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影響世界規模、新型コロナウイルス関連倒産の多業種まとめ(3月23日更新)

新型コロナウイルスの感染は中国・アジアから欧州・米国へと拡大。世界規模での感染拡大により観光業を中心に大打撃となっている。感染症対策と社会経済活動のバランスをいかにとるべきか。3月23日現在、ホテルバンクが確認した関連倒産まとめとともにお伝えする。

観光業への影響甚大、長期化、世界規模の景気後退へ

新型コロナウイルスの感染拡大と先行き不透明に伴う、事業倒産は多業種かつ全世界に広がっており、観光業や飲食業、小売店を中心に甚大な影響をもたらしている。

国境措置の拡大とイベント開催の自粛などによる社会経済活動の停滞は世界規模に長期化しており、各国で大規模な倒産や失業の増加が見込まれている。

新型コロナウイルス感染症の経済への影響について政府は新たな緊急経済対策の策定を進めている。他方で国境措置の実施は拡大、国内イベントの自粛は長期化しており、観光業を中心に倒産や失業、内定取り消しの経済問題が深刻化。

さらに、感染者に対する誹謗中傷や差別、風評被害についても発生、社会不安が広がっている。

関係者からは「リーマンショックや東日本大震災の比ではない」という悲鳴のような声が高まる。

・ホテル

世界最大のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルは新型コロナウイルスの感染拡大による旅行需要の大幅な減少により数万人の従業員に対して無給の一時帰休を開始したことがわかった。

有限会社田村屋旅館(資本金2000万円、福島県猪苗代町蚕養字沼尻山甲2855、従業員5名)は、3月6日に福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請。業歴100年を超える老舗で震災と原発事故の風評被害対策に努めたが、今期の暖冬によるスキー客の減少と新型コロナウイルスの影響で力尽きた。

愛知県蒲郡市所在の(株)冨士見荘は本年2月21日までに事業を停止し、名古屋地裁豊橋支部への破産申請をした。新型コロナウイルスの影響で中国からの団体ツアーのキャンセルが相次ぎ、先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。

・飲食店

食堂のFC店運営の(株)セブンレストランシステム(資本金500万円、札幌市中央区南7条西15-6)は、3月20日に事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。新型コロナウイルス関連倒産は札幌市で初、道内3社目となる。

網走の老舗飲食店「鮨かっぽう花のれん」を運営していた株式会社花のれん(網走市南五条東2-1-6、資本金50万円)が破産。流氷で有名な観光スポットを背景にこの時期に外国人観光客が多く来店していたが繁忙期となるはずの今期に新型コロナウイルスが直撃、キャンセルが相次いだ。

・バス

観光バスやスクールバス、ハイヤーを運行する(有)味十商事(北海道浦河郡浦河町堺町東4-6-18)が業務休止。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日客を中心とした観光バスやハイヤー利用者が激減、スクールバスの運行再開が見通せなくなった。約10名の従業員が解雇された。

北海道では、1月末の中国政府による団体旅行の中止命令や3月9日からの全国的な中国・韓国からの入国制限に加えて、北海道が全国でも独自に2月末に緊急事態宣言を発し外出自粛を要請したため交通機関の利用者も急減している(緊急事態宣言は3月19日をもって終了)。

他方で、カラカミ観光株式会社(札幌市南区定山渓温泉東2丁目111-2)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い2020年4月の内定取り消しを受けた学生を対象に、4月入社の採用選考を実施する救済措置を打ち出した。

・旅行会社

株式会社愛トラベル(広島市安佐南区川内6-44-32、設立1998(平成10)年6月、資本金5500万円、従業員22名)は3月10日までに事業を停止。新型コロナウイルス感染症の影響で予定したツアーの中止が相次ぎ、経営継続が不可能となり、広島地裁に自己破産を申請した。

・クルーズ船

ルミナスクルーズ(株)(資本金1000万円、兵庫県神戸市中央区波止場町5-6、従業員13名)は、3月2日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。西日本初の「新型コロナウイルス」関連の倒産となった。

・航空会社

新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の減少で、航空業界としては初の関連倒産が発生。イギリスの地域航空会社のフライビー(flybe)は3月5日、破産を申請、全便の運行を停止した。感染拡大に伴う入国制限は各国で加速しており、同業界でさらに倒産が拡大する恐れがある。

・小売店

欧州で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、世界20ヶ国以上で展開されファッション雑貨などを手がける英国の有名ブランド「ローラアシュレイ」が3月17日、破産を申請した。英国内では4施設のホテル運営やティールームの展開も行なっていた。

(株)シティーヒル(大阪市中央区博労町4-5-9、設立1988年6月1日、資本金5000万円)は本日3月16日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請。負債総額50億円。「マジェスティックレゴン」など全国及び中国などに100店舗以上を運営したが、暖冬や新型コロナウイルスの影響で来店客が減少した。

生活雑貨店「aideco」を経営していた(株)愛織(大阪市中央区本町1-6-16、資本金1500万円)は、3月3日、事業を停止し、破産手続きを開始した。暖冬と新型コロナウイルスが経営を直撃、来店客が減少していた。

・塾

富山県内の地場大手学習塾の一つ(株)志学アカデミー(資本金1000万円、富山市一番町3-20、従業員25名)は、2月29日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。

・着物レンタル

着物販売やレンタルを京都で展開していた京洛和蒼株式会社(資本金1000万円、京都市下京区中堂寺庄ノ内町40-3)が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外国人観光客の急減に関連して、事業を停止した。

・MICEイベント

北海道三富屋(株)(資本金1600万円、夕張郡栗山町杵臼274-3)は札幌地裁岩見沢支部より破産手続き開始決定を受けた。札幌市内開催イベントへの「くりやまコロッケ」の出店を行ったが、新型コロナウイルスの影響から来場者が伸び悩み集客に苦慮、先行きの見通しが立たず自己破産した。

また、横浜港でのクルーズ船の検疫により、隣接する横浜中華街は影響が直撃、街は閑散とした。政府の多数の人が集まる全国的イベントの中止、延期又は規模縮小等の対応要請が長期化しており、休業するホテルやレストランも相次いでいる。

感染リスクを完全に排除すれば社会経済破綻のリスクに直面

イベント自粛要請の継続やお花見の自粛など影響が長期化。5月のゴールデンウィーク明けまでイベント開催の中止の動きが広がり始めており、倒産事業者は今後さらに拡大する恐れがある。

また、ヨーロッパや米国での感染拡大により、各国の水際対策による入国規制が相次いで発表され、感染拡大の中心はアジアからヨーロッパと遷移している。これにより、世界全体の観光産業に甚大な影響がもたらされている。

国連世界観光機関(UNWTO)からは事務局長ズラブ・ポロリカシュヴィリ氏より、新型コロナウイルスに関する「今は家に留まりましょう-でも明日は旅行に行きましょう!」との声明が発表された。

しかし、観光業を中心とした救済措置は待ったなしで必要とされており、既に感染拡大のリスクとともに、社会経済が破綻するリスクも同時に高まっていると考えなければならないだろう。経済問題に起因した自殺などの増大も警戒が必要だ。

ウイルスとの戦いは長期化している。社会経済活動を持続可能に継続していく上で、可能な限りの感染症対策は求められる。他方で、完全に感染リスクを排除することを目指すのは現実的とは言えず、感染リスクをゼロにしようと思えば社会経済活動を完全に停止せざるを得ず、それは社会経済の破綻を意味するだろう。

感染症対策と社会経済活動のどちらかを優先するということではなく、両方のリスクの大小を冷静に比較する客観的な視点が求められていると言えるだろう。

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