広島市の新規開業施設の分布
メトロエンジンリサーチによると、広島市における新規ホテル開業は、「広島駅周辺」「紙屋町・八丁堀エリア」「平和大通り沿線」に分布が集中している。
特に広島駅エリアは再開発が進み、山陽新幹線や広島電鉄、バスターミナルを擁する都市の玄関口として、今後も宿泊需要のさらなる拡大が見込まれる。一方、紙屋町・八丁堀エリアは、商業施設やオフィスビルが集積する市内最大の繁華街であり、ビジネスと観光の両面から注目を集めている。さらに、平和記念公園から続く平和大通り沿いでは、観光拠点としての特性を活かしたホテル計画が複数進行している。
本記事では、こうした立地特性を背景に進む各エリアの開発動向を読み解きながら、今後の宿泊市場の方向性を探っていく。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロエンジンリサーチ
広島市の新規開業施設がもたらす「駅周辺エリアの進化とグローバル需要への対応」
近年の広島市では、都心部の再開発とインバウンド復調の流れを背景に、新規ホテル開業が加速している。特に注目されるのは、広島駅周辺を中心とした開発だ。新幹線や市内交通の結節点としての広島駅の重要性が再評価され、駅南口・駅前通りを中心に大型ホテル計画が集中的に進められている。
中でも、600室規模の「アパホテル&リゾート〈広島駅前タワー〉」をはじめ、300室を超える「voco広島(2棟)」など、延床面積・階数ともに都市機能の更新を感じさせるプロジェクトが並ぶ。また、外資系ブランド「コートヤード・バイ・マリオット」や、地場系企業による再開発型ホテルなども含まれており、広島の宿泊市場におけるブランド多様性とハイグレード化が進行中だ。
こうした動きは、平和記念公園や原爆ドームを訪れる国際観光客の滞在ニーズに対応するだけでなく、ビジネス需要やアジア圏からのリピーターにも訴求し得る体制の構築を意味している。今後、広島駅を核とした広域的な都市機能のアップデートと、分散型観光の推進が同時に進んでいく可能性も高い。
施設名 | 部屋数(推定) | 竣工 開業予定日 |
(仮称)東急ステイ広島 |
182 室 | 2026年5月 |
コートヤード・バイ・マリオット広島 |
183 室 | 2027年初頭 |
(仮称)リーガロイヤルホテル広島平和大通り |
167 室 | 2027年秋 |
アパホテル〈広島駅前通〉 |
314 室 | 2027年冬 |
voco広島 |
301 室 | 2027年下半期 |
(仮称) 広島朝日ビル跡地ビル |
– 室 | 2027年度 |
アパホテル&リゾート〈広島駅前タワー〉 |
600 室 | 2028年春 |
出典:メトロエンジンリサーチ
広島市の新規開業施設の紹介
広島市では、グローバルブランドから大規模リゾート型ホテルまで、用途や立地特性に応じた多様なホテル開発が進行しており、それぞれが観光・ビジネスの滞在ニーズに新たな価値を提供している。ここでは、その中でも注目すべき3施設をピックアップして紹介する。
アパホテル&リゾート〈広島駅前タワー〉
広島駅南口の一等地に誕生予定の「アパホテル&リゾート〈広島駅前タワー〉」は、地上32階・600室のスケールを誇る大型タワーホテルだ。山陽新幹線や市内電鉄との接続性に優れ、広域移動の利便性が高い立地は、観光・ビジネス双方に対応する滞在拠点として高いポテンシャルを持つ。
館内には大浴場やレストランなどの付帯施設も備えられる予定で、利便性と快適性の両立を図った「都市型リゾート」として、広島駅周辺エリアの存在感を一層高めることが期待される。
voco広島
IHGホテルズ&リゾーツが展開するライフスタイルホテルブランド「voco」が、広島駅近接エリアに2棟連続で進出予定、300室規模、延床面積1万7千㎡超という大規模開発となる。
ブランドのコンセプトである「遊び心」「快適性」「サステナビリティ」を軸に、国際的な感性と地域らしさを融合させた滞在体験を提供する。インバウンド再拡大を見据えたホテルブランドの選定と規模感は、広島駅周辺の宿泊インフラ強化と都市機能更新の象徴とも言えるだろう。
コートヤード・バイ・マリオット広島
アジア圏でも存在感を高めている「コートヤード・バイ・マリオット」が、広島市中区三川町に初進出。パルコなどの商業施設が立ち並ぶ八丁堀・並木通りエリアに位置し、観光・ショッピングに至便なロケーションが魅力だ。
183室・地上17階建ての同施設は、グローバルブランドならではのクオリティと、広島市中心部に求められるスマートな機能性を両立。市内有数の繁華街と連動したホテルとして、滞在そのものが“街の体験”とつながる、新たなアーバンホスピタリティの拠点となるだろう。
広島駅を起点とした都市の再構築と国際観光都市への転換
広島市の新規開業施設は、広島駅周辺を中心とする都市構造の刷新と、グローバル観光需要への本格的な対応という二つの軸をもとに、その存在感を強めつつある。再開発が進む駅前エリアには、国内最大級の客室数を誇るホテルから外資系のライフスタイルブランドまで多彩な計画が集まり、都市の顔づくりが加速している。
広島駅を軸としたアクセス環境の進化と宿泊機能の強化
広島駅は、交通のハブとしてだけでなく、観光・ビジネス双方のゲートウェイとして、その価値を再定義されている。新幹線や空港連絡バス、市内路面電車へのアクセスの良さに加え、今後の国際会議やイベント誘致も視野に入れた宿泊インフラの拡充は、広島の都市競争力を高める要素として機能するだろう。
地域の魅力を感じる新しい宿泊体験
また、駅から広がる市街地には、観光名所や商業施設が点在し、宿泊と街の体験がシームレスにつながる環境が整いつつある。グローバルブランドのサービスと、ローカルの空気感が交差することで、多様な旅行者が“自分らしい広島滞在”を実現できる土壌が築かれている。
今後の展望
今後、各施設の開業が進むにつれ、広島市の宿泊市場はさらなる進化を遂げるだろう。駅前再開発を核とした都市の再構築と、インバウンド需要への戦略的対応は、平和都市としてのイメージを補完し、新たな都市観光モデルへとつながっていくと考えられる。“通過する都市”から“滞在する都市”へ。広島が描く次なるステージに、引き続き注目していきたい。
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