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新型コロナウイルスの影響で猪苗代町の「田村屋旅館」が倒産

有限会社田村屋旅館(資本金2000万円、福島県猪苗代町蚕養字沼尻山甲2855、従業員5名)は、3月6日に福島地裁会津若松支部へ民事再生法の適用を申請。業歴100年を超える老舗で震災と原発事故の風評被害対策に努めたが、今期の暖冬によるスキー客の減少と新型コロナウイルスの影響で力尽きた。

震災と原発事故で打撃、今期の暖冬と感染症が追い討ち

出典:田村屋旅館

同社は、1886年(明治19年)3月創業、業歴134年の老舗。

沼尻温泉に所在する温泉旅館で鉄筋コンクリート4階建、客室40室、宿泊人員250名と同温泉地では最大規模を誇っていた。また1985年(昭和60年)から1992年(平成4年)にかけて旅館建物をリニューアルし、学生の合宿やスキー客などに利用されていたほか、国内客に加えて年間5000人ほどの外国人観光客も訪れていた。

しかし、2011年3月に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響により、震災前まで利用が多かった学生や外国人観光客が激減し、収入高は震災前の半分以下まで減少していた。

その後、地道な風評被害の払拭に努め、オンライン旅行代理店の利用や日帰り入浴客のリピート利用の増加に取り組んだが、客足は回復せず、最新期となる2019年6月期年収入高は約6300万円とピーク時から大きく減少したままとなり、過年度の旅館リニューアル資金に対する返済にも苦慮していた。

さらに今冬は暖冬の影響でスキー客の利用も減っていたところ、新型コロナウイルス感染拡大による宿泊客のキャンセルが相次いで発生し、事業の継続と現状の借入返済を断念し、今回の措置となった。

なお、新型コロナウイルスの影響による倒産は、本件が東北地方で初となる。

申請時点での負債は、再生債権者31名(うち別除付債権者2名)に対して約4億2,000万円。

出典:田村屋旅館

帝国データバンク東京商工リサーチが報じた。

福島県猪苗代町ホテル展開状況

メトロエンジンリサーチによると、猪苗代町には宿泊施設が99、部屋数にして2,183室が提供されている。

新規開業予定は確認できなかった。

客室数トップ10は以下の通り。

出典:メトロエンジンリサーチ

同町には比較的小規模な旅館や民泊が多く、同施設は40室で10番目の規模の宿泊施設。

福島県では新型コロナウイルスの影響で、2月23日(日)に1万人規模で開催される予定であった「いわきサンシャインマラソン」が中止となった。

また、本日3月11日の東日本大震災の追悼復興祈念行事も相次いで中止・縮小となり、震災祈念を機とした来訪者も激減が見込まれ、観光業への深刻な打撃が懸念されている。

震災から9年の東北・福島の復興へ新型コロナウイルスの猛烈な逆風が吹く。

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