルなどの周辺観光客を対象に集客を図っていたが、新型コロナの感染拡大で飲食店の集客が激減した。
(株)星栄商店(宮城県加美郡加美町西町34-1、従業員11名)は、3月31日付で事業を停止、事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。プロサッカーやプロ野球の試合におけるスタジアム内売店などを出店していたが、新型コロナにより開幕が延期、見込んでいた収入がなくなった。
(有)ムライストアー(北海道松前郡松前町福山48、設立1982年4月、資本金500万円)は4月7日、函館地裁より破産開始決定を受けた。新型コロナウイルスの影響で町内小中学校への給食向けが供給停止となり、先行きの見通しが立たなくなった。
バラエティケータリングサービス「Rico(リコ)」を提供する(株)松田商事(栃木県小山市萩島197、設立2006年8月、資本金300万円、代表 松田 繁氏)は、4月3日に事業を停止、破産申請を弁護士に一任した。新型コロナ関連倒産。
静岡で居酒屋「花蔦鳳月(かちょうふうげつ)」を運営する(有)ライフシナジー(静岡県静岡市清水区向田町12-21、資本金300万円)は帝国データバンクによると3月30日、事業を停止して事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。負債総額は約1.6億円。
(株)味春(熊本市東区長嶺南6-7-61、設立1975年5月、資本金1,000万円)は3月31日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。
(株)レバンテ(資本金1000万円、東京都中央区築地1-3-3)は、3月25日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。松本清張の小説「点と線」の作中に登場するなど小説の舞台ともなっていた。
(有)長浜将軍(福岡市早良区東入部2-10-6、設立1980年3月、資本金300万円、門田政廣社長)と、関連の(有)モンキチフーズ(同、設立2001年4月、資本金300万円、同社長)は3月31日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。
香港スイーツを扱うチャイニーズカフェ「果香(かか)」運営の(株)RIT(資本金1000万円、東京都渋谷区道玄坂1-12-1)は、3月31日をもって事業を停止し、4月1日に東京地裁へ自己破産を申請した。
バイキングレストラン「運河亭」を経営していた(有)アライドフーズ(札幌市東区北24条東21-1-3、設立1990年2月、資本金600万円)は3月24日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士へ一任。今後、自己破産を申請する予定。
山梨県の給食用食材卸の(株)新和(資本金1,000万円、山梨県西八代郡市川三郷町市川大門2216-1)は、3月23日までに事業を停止し、事後処理を弁護士に一任、自己破産申請の準備に入った。
食堂のFC店運営の(株)セブンレストランシステム(資本金500万円、札幌市中央区南7条西15-6)は、3月20日に事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。新型コロナウイルス関連倒産は札幌市で初、道内3社目となる。
網走の老舗飲食店「鮨かっぽう花のれん」を運営していた株式会社花のれん(網走市南五条東2-1-6、資本金50万円)が破産。流氷で有名な観光スポットを背景にこの時期に外国人観光客が多く来店していたが繁忙期となるはずの今期に新型コロナウイルスが直撃、キャンセルが相次いだ。
北海道三富屋(株)(資本金1600万円、夕張郡栗山町杵臼274-3)は札幌地裁岩見沢支部より破産手続き開始決定を受けた。札幌市内開催イベントへの「くりやまコロッケ」の出店を行ったが、新型コロナウイルスの影響から来場者が伸び悩み集客に苦慮、先行きの見通しが立たず自己破産した。
・交通
沖縄本島や宮古島でレンタカー事業を運営していた株式会社ニューステップ(資本金500万円、那覇市具志3-27-9、従業員10名)は、3月23日に那覇地裁へ民事再生法の適用を申請した。九州・沖縄では初の新型コロナウイルス関連倒産となった。
観光バスやスクールバス、ハイヤーを運行する(有)味十商事(北海道浦河郡浦河町堺町東4-6-18)が業務休止。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日客を中心とした観光バスやハイヤー利用者が激減、スクールバスの運行再開が見通せなくなった。約10名の従業員が解雇された。
・旅行会社
旅行代理業の(株)マイチケット(兵庫県尼崎市武庫川町4-27-1、設立1982年6月、資本金3,300万円、代表 山田和生氏)は4月2日、神戸地裁尼崎支部に破産を申請した。新型コロナ関連倒産。
株式会社愛トラベル(広島市安佐南区川内6-44-32、設立1998(平成10)年6月、資本金5500万円、従業員22名)は3月10日までに事業を停止。新型コロナウイルス感染症の影響で予定したツアーの中止が相次ぎ、経営継続が不可能となり、広島地裁に自己破産を申請した。
・クルーズ船
ルミナスクルーズ(株)(資本金1000万円、兵庫県神戸市中央区波止場町5-6、従業員13名)は、3月2日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。西日本初の「新型コロナウイルス」関連の倒産となった。
・航空会社
新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の減少で、航空業界としては初の関連倒産が発生。イギリスの地域航空会社のフライビー(flybe)は3月5日、破産を申請、全便の運行を停止した。感染拡大に伴う入国制限は各国で加速しており、同業界でさらに倒産が拡大する恐れがある。
・小売店(6件)
兵庫県で婦人服ブランド「FLASK」を展開していた(有)N.S.Factory(兵庫県神戸市中央区元町通2-5-5、設立2004年7月、資本金300万円)は、3月31日までに事業を停止。破産申請を弁護士に一任した。暖冬と新型コロナの影響で関連倒産や大手アパレル店の閉店が相次いでいる。
(株)趣味の呉服遠藤(福島県郡山市中町3-1、設立1978年10月16日、資本金1,000万円)は4月1日、破産申請を弁護士へ一任した。台風19号の被害や消費税増税で消費意欲が後退していたのに加え、新型コロナの影響で卒業式の中止やお茶会等の催事延期が相次いだ。
高倉商事(株)(資本金2586万円、新潟県上越市東本町1-1-1、従業員21名)は、3月30日に新潟地方裁判所に自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。外出自粛の影響により得意先の小売店で売上が減少した。
欧州で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、世界20ヶ国以上で展開されファッション雑貨などを手がける英国の有名ブランド「ローラアシュレイ」が3月17日、破産を申請した。英国内では4施設のホテル運営やティールームの展開も行なっていた。
(株)シティーヒル(大阪市中央区博労町4-5-9、設立1988年6月1日、資本金5000万円)は本日3月16日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請。負債総額50億円。「マジェスティックレゴン」など全国及び中国などに100店舗以上を運営したが、暖冬や新型コロナウイルスの影響で来店客が減少した。
生活雑貨店「aideco」を経営していた(株)愛織(大阪市中央区本町1-6-16、資本金1500万円)は、3月3日、事業を停止し、破産手続きを開始した。暖冬と新型コロナウイルスが経営を直撃、来店客が減少していた。
・塾
富山県内の地場大手学習塾の一つ(株)志学アカデミー(資本金1000万円、富山市一番町3-20、従業員25名)は、2月29日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。
・娯楽
ゲーム機器販売・アミューズメント施設を運営する「エターナルアミューズメント」(東京都千代田区岩本町3-3-5、設立2007年6月1日、資本金4,800万円)は3月18日に事業を停止、東京地裁の破産申請を弁護士に一任した。東京初の新型コロナウイルス関連倒産となる。
・着物レンタル
着物販売やレンタルを京都で展開していた京洛和蒼株式会社(資本金1000万円、京都市下京区中堂寺庄ノ内町40-3)が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外国人観光客の急減に関連して、事業を停止した。
・葬儀場
(有)式典さがみの(神奈川県相模原市南区大野台6-3-40)は、3月30日に横浜地裁相模原支部より破産手続き開始決定を受けた。同社得意先の地元医療機関で新型コロナ集団感染が発生。高齢の参列者が集まる葬儀の延期や後日葬儀の増加、葬儀の中止などが相次いだ。
・接骨院
(株)MJG(資本金5000万円、新宿区西新宿2-1-1、従業員約450名)と関係会社の(株)フロンティア(資本金100万円、立川市錦町3-1-2)は、4月10日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた。負債は47億円にもなり、新型コロナ関連としては最大規模の倒産。
※ここでの「新型コロナ関連倒産」は、新型コロナ感染拡大に伴う影響で倒産に至った経緯との関連性、相関性を示す事案を指しており、その因果関係を示すものではない。
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