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【取材】箱根の旅館「金乃竹 塔ノ澤」で五感が喜ぶ『握り寿司体験』提供開始

社員の発案から生まれた、宿泊中に日本文化を“作って・食べて・学べる”体験として楽しめる「握り寿司体験」プランが、箱根の旅館「金乃竹 塔ノ澤」で2025年8月1日よりスタートした。

運営元の株式会社金乃竹では、着付けや茶道といった体験型プログラム「Ryocance」を展開しており、今回の新プランもその一環。社内副業制度を通じて、現場スタッフが自ら企画・運営を担っている。

寿司体験では、都内人気寿司店の調査をもとに、インバウンド客の嗜好を踏まえた内容を構築。視覚・触覚・味覚を通して、日本の食文化を五感で味わえる“参加型ランチ体験”として、顧客満足度の向上を目指している。

本記事では、同プラン企画の経緯やこだわりなどについて、株式会社金乃竹に取材を行った。

▷予約URL:https://kinnotake-resorts.com/ryocance/tonosawa/ryocance_tonosawa_nigiri.html

―――「握り寿司体験」を着想するに至った、現場の具体的な課題や社員の声にはどのようなものがあったのでしょうか?

「金乃竹 塔ノ澤」では、これまで調理スタッフとサービススタッフが同時にお客様の前に立つ機会がほとんどありませんでした。そのため、調理スタッフの技術や想いをどのようにわかりやすくお客様へ伝えるかが大きな課題でした。

難しい専門用語で説明するよりも、「見て・感じて」いただく体験のほうが伝わりやすいという結論に至り、ジェスチャーなども交えながら、調理師自らがその場でお寿司を握りご提供するスタイルを採用しました。

お客様からのご質問については、サービススタッフが通訳・橋渡し役となることで、スムーズなコミュニケーションを実現しています。

―――東京都内の人気寿司店を調査したとのことですが、参考にした要素や実際に取り入れた工夫にはどんなものがありますか?

調査して感じたのは、職人とのコミュニケーション自体が大きな価値になっているという点です。

そこで今回の「握り寿司体験」でも、カウンター越しのやり取りに近い対面形式を採用し、調理師との会話や所作を間近に感じていただけるよう工夫しました。

また、ネタの鮮度と季節感も重要なポイントです。ネタを固定せず「おまかせ」とすることで、その時季に最も美味しい旬の魚を使えるようにし、体験のたびに違った味わいを楽しんでいただけるようにしています。

―――「作って・食べて・学べる」という体験価値を実現するために、どんな演出や設計を意識されましたか?

体験の中で大切にしたのは、「わかりやすく」「楽しく」、そして「プロとの違いを感じていただくこと」です。

まずは、職人がジェスチャーなども交えながら、握り寿司の基本技術を丁寧にレクチャーし、お客様ご自身に実際に握っていただきます。その後は、自由にネタを選んで作る“手巻き寿司”の工程を楽しんでいただき、最後にはご自身が握った寿司と、職人が握った寿司を食べ比べていただく構成にしています。

この一連の流れを通じて、作る楽しさだけでなく、職人の技の奥深さや素材の扱い方への理解も深まり、学びのある体験になることを目指しました。

―――今後の体験プランを検討するうえで、今回の寿司体験から得られた学びやヒントはありますか?

単に「体験していただく」だけではなく、その背景にある日本文化の魅力や意味を伝えたうえで体験していただくことが、より深い満足感や印象につながる —それが今回の寿司体験を通して得た大きな学びです。

今後の体験プランにおいても、「なぜそれを作るのか」「どのような文化的背景があるのか」を丁寧に伝えることで、お客様にとってより価値のある時間を提供できると考えています。たとえば、小田原提灯作りのような体験でも、地域の歴史や技術の継承といったストーリーを交えることを意識して企画していきたいと思います。

―――今後「Ryocance」をさらに進化させていくうえで、挑戦してみたい体験プランや構想はありますか?

今後も引き続き、従業員一人ひとりが持つ個性やスキルを活かし、それらを「体験」という形に昇華していきたいと考えています。スタッフの専門性や趣味、地域とのつながりなど、さまざまな切り口から魅力ある体験を生み出していくことが目標です。

また現在は構想段階ですが、私たちにとっては日常的で当たり前の所作や習慣の中にも、「実は日本独自の文化」であるものが多く存在します。そうした何気ない文化的要素をあらためて掘り起こし、体験プランとして形にできないか、検討を進めています。

「Ryocance」を通じて、日本文化の奥深さを再発見し、国内外のお客様に楽しんでいただけるようなコンテンツづくりに挑戦していきたいと思います。

■握り寿司体験プラン概要

調理場スタッフのサポートのもと、酢飯(シャリ)の準備や、日本のスパイスである山葵(わさび)をすりおろす工程からできる。握り終わったあとは、出来たてのお寿司を客室にて食べられる。

提供開始日:2025年8月1日(金)
提供時間:60分(1部 12:00~/2部 13:00)
料金:お一人様あたり5,000円
予約URL:https://kinnotake-resorts.com/ryocance/tonosawa/ryocance_tonosawa_nigiri.html

■施設概要

名称:箱根 金乃竹 塔ノ澤
温泉名:金乃竹温泉(自家源泉)
所在地:〒250-0315 神奈川県足柄下郡箱根町塔ノ澤191
TEL:0460-85-9800
客室:全21室[全露天風呂付き客室]
チェックイン:15:00/チェックアウト:11:00
公式サイトURL:https://kinnotake-resorts.com/kinnotake-tonosawa/

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