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【取材】「東京の最小ホテル」として始まった「Bamba Hotel Tokyo」10周年

品川エリアを中心にゲストハウス運営、ツアー企画・運営等を行う株式会社宿場JAPAN(以下宿場JAPAN)が運営する「Bamba Hotel Tokyo(バンバホテル 東京)」が、2024年12月13日に10周年を迎えた。

昭和20年代に建てられた長屋をリノベーションし、最小規模の一棟貸しホテルとして生まれた同ホテル。宿場JAPANが運営する最初のゲストハウスである「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」から徒歩12分ほどの距離にあり、開業当時、東京で一番小さいホテル(※東京都内で旅館業法の営業許可を取得した宿泊施設の中で最小規模)だった。

本記事では、開業10周年を迎えた感想や10年間で印象的なエピソードなどについて、Bamba Hotel Tokyoの運営を行う宿場JAPANに取材を行った。

▷ 公式サイト:https://47gawa.tokyo/room/bambahotel/

―――「Bamba Hotel Tokyo」が10周年を迎えた感想を教えてください

2014年に開業した「Bamba Hotel Tokyo」は、通りすがりに「入居者募集中」という貼り紙を見かけたことがきっかけでした。築年数の古さや長期間の空き家状態から、難易度が高い物件であることは容易に想像できましたが、物件が持つストーリーや立地条件に強い可能性を感じ、2軒目の宿として開業することを決めました。

運営スタイルのヒントになったのは、当時「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」のリピーターのお客様が、ライフステージの変化で家族が増え、宿泊できなくなったことでした。その方が近隣ホテルに宿泊しながら遊びに来られた様子から、「家族や友人と気兼ねなく泊まれるVIPルームのような宿を作り、街のサービスを集めるのはどうか?」と着想しました。

多くの制約や課題はありましたが、地域住民の方々とのつながりやご協力のおかげで解決策を積み重ね、結果的に「みんなでつくる」宿が実現しました。コロナ禍という困難も乗り越え、無事に10周年を迎えられたことは、関わってくださった皆様の支えのおかげです。改めて深く感謝申し上げます。

――― この10年間で印象深かったエピソードがあれば教えてください

宿として再生するにあたり、物件がもつストーリーを受け継ぎたいと考えた私たちは、物件のオーナーに建物の歴史や現在までの経緯などをお聞きししました。また、建物の改修については梁や建具、階段や残されていた備品などを活かす形にし、近隣に工房を構えるDIYアドバイザー・リメイク作家の玉井香織さんの元、自分たちでDIYすることに。

すると、毎日改修する姿を見た近隣住民の方々が自らDIYへの協力を名乗り出てくれるなど、地域の方々と一緒に協力しながら宿をつくる、というプロジェクトのような形になりました。

宿の周辺は元々、江戸時代には宿場町に泊まる人々の馬の停車場として賑わった場所。人通りがまばらになってしまった宿周辺に「かつてのように賑わう日常を取り戻したい」ーー宿のコンセプトとして掲げた理想が、宿をつくる過程でも少しずつ形となっていたことは、嬉しい想定外の出来事でした。

―――他の宿泊施設にはない、「Bamba Hotel Tokyo」の強みは何でしょうか

「Bamba Hotel Tokyo」は、南品川にて2014年12月に運営を開始しました。新馬場駅南口より徒歩1分という好立地にあり、宿場JAPANが運営する最初のゲストハウスである「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」から徒歩12分ほどの距離にあります。2階建ての長屋の1軒をリノベーションした当ホテルは、1日1組限定・最大5名ほどで利用いただける一棟貸し切り型の宿で、開業当時、東京で一番小さいホテル(※東京都内で旅館業法の営業許可を取得した宿泊施設の中で最小規模)でした。

こうした運営スタイルは、立地や建物条件など物件がもつ特性をどう活かすかを考えた結果として導かれたものです。2014年開業当時、「Bamba Hotel Tokyo」のような小さな規模の宿泊施設の事例は全国的に見ても少なく、東京ではほぼ皆無でした。当時アメリカでAirbnb(エアビーアンドビー)の潮流の兆しもあり、代表・渡邊は現地サンフランシスコやポートランドなどの都市をめぐっていました。

築約80年を経た上に長年空き家の状態だった物件は老朽化によるダメージも大きく、かなりの手入れが必要でした。それでも、交通利便に優れた立地(=京急本線 新馬場駅南口より徒歩1分)、当社が特定の商圏内で複数宿の管理が可能な範囲内であること、さらに周囲に寺院が多く訪日外国人への強みとしてアピールできると見込んだことなど、その前のゲストハウス運営に立脚した視点から、過去に宿泊したゲストのライフステージを考えて家族向けの古民家ホテルの可能性に挑戦することにしたのです。

―――「地域融合型ゲストハウス」というコンセプトを実現するための具体的なサービスや工夫について、特に成功した事例を教えていただけますか

「地域融合型ゲストハウス」をコンセプトとしている当社では、宿での宿泊体験がローカルを知ることにも繋がる仕掛けを大事にしています。

定員5名・一棟貸し切りの「Bamba Hotel Tokyo」では、ファミリーや友人グループでの利用がメインとなるため、宿にいながらローカルな体験ができることを目指しました。近隣店舗との共同開発で、近隣の飲食店や商店街からオーダーした商品がルームサービスのように宿に届けられるデリバリーサービス、街に暮らし街を熟知するコンシェルジュによるおもてなし、ちょっとそこまで出かける時に便利な外履きスリッパを用意するなど、ハードからソフトまできめ細やかな仕掛けを施しています。

おかげさまで、コロナ禍で大きな打撃を受けながらも、これまでに延べ1500組・5000人ほどの方にご宿泊いただき、当初想定していたインバウンド観光客以外にも、大事な人と過ごす特別な宿泊体験を求める日本人客の方々にも、多くご利用いただいております。

―――最後に次の10年へ向けての展望や意気込みを教えてください

この「Bamba Hotel Tokyo」は、おかげ様でNHKの情報番組「あさイチ」を始め、テレビや雑誌などメディアでも多く取り上げていただきました。そして、その放送がきっかけとなり、当社では3軒目となる宿泊施設「Araiya Tokyo」の開業に繋がることになりました。

旅人に、地域に、そして働く従業員を含めた私たち自身に、すべてにとって幸せとなる事業をつくればより多くの幸せの循環を生み出すことができると信じ、さらに充実した観光サービスと宿泊事業を展開していく所存です。今後とも変わらぬご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

■施設概要

名称:Bamba Hotel Tokyo
所在地:東京都品川区南品川1-1-2
TEL:050-5491-2683
チェックイン/チェックアウト:15:00/11:00
アクセス:京急「新馬場駅」南口より徒歩約0分(北口からは徒歩5分)
公式サイト:https://47gawa.tokyo/room/bambahotel/

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