帝国ホテル 東京は、車椅子を利用の顧客がより利用しやすい設えに部分的な改修を施したバリアフリールーム9室を設置し提供を開始した。
車いすで利用しやすい、バリアフリーに配慮した一般客室
出典:帝国ホテル
ホテルのバリアフリー化を規定するバリアフリー法施行令が2019年10月19日に改正され、ホテルを新設する場合100室に対して1室の割合でバリアフリーに配慮した客室の設置が義務化された。さらに、オリンピック・パラリンピック期間中には、例年以上に多くの人が東京に来訪することから、より多くのバリアフリーに対応した客室を用意することで、障がいを持つ様々な顧客の選択肢を増やし、ホテルでの滞在をより楽しんでもらえるよう、準備する必要がある。
帝国ホテルは障がいを持つ顧客に対し、ソフト面の対応としてこれまでに災害時要配慮者対応の策定、盲導犬・聴導犬・介助犬の受入体制の徹底を行う一方、ハード面の対応としては、聴覚障がい者対応としての字幕放送テレビ導入、館内及び建物周囲の段差へのスロープの設置、パブリックエリア、エレベーターなどにおけるバリアフリー機能の設置、客室内バスルームやトイレへ手すりの順次増設を実施してきた。
しかし、障がい者専用の客室としては、ワイドスライドドアや電動ベッドなどを設置した車いす使用者用客室を1 室設けているのみだった。そこで、より多くの対応客室を設置しようと、一般客室を改修し「バリアフリールーム」を2020年3月までに9室設けた。
バリアフリールームは障がい者や高齢者など、車椅子を利用の顧客がより利用しやすい設えに部分的な改修を施した一般客室。客室9室を改修し、車椅子を利用の顧客の予約に対して優先的に用意。
具体的には、平均的な車椅子(幅70cm以下※JIS規定)でも入室しやすいように客室入り口幅を78cmから82㎝に拡張、スライドドアのワードローブ設置、バスルームへの傾斜を緩やかにし、TV台や洗面台の下部に車椅子の車体挿入スペースを作るなどの設備変更を行った。さらに、聴覚障がい者向けの貸し出し備品として、来訪時のチャイムや、電話の音を振動で知らせる「シルウォッチ」を用意。遠隔筆談に対応できるアプリを搭載したタブレット端末の貸し出しも行うという。
また、2007年から開始した社内研修の、障がい者・高齢者の「介助サポート力向上セミナー」は、2020年3月時点で延べ712名が受講済み。
同社では、ダイバーシティーの観点から、ハード・ソフト・ヒューマンのそれぞれの分野において改修や教育を進めることで、より多くの顧客がホテルの滞在を安全・安心に過ごせるよう、更なるサービス向上に努めていくという。
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