多くの訪日外国人は、旅行前にはブログやSNSなどから様々な情報を収集し、旅行後は自らが情報発信源となっている。SNSで発信される宿泊施設とはどのような工夫をしているのか。今回は「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」の取り組みについて取り上げたい。
訪日外国人の情報源はブログ、SNS、口コミサイト
観光庁発表の「訪日外国人消費動向調査 2018年4月~6月期」によると、「出発前に得た旅行情報源で役に立ったもの」について、「個人のブログ」(31.0%)、「SNS」 (21.1%)、「口コミサイト」(15.6%) の順で多かった。
また、「日本政府観光局ホームページ」の選択率が11.9%、「日本政府観光局の案内所」の選択率が 2.6%にとどまったことからもわかるように、訪日観光客の旅行前の情報源の多くは、率直な個人の評価や、SNSのインフルエンサーたちの評価である。
出典:観光庁訪日外国人消費動向調査2018年4月~6月期
「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」の仕掛け作り
今回注目したのは、神奈川県足利下郡湯河原町にある「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」(25室)だ。
各種OTAサイトに投稿されたレビュー評価を基にした、メトロエンジンリサーチのレビュー分析によると、足利下郡湯河原町ある宿泊施設は98あるが、同ホテルは同区の平均スコアの3.41点を上回り、3.99点の高いレビュー評価となった。2016年3月に神奈川県湯河原町にオープンし、「インスタ映えする日本」をイメージした、京都の伏見稲荷のようなエントランスや浮世絵が描かれた部屋が話題の旅館である。
「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」には、旅行者が自らがブログやSNSで発信したくなるような仕掛けがいくつもある。
同施設には、源泉掛け流しの温泉があり、外国人観光客が宿泊する大きな目的でもある。しかしながら、温泉に入りたくても、他人と一緒に裸でお風呂に入ることに文化的抵抗を持っている外国人は少なくないだろう。
「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」では、肌を見せるのが苦手な人や、写真撮影をしたい人のために、水着入浴タイムを設定し、その時間内であれば水着を着用して気軽に温泉に入ることができる。
また、日本アニメのキャラクターなどに変身できるコスプレコーナーがあったり、習字や達磨の絵付け体験ができるなど、外国人が想像するような日本を体験できる。これらのサービスによって、外国人宿泊客は施設内だけでも多くの日本らしさを感じられると、もう一度日本に来たいというきっかけに繋がる。
さらに、このサービスを受けた宿泊客が個人のブログやSNSで発信し、日本に旅行に行きたいと考えている外国人に影響を与えていくであろう。
現代において、ブログやSNSは情報収集の最大のツールとなっている。宿泊施設からの発信は勿論であるが、いかに宿泊経験者に発信してもらうかが重要な鍵である。
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